見出し画像

高橋優 弾き語り武道館 ~黒橋優と白橋優~ 白橋優 自分のための備忘録

「デビューして10年とちょっとやってきたけど、やっぱり会うって言うことを大事にしてきたんだなぁって思って。何かと直接会うことが難しい世の中だけど、「馬鹿だなぁ」って言われても僕は皆さんに直接会いに行きたいと思います。だから、また、必ず会いましょう。」

いつも直接会えることを会場に居る誰よりも喜んで楽しんでいた人にとって、この2年間と少しの世界はどれだけ苦しいものだったのだろう。どれだけ不安だっただろう。どれだけ再会を信じてくれていたんだろう。思えば会うことが難しくなった頃からずっと「次は直接会いましょう」「みなさんとまた会える日を」「ぼくはずっと歌って待ってます」2年遅れの10周年ツアーが始まっても「今日ここで会えて本当に良かった」「また会いましょう」「生きてさえいればまた会えるから」会いにいくこと、会えることに対しての気持ちをたくさん言葉にしてくれていた。その言葉のすべてがこの世界に生きる一音楽ファンにとって、一人の人間にとって最強に心強かったし希望だった。

「今日ここに来てくれたみなさん、そして…みなさんの周りの席、空いてるでしょ?感染症対策で空いてる分もあるけど…来れなかったみなさん、チケットを買ってくれたけど来ないことを選択してくれたみなさんの席…まだまだ直接会うっていう事が難しかったりする世の中だけど、いつかみなさんに会える日を思って書いた曲です」なんとも言えない寂しそうな悔しそうな表情でそう言ってから歌い始めた ‘’ おかえり ‘’
途中で声が掠れてきて音が少しだけズレて、背中が小さくなったように見えた。「どうしたの?声枯れちゃって上手く音出せないのかな…?」心配しながらその背中を見ていたらスクリーンにパッと映った高橋優が泣いてた。なんとか我慢して声を出すけど上手く出せてないし涙は止まらなくて。終わってから眼鏡を外してタオルでゴシゴシ拭くくらい泣いてた。あぁもう、こんなに綺麗で真っ白な心の人を泣かせないでおくれよ。誰も経験したことのない事態でツアーが中止になってしまった時、音楽が不必要だと言われた時、自ら環境を変えた時、誰にも正解が分からない中でイベントをやる時、受け取る側の人間なんかより遥かに沢山の不安や葛藤や覚悟、顔も名前も心も無い大きくて鋭利な声、攻撃されたりもしたのかな、傷付いたりもしたのかな。どれだけ悔しい思いをしたのかな、いつも笑顔で前向きな言葉を発してくれていた後ろでどれだけのことを考えて悩んだのかな…… とにかく、とにかく勝手にこの二年間の高橋優のことを思ったら、あの涙を見たら、苦しくなって泣いてしまった。

「 いつでも帰って来られる場所を作ってくれて、不自由や理不尽と戦ってくれて、ずっと、ずっと、ずっと、みんなのこと待っててくれて、歌い続けてくれて、本当にありがとう。」そんな気持ちを込めながら力いっぱい拍手した。残念ながら今はこれでしか気持ちを伝えられないから。伝わってるかなぁ、少しだでも伝わってればいいなぁ。

「ありがとう 今ここで君と僕とで居られるということ」から始まり「生きていけ」で終わった白橋優のセットリスト。MCからもセットリストからも総じて「会う」ことと「生きること」への強い執着心みたいなものを感じた。生きてさえいれば、何があっても、生きてさえいればまた会えるし何度でも会える事を喜び合える。会うってこんなに尊いものだったのか、皮肉にも会えなくなってしまった期間を超えたからこそそう強く思えた。そしてまた会える日を目一杯に楽しみにすることが出来る。あーーーまたこのくだらなくて生きにくくて息しにくい世界を生きなくちゃ。

この二日間の間に武道館で見聞きしたこと、感じたこと、全部覚えておくなんて出来ないから少しでも残しておきたくて。ちょっと未来の自分が読んだら呆れちゃうくらいの駄文だけれど、ちょっと未来の自分が羨ましく思ってくれたらいいな。人と比べたら、なんてことないつまらない人生かもしれないけれど高橋優という人と出会えて、わたしは幸せな人生を歩めていると思える。こんなくだらない人生をそんな風に思わせてくれてありがとう。生きたいと思わせてくれてありがとう。ありがとう、巡り合わせてくれて。そしてこれからもずっと。大丈夫、高橋優が居てくれるなら。わたしはまだ生きていける。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?