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詩と死

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まつわる詩
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2019年10月の記事一覧

ねこのうた

ねこのうた

神さまはどこにでもいる
ロックンロールみたいに生きてみたいのよ
こわがりはいまのうちになおすから

アンテナ 嗅覚 わたしのアイコン
エアコン完備 夜はつつぬけ
たんぽぽ ひげの根 わたしのおまもり
たまにはくさむら 朝はつゆほど

宇宙はどこにでもある
ミスタードーナツに攫われたいのよ
さみしがりはいまのうちになおすから

明日のことも考えられないのに
言葉なんかおぼえちゃいられないな
蹴り上げ

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惑星バスルーム

惑星バスルーム

話が弾んだ水曜日
なんでもできちゃう気がしたんだ
今夜の夕食はなにかしら
今夜の夕食はなにかしら

ライトが眩しい午前二時
なんでもできちゃう気がしたんだ
電柱の上で待ってるね
電柱の上で待ってるね

街頭演説もうきらい
ナポリタンも食べ飽きたし
お昼寝したら朝だったし
テレビで人が死んだ
窓の外で人が死んだ
心の中の人が死んだって
誰も気づいてくれないんだから

ペットの犬猫は立ち入り禁止
ミラ

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夕日を見る森

夕日を見る森

偽物の宗教に惑わされ
安全になった、僕ら

すべての魚はここで息をしている、
深淵はまるで魚たちの呼吸であるようだ
すべての脳はここで息をしている、
深淵はまるで思考の廃棄場であるようだ

SOS SOS すべてに意味などないけれど
SOS SOS すべては作り話だったのだ

SOS SOS すべてが息をするように
SOS SOS すべてが君を取り込んでゆく

SOS SOS すべての心音を溢して

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この世界が

この世界が

藍色の息を橙のちっぽけな宇宙に吐き出した
色は混ざることなく、
孤独は消えることなく、
さみしさなんてものがあると
本当におもっているのだろうか

まっしろの光に蛍のちっぽけな命があたって消えた
命はもどることなく、
あかりは濁ることなく、
かなしいなんてことがあると
本当におもっているのだろうか

ひとりでよかった
誰とも交わらなくてよかったな
ひとりでよかった
誰にも愛されなくてよかったな

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moment

moment

僅かな雲の隙間に差し込む片手を勇気と呼ばせて

186円じゃいのちだって失くしやしないけど
公園の飲み水で感染しちゃって失くなりそうだ
いのちの電話にワン切りかまして怒られようかな

中身のないあいで純潔を汚しても
すきなバンドの新譜が出る前に消えちゃいそうだ
昨日注文した通販の蓋をあけて天使になっちゃおうかな

きれいなみずを
きれいなみずと
言えたところで飲めやしないんだ

大好き

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屋上階

屋上階

薄っぺらいドアのドアノブを回したくらいで大層なトンネルを駆け抜けた様な気にならないで
どの季節もカーディガンを羽織るようになった理由を無為に勘繰ったりしないで

かなしくて泣いてるわけじゃないよ
かなしいから泣けるわけじゃないよ
お人形じゃないよ

突き抜ける高層ビルの屋上から見下ろす少女に下から声などかけないで
色恋をカクテルのつまみとして楽しむ彼女らに避けられるあの子のことを可哀想と思

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