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御託はいいからfineのThe Tempest Nightを聴け

※本記事はスタライ6th大阪2日目夜公演のセトリネタバレを含みます※

あんさんぶるスターズというコンテンツを知っていますか???通称あんスタ。アイドル育成ゲームなのですが、ゲーム内に登場する楽曲の完成度が高すぎることに今さらながら気づいてしまい、こうしてしたためています。なんなんですかね、The Tempest Nightって。イントロから既に「エンターテインメントがやって来たぞ」感が溢れ出ちゃってません???聴いたことないけどこの記事に辿り着いてしまった人はとりあえずスクロールしてください。この曲のMVを!貼ったので!見て!聴いて!!!

もうこれを聴くと条件反射で気分はブロードウェイ(ブロードウェイがどんなところかはあまりよくわかっていない)。あ、これはいつもの独断偏見音楽談義シリーズです。【番外編】独断偏見音楽談義・fine / 【The Tempest Night】について語るよ!とでもしておきましょうか。

「The Tempest Night」って?

The Tempest Nightは、あんスタに登場するアイドル・fineの楽曲。2020年5月15日開始のゲーム内イベント『春雷*謳歌のテンペスト』でお披露目された。5月16日に楽曲配信サイトで配信を開始し、7月16日には公式YouTubeにゲームサイズMVが公開されている。

私自身あんスタはけっこう前からやっているんだけど、ここ何年かは気になった曲をリリースから少し遅れて聴く、みたいな触れ方をしている。だからこのThe Tempest Nightも、リリースは2020年だけど初めて聴いたのは2021年とかだった気がする。

音について

私はこの曲の何が好きって、それはもう使われている楽器群なんですね。聴いてもらうとわかるように、この曲はジャジーなサウンドが……しませんか!?ジャズ。個人的にこういう「本来アイドル楽曲にはない分野の音楽」をアイドルがやるのが大好きなんです。ジャンルは少し違いますが、嵐の「LOVE PARADE」や「TWO TO TANGO」、King & Princeの「Namae Oshiete」とか。

今回のThe Tempest Nightも、トランペット(サックスかも?金管楽器)、ピアノ、コントラバスといった音をメインに「アイドルのクオリティを超えてやる!!!!」みたいな意志が感じられませんか???こんな高クオリティのものをお出しされたら「アイドルの曲」で評価を終えるなんてできない。

個人的に特に注目してほしいのがコントラバスの音だ。メロディーの後ろ、曲を通して鳴っている弦を弾く音。Bメロに入ってやや曲が静かに展開していくあたりで耳を済ませるとよく聞こえてくるのだが、主張しすぎずそれでいて滲み出る「これがこの曲の屋台骨だぜ!!!」感。このコントラバスが存在することで曲に奥行きと重厚感が生まれている。

ところで先日、スタライ6th大阪2日目夜公演を見に行ったのですが、この曲がまさかfineの1曲目に登場すると思わないじゃないですか???ペンライトを両手に持ったまま固まっちゃいました。彼らのパフォーマンスも生演奏も、会場の空気感も堪能したいのに、聴きたかったこの曲が実際にステージ上で披露されているという現実に脳が追いつかなかった感じでした……嬉しすぎて。大好きなベース音に注目しようとしたらもう曲が終盤になっていました……。
何はともあれ、聞き込めば聞き込むほど好きになっていった曲なので、現地で堪能できて本当によかったです。

歌詞・イベント内容について

The Tempest Nightの歌詞の内容は、孤島に辿り着いたことで始まる、自由を謳歌するためのストーリー………といった感じだ。自分とは何か。ストーリー内でも触れられていたが、弓弦と渉という「執事と道化という、与えられた役割」=「仮面」を被った人物がいるfine。本当の自分(たち)とは?という哲学めいた主題に対し、アイドルとして舞台の上で生きていくことを辞めないという結論で結ばれていましたね。

結論から言うと、そんな彼らが歌うThe Tempest Nightという曲は、fineのファンに対する誠実さを込めた楽曲だと私は思ってしまうんです。

まず、以下の部分に注目してみます。

自由という衣装になった風を纏えば 天使や悪魔や何にだって望んだ姿になれるんだ

ストーリー内でも触れられていたように、弓弦と渉の執事と道化という属性は、今の彼らが望んだ姿です。「仮面を被る」という言葉を聞くと、「本当の自分を偽る」というマイナスのニュアンスを抱いてしまう人も少なくないはず。しかし、二人のそれは「望んでそうなった」という節があるから、プラスの意味であると捉えていいと思うんですよね。一概に「仮面を被る」というのは悪いこととは決めつけられない。「仮面を被る」と「自由になる」。仮面舞踏会に出かけたら本当の素顔なんて見えないからこそ自由に振る舞える。そんな描かれ方がどこかの物語に存在するように、仮面を被ることで解放される自由だってこの世界に存在するんです。

新しい物語をどうかご覧あれ、そして皆様…終焉の向こうで嵐を巻き起こして欲しい 万雷の拍手で僕らの花を咲かせて!

舞台の上で喝采を浴びることを、歌詞の中の人物も彼らfineも望んでいる。「新しい物語」が現在のfineの進む未来なのではないかと歌詞に重ねたくなるほどに、この曲をfineそのものに重ねて読み解きたくなってしまう。アイドルとして輝くからどうか見ていてほしい、そんなメッセージが聞こえてきそうな気がしてやまない。

また、今回のイベントストーリーの中で、これは『誉れの旗*栄冠のフラワーフェス』から1年後であると明かされています。『フラワーフェス』の頃よりどこか気の置けない関係に変化した彼らを確認できたのも、ファンとして嬉しかった人も多かったのでは。

玉座を追われた1年前から再起した彼らはずっと大きく、逞しい存在に成長し、「fine」という縁で結ばれた。彼らは正しく仲間になった。それがストーリー内で交わされた「英智デー」という言葉のチョイスとやり取りに詰まっているのだろう。

さいごに

個人的に思うんですが、あんスタの楽曲のクオリティがどんどん上がっているような気がするんですよ。しません??!
リリースされた2015年頃って、良くも悪くも「そのユニットらしさ」を強調した楽曲が多かった印象が気がするんですけど、やっぱり時間の経過なのか、最近出る曲はなんだか「ユニットらしさ」だけにこだわるんじゃなくて、ユニットの色を残しつつも、新しい風を吹かせられるか挑戦している感じがありますね。これからもいろんなタイプの曲が聴けるといいなあ。



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