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東京、どう?

東京に住み始めた。今日で3週間が経つ。

「東京の空は星が見えないと聞かされていたけど、見えないこともないんだな」
フジファブリックはこう歌っている。
上京する前の会社にいた関東人の同期が、この歌知ってる?と歌ってくれた。その後に「俺は向こうから来たから、東京の空を見てこの歌みたいな経験をすることは一生ないけど、〆さんはこれからなんだね、羨ましい」みたいなことを言ってくれた。なかなかに詩的でエモいフレーズだと思う。ちょっと変わった人だったので、彼についてもいつか記せたらなと思う。同期は見るなよ。
まだタバコにカロリーがあればいいのにとか言ってんのかな、元気か?
申し訳ない、まだ夜空見てないわ。

見えないこともないんだろうか。

正直なところ、まだ東京にいるんだという実感があまり湧かない。毎日中央線には乗っているし、雨の日の新宿で群青日和を聴いて涙が出た。電車で流れるアナウンスを聞いて、これ林檎が歌ってたじゃん!と進研ゼミみたいな発見もあった。下北沢で真赤を聴いて胸を締め付けながら歩いた。最寄駅には見慣れないコンビニがあってそこにはカツゲンもガラナも、焼きそば弁当だって置いてなかった。

幸いなことにGにまだ遭遇していない。できればこのままでいたいけれども。
今綴った内容で地元が即バレしたな。

自分が生まれ育った街とは違って東京はとにかく人が多い。外に出れば人、電車も駅も人、フラッと入った平日のコメダ珈琲も満席。人ばっかりじゃねえか。
インドアで人混みが大嫌いな自分にとってはかなりキツい。割と死活問題なのだ。
ただそれに負けないぐらい東京には心を鷲掴みにするものが多い。何に使うん?みたいなモノばっかりの客層がマジで読めないアングラ風味な雑貨屋とか、身を寄せ合って建つ小さい建物の間の狭い路地とか。メチャクチャ魅力的。高円寺ほんとヤバかった。
しかも自分が今日までに目にしたモノ達はほんの、ごくごくわずかな一部でしかない。だってまだ3週間。ドラクエならホイミ覚えたてといったところか。
まだまだ探検する場所はたくさんある。インスタの画面でしか見ることができなかったそれが、ちょっと出かけるだけで実際に確かめることができてしまう。〇〇のお洒落な雑貨屋さん〇選!の店が家出て1分のところにあるのすごくない?エッやば、秒じゃん、て声が出た。

あと何よりありがたいこと、街を歩く人のビジュアルの多様性というか、自分!好きな服着ちゃってま〜す(ピースサイン)っていう人が大体どこにでもいること。コレ本当ありがたい。だいぶ感覚が麻痺してきてくれてはいるけど、地元ではちょっとだけ格好が浮いてた気がする。周囲は気に留めてすらいないかとは思うが、少しだけ視線が気になっていた。

一度だけ、ロリータ服の女の子と地元を練り歩いたことがある。正直とても心強かった。彼女の横だと堂々と歩いていられた。2人でドキドキしながら入った服屋さんで、自分たちのファッションを沢山褒めてもらえた。自分の好きを認めてもらえて、救われたような気がしたのを覚えている。

やっぱり多少なりとも視線は感じた。でも一緒にいるから怖くなかった。
東京には同じように好きを身に纏って生きている人がたくさんいる、それが分かる。自分が今いる環境は特にそう。全員が自分の好きに誇りを持っているのが分かる。話したことない人ばっかりだけど正直全員マブ。毎日フリフリのドレスを着ている子も、蛍光ペンみたいな髪色の子も、メイクをしている男の子だってみんなが普通にしている。本当に幸せな空間だと思う。「この格好ヤバイか…浮くか…」という感覚が消えたし、何なら何着てやろうかな、とすら思えるようになった。センスが大丈夫か自信なくなることは増えたけどね。ヤバさへの抵抗は完全に消えた。

東京でやってみたかったことがある。下北沢で売れかけのバンドのライブを見ることだったり、夜中にスミノフとタバコだけ持って散歩することだったり、些細なことが多い。付き合ってくれる奴がいればもっと最高だなあ。
デカめの夢は今学んでいることで飯を食っていくこと。とりあえず書いとけ精神。

まあなんだかんだつらつら書いてしまったけど、たかだか3週間住んだだけで実感だなんてのは早すぎるのかもな。
これから夏がくる。エモさで行くと夏はダントツなんだけども、暑いので自分は夏は嫌いだ。元も子もない。かなり憂鬱である。
クーラーの効いた部屋で夏夜のマジックとかクロノスタシスでも聴こうか。でもアレ、絶対夜中のモワッとした蒸し暑さの中で聴くのが1番クるだろうな。

でも、ずっと漠然と憧れを抱いていた街の一部になれているのは確かなんだよな。
今自分が住んでいる、この街の名は東京というらしい。

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