後家兼光に会いに丸の内へ 2024『超・日本刀入門 revive―鎌倉時代の名刀に学ぶ』展
後家君に会いに静嘉堂文庫美術館に行ってきました
静嘉堂文庫美術館丸の内に、後家兼光を見に行ってきました
このほかにも、国宝の手掻包永、本田家や向井家の武将にかかわる刀、東北発祥の刀派・宝寿、木造十二神将立像、ゲーム内でもおなじみの曜変天目など展示されており面白かったです
静嘉堂文庫美術館丸の内は予約制でした
土日やナイトミュージムがあった日はとても大盛況だったようで、私がサイトを見た時には予約がすでに埋まっておりました
すごいなあ、大人気でうれしいね
江戸時代の丸の内周辺と静嘉堂文庫
さて、静嘉堂文庫美術館に到着
それにしてもおしゃれな建物だな~
上にはアーケードのような天井があり、日の光が燦々と入ってきて緑が綺麗です
こちらの建物「明治生命会館」は1997年重要文化財に指定されています
おしゃれで雰囲気ある建物なのも納得です
戦後一時的にGHQに接収されていたようで、1956年まで使用されていたそう
マッカーサーもここで会議してたんかい
ホワイエの天井 内装もおしゃれです
壁も何かの化石がありそうな感じ…東京駅のカニの化石のようなものがないかと眺めておりました
江戸時代の地図見ると、ここの場所は武家屋敷が並んでいるエリアだったよう
ちょうど火消与力・松平采女のお屋敷や火消与力組屋敷、昌平坂学問所を管理していた林大学頭のお屋敷の場所にあたるみたいです
1797年には、この場所で「東海道五十三次」で有名な歌川広重が誕生したとのこと。びっくり
もともとお家が定火消の同心だったようで、広重自身も20年そのお役目についてから、絵に専念したそう
へぇ〜そうなんだなあ
また幕末には、現在の福島県郡山市にある安積国造神社の宮司の家に生まれた安積艮斎が、昌平坂学問所の教授になっています
いろんなところとつながりが見えてきて面白いですね
またご近所には
鶯丸さんのご実家、越前勝山藩・小笠原家と、
織田信長の次男・信雄の子孫から続く、出羽国天童藩・織田家の上屋敷があります
↑↑鶯丸さんの元主の親戚に当たる、伊豆木小笠原家の史跡・旧小笠原書院に行ったときの旅日記
↑↑出羽国天童藩・織田家と、宗三左文字所蔵元の建勲神社のポスト
1890年に明治政府がここ一帯を民間に払い下げした際に、三菱が一括取得
1895年から三菱二号館、1934年に明治生命会館などが建てられ、洋風オフィスビルが立ち並び…一丁倫敦(ろんどん)と呼ばれるほど、赤レンガ造りのおしゃれな街並みになっていたようです
もともと静嘉堂文庫は岩崎家の邸内に設立された図書館が始まりだそうなのですが、「このオフィス街に美術館を」というのが創始者世代の夢だったそうで、創設130周年の2021年6月に開館したとのこと
美術館としての歴史は意外にもフレッシャーズなんですね
同じ時期に六本木のサントリー美術館にも行ったのですが、こちらは「生活の中の美」をコンセプトに、茶の間にいるようにのんびりしながら美術品を楽しむ美術館だそう
都内の美術館にもそれぞれ違ったコンセプトがあって面白いです
1章〜3章 日本刀の基礎から名刀の展示
展示内容は刀の種類って?刀の各部分の呼び方は?といった基礎知識が解説された資料とパネルがあり、そこから時代ごとに刀が展示されています
解説の下には、刀の押形も
なるほどね、こういう模様や特徴がここにあるのか〜
とてもわかりやすい展示です
国宝「曜変天目茶碗」
また中央の展示室に国宝「曜変天目茶碗(稲葉天目)」がありました
大体ホワイエの後家くんパネルの真後ろの位置でしょうか?
