不自由に、手紙を綴るような


ぼくの前には壁がある
おおきく分厚い壁がある

それは六角形(ヘキサゴン)に囲まれた
ちいさなちいさなぼくの世界

内側でぼくは何かをつくって
でき上がる度、
かべの向こうへ投げる

それらは時々見つけられて
運良く誰かが拾ってくれる

軽いモノだけが外へ出られる
翼のあるモノだけが羽ばたける

おもくて空虚で無意味なぼくは
ふたたびつくっては上へ投げる

とおく、遠く、とおくの誰かへ
本当にみてほしいのは"それ"じゃなくて

いつか、いつか、いつの日か
翼が生えますように

ただ祈っている
ただ願っている

それらは綴られた手紙のように
むなしく刻に消えていく

ぼくの前には壁がある
ぼくはきょうも何かをつくる


「拝啓、壁の向こうの誰かへ」

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