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ゆるす愛し方

待ちに待っていた、映画「おろかもの」が

仙台でも公開されたので観にいってきた〜!!!

昨年2月のRedのツイート以降

絶大な信頼をおいている西森路代さんがコメントを寄稿されてて

絶対観ると決めていた映画。



▼どこかの誰かが生きている人生の話

正直なところ、出てくる俳優陣のうち一人も

顔と名前が一致していない状態で観たんだけど、

それがよかったなあと。

この映画は内容的に、

誰もが知っているような有名な俳優さんたちがやるのでは

魅力が半減していたのではないかなあと思う。


洋子を演じるのは誰で、美沙さんの子はこういうキャラでって

事前情報が全くなかったからこそ

自分が生きなかったどこかの誰かの人生の一瞬を垣間見ている感覚。


個人的には、そういう映画が好き。

もちろん好きな俳優さんも女優さんもいるけど

過去の作品も、その人自身の人柄も十分に知っている人たちの

演技によって作られたお話よりも、

いい意味でその辺にいそうなキャスティングの方が

お話に入り込めるというか。

知ってる人だと、余計なこといろいろ考えてしまう…笑


少し話は逸れるけど、

美沙さんが昼顔の紗和ちゃんに被るなあってところがすごく多くて

なんかこう自分の感情に正直なキャラって

役で表すとこうなるのかなあなんて思いながら観てた。


あと、主演ではないけどストーリーの中心人物である

お兄ちゃんがもう!本当に絶妙だった!!!

ばちばちなイケメンとか

圧倒的に権力や富を持つ人よりも

ああいう極めて普通な人こそ求められるし

中毒性というか依存性?がある気がする…

個人的には、

婚約者や家族について語ってるときの

自己陶酔的な優越感に浸りながら話す演技と、

お墓参りのシーンの洋子の扱い方が痺れた。


こういうときはこうするのが正解っていう

自分が持っている解答に従って生きてるかんじ。

実際それは間違いではないからこそ依存度が高いんだけど、

感情でぶつかってこられたときの脆さと

自分は正解がわかっているという自覚による怠慢。

結局、女の方が上手だなあと思ってしまう。


▼誓いの言葉って必要…?

中学生の頃からウェディングプランナーを志していて

就職を前提に結婚式場でのバイトに命懸けたりもしてて

結婚式への想いは人一倍強い自負がある。


結婚式を継続していくべき理由の持論は別にあるんだけど、

今日この映画を観ている中で

病めるときも健やかなるときも死が二人を分かつまで

その人を愛し続けることを誓う必要、あるのかなって思った。


実際、お話のなかで新郎は

誓いを述べるに値しないくずなのは間違いないんだけど。

近しい人には結構言ってる話で、

実際わたしも結婚するときに離婚しない自信が

全然なかったのだよね…笑

結果的に離婚してるから、

我ながらわかってるなあというかんじなんだけど

逆に言えば、結婚するときから

一生共に生きていくぞ!っていう気持ちじゃなかったからこそ

冷静に離婚という選択をすることができたし

離婚か…バツイチか…とか一切感じずに済んだ気がする。

こういうと、そんなに好きじゃなかったけど結婚した

みたいに聞こえてしまいそうで心配だけど、

全然そんなことはなくて、

そのときは結婚したかったし、好きだったんだよねえ。

でも、21年しか生きていない分際で

この先60年近くをこの人と添い遂げられるかわからないし

それは相手が誰であっても

今のわたしには一生添い遂げられる相手を選べる自信なんて

全くなかった。逆にあったらすごくない?みたいな。


結婚してからもっと好きになる人に出会うことだって、

歳を重ねるにつれて自分の価値観が変わることだって、

長年一緒にいる中でずっと同じ関係でいられないことだって、

ぜんぜん普通にあると思うんだよねえ。

そういうことがあるかないかなんてわからないし、

そういう状況になったときに我慢してでも継続するほどの

婚姻関係ってもはやなんか怖いし、

もっとカジュアルに今大切で一緒にいたいから結婚する、

そうじゃなくなったら解消する、

また誰かと結婚したいと思ったら結婚するくらいの感覚でも

いいんじゃないの?って思ったし、

実際二股してる人間の誓いに価値なんてないので

もはやなんのために誓ってるんだろうと思うし、

たぶんそういう人ってこのお兄ちゃんだけじゃなく

一定数いるんだろうなあと思ったり。


▼ふたつの愛のかたち

ここからはネタバレを含みます。


3つ目のこれがわたしとしては

一番堪えたところだったなあ。


婚約者の果歩さんは、許し受け止めて無償の愛を与えられるタイプ。

浮気相手の美沙さんは、与えるから求めさせてほしいタイプ。

わたしは圧倒的に後者なので、

前者の強さというか、一段大人なかんじがきついなあと思った。


人間誰しもないものねだりだと思うから、

もちろん果歩さんも美沙さんに劣等感を感じる部分や

浮気されている自分に対する感情はいろいろあるんだろうけど、

自分の強みを理解して自らを保てるのは強い。

人間失格の宮沢りえさんに通じるものを感じた。


わたしも

“ゆるす愛し方知らないんでしょ?”って

言える大人の女になりたい。

はい、一瞬おたく挟みましたごめんなさい!


許すことって、許し続けることだと思ってて、

許し続けるには許した自分を肯定し続ける必要があると思うから

わたしにはまだまだできそうにないなあと思う。


許す、許せない、許してもらったみたいな話よく聞くけど

わたしは許せないのと同じくらい

自分が許してもらうことも耐えられないくらいまだまだ未熟。

許してもらったという過去を背負って、

いつ許され続けられなくなるかもわからないまま

誰かと共に生きることはわたしにはできないなあ。


そもそも、許し続けるという意識をもって

相手を許している人も少ないと思うし、

でも許し続けることができないのに許すっていうのは

ちょっと責任感が足りないんじゃないかなあとも思うし、

『許す』ってとっても難しい行為だなあと思いながら

わたし含め3人しか入っていない劇場を後にしました。



思うこと、考えることはいろいろあったけど

観ているこちらまで息ができなくなりそうなラスト4分くらい

ずっと言ってあげたかった言葉を

最後の最後に洋子が言ってくれて、なんかもう全部救われた気がした。


たった7日間の上映期間、

少し無理をしてでも足を運んでよかったと思える映画でした!

よし、裏アカも見るぞ〜〜〜!

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