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★デーリー東北新聞社「ふみづくえ」執筆①|140字から飛び出して

 仙台初売りといえば値段以上に、山盛りに入ったお得なお買い物。お年玉をいかにコスパよく福袋に費やすか、腕の見せ所です。
 宮城で育ち、就職で東京へ。当時は就職氷河期の末期、未経験DTPデザイナーの働き口は東京にしかありませんでした。
 買えない物はないといわれる都心でしたが、働く人の分母が多い都会での就職は思いのほか入ってくる軍資金が乏しく、仙台初売りのごとく、少ない投資でいかに実入りをよくするかに腐心する毎日といえました。初売りほどワクワクするものではありませんでしたが、節約しながら暮らし自体を楽しむ術は身に付きました。
 そのうちに、買えない物に囲まれているのは山の中に住んでいるのと変わらないのでは?と妙な悟りを開いてしまい、縁のあった階上町に移り住んではや7年目。おはようございます、はしかみどんこちゃんと申します。
 すっかり流行り物の物欲から遠ざかってしまった今年の初売りは、リサイクルショップで文机を買いました。天板は一枚板で艶々と黒光りし、使い込まれた木目は長い年月にしか出せない魅力を解き放っていて、いつもうっとりと見入ってしまっています。
 まさかお気に入りの文机を手に入れた年に、デーリー東北の「ふみづくえ」にご招待いただくことになろうとは。ラッパーであれば韻を踏んでいるでしょう。
 さて、文机を迎え入れた築40年超の昭和生まれのわが家。移り住む時に、家を建てればとお勧めされるも、あえて空き家を譲り受けました。古いけれどずっと残っているデザインは飽きづらいから残っているのだ、という叔母の言葉を気に入っていまして、古い家屋もその類に入っているからです。
 周りには手付かずの荒れ地、家も古びていて手入れが必要。こんなクリエーティブのしがいのある素材はありません。毎年あちこち手入れをして、自分の好きなように暮らしを積み重ねています。
 実は移住を決意するにあたり、決定打になる出来事がもう一つありました。東日本大震災です。自前で何一つ食べ物飲み物用意できないことに気が付き、少しでも自給自足できるようになりたい、と思うに至ったのです。その思いから移住後、敷地の荒れ地開墾計画が勃発することになります。
 あれやこれや階上町での暮らしが楽しくて、そのうちに自慢したくなってきました。それがツイッターアカウント「はしかみどんこちゃん」の始まり。ふみづくえでは、140字のつぶやきから大幅にはみ出だしてお送りいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

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