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僕らは明日を咲う 第2話 僕の夢

群像劇。誰もがその世界の主人公。何気ない日常。それが一つの物語となる。短編物語。

第二話登場人物
 佐藤歩夢

好きなことで生きていきたい。

好きなことで生きていけるのは、限られた人だけなんて分かっている。
だから、その限られた人になりたいんだ。

僕の名前は、佐藤歩夢(さとうあゆむ)。高校三年生。
進路を考えるじゃなくて、もう決めないといけない時期だ。
もうすぐ、三者面談がある。そこで、僕の進路は決まるだろう。

僕の、僕の小さいころからの夢は。
夢は、画家だ。

小さい頃は、絵を描いて大人しくしていると褒められた。上手に描けたら、もっと褒められた。
褒めてもらえることが本当に嬉しかったんだ。

『将来はきっと画家さんね。』と、いろんな人から言われた。もちろん親からも。
僕はその言葉を本気にした。本気にしたんだ。

今は絵を描くことに夢中になっていると、勉強しなさいと怒られる。
画家になんてなれないのだからと。

大人は無責任だ。小さい頃の僕を本気にさせといて。
大きくなるにつれて、『もっと普通の夢を持ちなさい。』そう言うんだ。

僕は悔しかった。大人のお世辞に騙されたことも、僕が画家になれないと思われていることも。

僕はいっぱい絵を描いた。小さいころからも、今もいっぱい絵を描いたんだ。

諦めないといけないのかな?僕は画家になれないのかな?

いや、諦められない。僕は、画家になるために、色んな人に絵を見てもらうために絵を描いてきたんだ。努力してきたんだ。

絵を描くことが嫌になった時もあった。それでも、絵を描き続けた。

僕は絶対に画家になる。
好きなことで生きていける限られた人になるんだ。

今から、僕と親と先生の三者面談だ。
僕の夢は、画家になることだ。
そのために、絵について学べる学校に行く。

第二話 終

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