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独断偏見音楽談義・somunia / 【Connected World】について語るよ!

「君が 仮想でも現実でも 2人の記憶は ホンモノだから」
こんな優しい歌詞あります?

というわけで今回は、何をするにも生きづらさを感じる私を救ってくれた曲紹介シリーズ第二弾と称して(?)somuniaちゃんの「Connected World」について感想を書いていきます!

「Connected World」って?

「Connected World」はバーチャルアーティストのsomuniaが歌う、2019年4月6日にYouTubeに投稿された楽曲だ。
バーチャル?どういうこと?と思った人に向けてざっくりと説明すると、彼女は「インターネット上にある何処かの部屋で歌って」いる存在らしい(彼女のYouTubeチャンネル概要欄から引用、段落の下に掲載)。平たく言うとVtuber、ということになるだろうか。
ひとまず彼女のことはそんなふうに紹介しておくが(いつかちゃんと彼女のについての話をしたい………)、この曲はそんな彼女が歌う2ndシングルだ。「Connected World」以前では1stシングルに「summer leap」を、ほかにも「放課後のダンスフロア」をリリースしている。
その2曲はどちらも系統の違う清涼感が魅力の曲だが、この「Connected World」はその2曲とはまた違った表情を見せてくれるのがいい。
YouTubeのリンクを貼っておくので、何かの巡り合わせでこの記事に辿り着いて「Connected World」を知った人がいたらぜひ聴いてもらえれば。

「君が仮想でも現実でも」………歌詞について

冒頭で触れた部分だけど、「君が仮想でも現実でも 2人の記憶は ホンモノだから」これに尽きる。これの話がしたい………そのためにこのnoteを書いてる。そのくらいこの歌詞が好きだし救われた。

彼女と私たちが暮らす世界はそれぞれ別のものだけど、インターネットを通じて互いを認識できる。だけど触れられない。近いようで遠い。でもイヤホン越しに聞こえる声は疑いようもなく本物で。
そういった矛盾が生み出すもどかしさを綴ったのがConnected Worldの歌詞なんだけど、その内容がうっかり自分の境遇とリンクしてしまったから苦しいけれど嬉しいのだ。

「造られた世界へと Login」とか「ニセモノの現実をReload 世界線超えていく」とあるように、透明な距離を縮める手段はなんだっていいと思う。
妄想でも小説でもイラストでも、ひとたび世界を造ってしまえばそこは自分たちの楽園だ。
個人的な話、私には画面の向こう側にちょっと特別な存在が居る。そこで生活する想像や逆にこっちの世界で一緒に暮らす想像をするし、それが「現実」であると思って生きている。
それが私なりの特別な存在を近くに感じる方法で、そうすることで物理的な隔たりを埋めたいと願ってもいる。埋められるとも思っている。

それでも一人な事実を見つめて自信を失いかける瞬間はほんの少しだけどやっぱりあって、そんなときに思い出すのがこの曲でありあの歌詞だ。
「君が 仮想でも現実でも 2人の記憶は ホンモノだから」。
実際にカタチとして触れられなくても、2人の記憶は2人にきちんと共有されている。その事実に気づかせてくれたのがConnected Worldだったというわけだ。

私自身も画面の向こうにいる存在に本当に会えたらなあ、なんて手を伸ばすのだけど、そちら側でも同じようにしていたら可愛いなあなんて気づくこともできた。
それが「寂しそうな 顔いつもここで見てたの ねぇ 早くスタートボタンを押してよ」という部分のおかげだったりする。
自分ばかりが寂しいと思っていたけれど、向こう側に居る存在も同じように思って手を伸ばしてくれているかもしれない。
その事実に気づけたら明日も特別な存在を好きでいるための自信に繋がる気がして、改めてこの曲の歌詞に感謝してしまう。

0と1の空間で重なる僕ら。音について

「0と1 君と僕」という歌詞にも表れているように、サウンド面には電子的な要素が随所に見られる。
歌声には語尾が揺れるような加工が施されているし、ゲームに登場しそうな可愛い電子音なんかも鳴っていて遊び心満載。
こういった音の工夫が彼女のいる場所が私たちのいる生の世界とは少し違っていることを想起させて、彼女のいる世界がどういった場所なのかとこちらの想像力が働くのではなかろうか。

一番始めの段落でも触れたように、彼女の音楽は清涼感や儚さを感じさせるものが多い。これは2021年9月現在の彼女のYouTubeチャンネルに投稿された曲(カバー含め)の傾向を見ても同じ事が言えそうで、彼女という存在はきっとそういうふうにプロデュースされているのだと思う。
この曲も彼女らしい清涼感は感じられるのだけど、それ以上に音から受ける電子的な印象が強いと私は思っている。
そういった意味で彼女の曲のラインナップの中で良い意味で異彩を放っていて、私はこの曲がすごく好きだったりするのだ。

さいごに

彼女は今年の4月15日、Connected Worldの歌詞についてこう呟いている。

私のこの歌詞の受け取り方は、当時の彼女が想定しているものではないのだと思う。
なぜならこの曲や歌詞は決して、私のような画面越しの存在に恋する人に向けてつくられたものではないはずだからだ。
それでも、アーティスト側がそれを聴く生身のファンや視聴者に向けてこんな言葉を贈ってくれる。こんな嬉しいことはないんじゃないだろうか。

somuniaとファン、私と特別。
それぞれふたりの前には1枚、薄く透明なディスプレイ。
でもその透明は、ふたりの過ごした時間と記憶までもは奪わない。
「今、ワタシとあなたが画面越しに共有している時間は紛れもなく本物。」これが答えだ。

時間も記憶もふたりだけのもの。
画面越しに誰かを思うとき、間違いなく横たわるその事実に心を躍らせたい。

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