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家庭内政治に革命はないので革命軍は亡命しろ。

 政治というのは大小さまざまな社会で存在するもので、意外なことに家庭も例外ではない。

 政治というのは「お金を集めて再分配すること」だ。だから家族の財布が別々ならば稼いでいる人の発言力が強いのは当然だ。仮にいくら専業主婦の貢献が大きかったとしても、お金の流れの上流を堰き止められれば従うしかない。

 だから、家庭内におけるモラハラの主体はなるべく財布を別々にし、税理士に相談しながら離婚したときでも財産分与があまりないように努力している。仮に離婚しなくても支配ができるからだ。

 夫婦間においては子供という持ち駒をいかに使うかというのも大事だ。子供を洗脳して自分の派閥に入れることで戦いを有利にするという光景はどの家庭でも見ることができる。子供にねだらせる。子供のためと主張する。なかなかに強い戦略だ。子は両親のかすがいというのは政治的文脈があるのだ。

 さて、家庭内政治でお金の流れをせき止められたりして負けているとき、どうしたらいいだろうか。

 結論から言うと逃げるしかない。

 家庭内政治に民主主義はないからだ。自治体や国の政治であれば、投票ができる。デモができる。ロビイングができる。しかし、家庭にそのようなしくみはない。

 自治体や国の政治は面白いことに、あまり一党独裁になりにくい。それは、集合知によって最大多数の最大幸福に近い状況が実現されているため、政争のもとになるトピックの規模が小さいからだ。たとえば、「税金で総理大臣のペットの犬の餌を高級フレンチにする」みたいな政策が出たら、全ての党が反対する。つまり、全ての党の方向性は大差がないのだ。だから支持政党は分散する。

 また、一方が強くなりすぎると、危機感を覚えてもう一方に支持が集まるアンダードッグ効果もある。

 しかし、家庭では「お父さんの車をオープンカーに買い替える。」みたいな政策が議会決定なしで通る。

 そしてそれは4人家族であれば25%の議席の意思であるからのちのち文句を言われたとしても戦える。これ以下に議席割合が小さくなることはない。

 お金を持っている人に「この家から出ていけ」と言われれば勝ち筋がない。

 社会の中で唯一、法によって民主主義的手続きが規定されていない家庭というものは結構ほんまにやばい。

 独裁者がモラハラなら逃げるしかない。遠くへ逃げよう。ま、独裁者はえてして脱北できないようにしていることも多いけど。

 モラハラ主はだいたい「お前のためを思ってお前をこのように扱っているんだ」という主張をしがちなので、「お前のためを思って」につけ込むのが脱北のコツだと思っているが、そこは各家庭の事情次第。

 

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