【ネタバレ有】「君たちはどう生きるか」最速感想
2023年7月14日公開直後朝8時の回で宮崎駿の「君たちはどう生きるか」を見てきましたので感想を書きます。ネタバレあり。
一言あらすじ
冥界に行く系。日本神話でいうところのイザナギがイザナミに会いに行くやつ。ギリシャ神話でいうところのオルフェウスの冥界下り。新海誠でいうところの「星を追う子ども」。
テーマ性のテーマパーク
宮崎駿が詰め込みたいことを詰め込みまくった感じがする。ふつうテーマ性って1作品1つだが、3~4個くらいある。
強いていうならテーマは「継承」と「宮崎駿の集大成」
「継承」としては、母から子への継承、父から子への継承、宮崎駿から庵野秀明への継承、子の自立、生死、性……
対比構造がたくさんあって主軸がない。
「宮崎駿の集大成」としては、作画に表れている気がする。過去作のどこかで見たようなシーンが詰め合わさっている。(なんならインコに食われそうになった小屋とか未来少年コナンっぽい)
宣伝なしはどのような効果があったか
今作品は一切の宣伝がなかった。あったのは一枚のポスターだけ。
導入がいきなり第二次世界大戦の描写だったので、ファンタジーじゃないなと思った。ちなみに今作は「ナウシカ2」であるとも噂されていた。
開始10分はまた戦争映画かと思ったが、出てきたアオサギだけやけに動きがカートゥーンチックで少しファンタジーの雰囲気を醸し出していた。
途中、思い出のマーニーシステムで夢の中だけファンタジー説もよぎったが開始50分ほどで一気にファンタジーに舵を切る。(遅すぎやろ)
どの層に向けてるんだろう。子どもは前半で飽きるんじゃないだろうか。正直、舞台が第二次世界大戦中である必要性を感じない。前半部分で割と「現実と虚構」の対比構造が重要テーマに見えただけに何がしたかったのかよくわからない。
不満
主人公の成長過程が意味不明に思えた。
最初から精神的に大人だったり、急に子どもじみた自傷行為をしたり、もともと義母が嫌いだったのに弓矢作っただけで急に義母を探しに行くほどの精神的成長を見せるし……
おもしろ要素&考察要素
「お母さんの遺体は見てませんよね」
突然の生存説。ジャンプ漫画か?
「タバコは2本しかなかった」
男2人、タバコ2本。
宮崎駿、ついに未成年に喫煙させやがったな。
風立ちぬでタバコの描写で炎上したからって婉曲表現でタバコ吸わせるのは草
ヨモツヘグイ
冥界系ストーリーを見るにあたって必ず「飯を食うかどうか」は注目しなければならないというのはオタクの常識であろう。
冥界での1回目のキリコさんが作った食事はヨモツヘグイ回避しているが、2回目ヒミさんが作った食事はめちゃめちゃうまそうに食った。
なんで?考えすぎなんだろうか。現世で飯を「まずい」と言っていたのもあり、それとの対比なのかもしれない。
インコ
なんであらゆる鳥の中でインコにしたんだろうと思って調べた。いろいろ民話があるらしい。
インコ王って結局誰?
動きや性格からして父親だと思っていたが、最後父親と同時にいる場面がある。誰?
庵野秀明のメタファーだとは思うのだが、庵野秀明のメタファーのためだけに用意したキャラとしてはぽっと出すぎないか?
少しメンヘラだったり、主人公を見守ってるようでうまく見守れてないのがエヴァっぽくて好き。
ネルフ本部のゲンドウオマージュ
大叔父さんが何もない部屋で積み木をいじってるの、あからさまにエヴァオマージュで草
大叔父さんは何が言いたいのか?
大叔父さんは宮崎駿のメタファーなので「ちゃんとジブリ頑張ってくれよ!」が言いたいのはもちろんなのだが、やはり「不安」なのだろう。積み木がグラグラ。
そもそもこの作品自体、詰め込みたいものを詰め込みまくってて思考のまとまりのなさが表れている。これ、もし意図的にこのまとまりのない脚本にしてたならすごいと思う。
なぜこの作品はわかりにくいのか?
この作品の世界には3つのレイヤーがあるからだ。
まひと君の住む世界
死者やこれから生まれる子どもたちの住むバックヤードとしての地下世界
宮崎駿やスタジオジブリの存在するこの現実世界
それぞれの登場人物が相互参照し合っている。人物相関図でも書けばわかりやすいんだろうか。素直に、次世代のアニメ業界への挑戦状なんだろうな。
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