…これは、確かに国宝だ…
これまでにも写真や映像なんかでみてはいたのですが…
実際に見たら納得の美しさ
独特の反射を作り出しているのは「構造色」という現象
色素によるものではなく、表面の複雑な構造が光をさまざまな方向に反射&特定の波長のみ反射することで、この不思議な輝きがでるそう
CDの表面やコガネムシの羽と同じ仕組みの反射や光り方だそうですが、それよりもっとギラギラとはっきりした虹色の光り方をしていました
この稲葉天目は、現存する曜変天目の中でも特に模様がはっきり表れているものだそう
こりゃ昔の人も一目見て宝物にするわな
ほんと納得。実際に見られてよかったです
また、稲葉天目との名前があらわす通り、徳川家光の乳母・春日局のエピソードが有名です
かつて家光が疱瘡にかかった際、その病気平癒を祈って今後一切薬は口にしないと「薬立ち」の願掛けをおこなった春日局
晩年、彼女が病床に伏した際、家光が手ずからこの曜変天目に薬を入れ服用するようすすめたそうですが…春日局は薬をすべて襟元にこぼして「お薬は頂戴しました」と答えたとのこと
もう自分は元気だからと少しでも薬を飲んでもらいたかった家光の気持ちも、一度決めた誓いを決して破らない春日局の意志の強さも、この二人の親子よりさらに強い信頼関係や絆もよく伝わるエピソードです
あの意志の強さがなければ、戦国の終わりから江戸の初めまで、動乱の時代を生き、「生まれながらの将軍」を育てることができなかったのだろうな~
ベルばらで有名な池田理代子先生の「春日局」にも、終盤そのシーンが描かれています
その後は春日局の子孫・山城国淀藩・稲葉家に伝来し、大正時代に三井財閥に譲渡されたそうです
なるほどね
木造十二神将立像(うち7体)
また、同じ鎌倉時代の作品として、「木造十二神将立像」も同時に展示されていました
ほぼ3方面から見えるケースだったので、後ろ姿もしっかり見れます
鎌倉時代の彫刻って、本当に躍動感ありますね
今年建立900年を迎える中尊寺の持国天・増長天の像も鎌倉時代の作風が強い像でしたが、確かに平安時代の仏像と比べて衣や表情など動きのある姿でした
↑↑東京国立博物館で開催された、特別展「中尊寺金色堂」については、こちら。同時期に三日月宗近が展示されておりました
…確か龍の十二神像は東京国立博物館にあるんじゃなかったっけか?今年の1月ごろに展示されてた記憶…
…ありました
●「特集 博物館に初もうで 謹賀辰年(きんがしんねん)―年の初めの龍づくし―」
十二神将立像(辰神)
静嘉堂文庫に7体、東京国立博物館に5体所蔵されているようです
武将と名刀 ー号 後家兼光ー
最後、一番奥の部屋に後家兼光と一文字守利・古青江守利の刀が3つ並んで展示されていました
でかいな…
もとは3尺(90センチ)の大太刀だったようで、大磨り上げして今の大きさになったそうです
それでも、隣の向井家ゆかりの古青江守利の刀が71.2センチなのに対して80センチもあり、十分な存在感です
御伴機能で写真撮った時も、後家くんでかいな足長いな…と思っていたのですが…
もともと刀としても大きかったんですね
この「後家」とは直江家の姫であり、直江兼続の正室・お船の方のこと
兼続は直江家に婿入りしたわけですね
この船姫を主人公にした歴史小説が「花に背いて」
ちょうど大河ドラマ「天地人」と同じ時期ぐらいに地元紙の山形新聞にも連載されていたそうです
また米沢のゆるキャラ・かねたんのお友達にもおせんちゃんがいます
かわいいね
もともと豊臣秀吉から兼続が拝領し、兼続が亡くなった後、妻の船姫が上杉家に献上したことからこの名がついたのだそう
持ち主はそうそうたるメンバーで
豊臣秀吉→(御遺物)→直江兼続・船姫→(献上)→上杉家→(明治維新後の処遇の助言に対しての謝礼)→山内容堂→(重臣に下賜)→後藤象二郎→(娘婿へ譲渡)→岩崎弥之助
と、戦国時代の大名から幕末の偉人まで
すごい人たちのそばにいたんだね~後家くん
右隣に展示されていたのは「太刀 銘 守利 (金象嵌)本田平八郎忠為所持之」
本田忠為は、本田忠勝の孫にあたります
なので、刀剣乱舞に実装されている刀剣たちとの関係をみると…
祖父:本田忠勝ー蜻蛉切
父:本田忠政ー桑名江
孫:本田忠為ー太刀 銘 守利 (金象嵌)本田平八郎忠為所持之
今後実装されたら、親子孫の三世代で出陣ができるかもしれませんね
裏側に刀による切り込みがあるそうで、実際に戦いに使用していたものと思われます
左隣に展示されていたのは「太刀 銘 守利」
向井家は船手頭として徳川水軍を率いていた旗本の家で、大坂冬の陣では九鬼守隆と協力し大阪勢と戦ったとのこと
ちょうどゲームの8月イベントで九鬼正宗くんがやってきたので、タイムリーな時期でしたね
向井家は当初、日本橋兜町、現在東京証券取引所のあるところに上屋敷があったようで、九鬼家のお屋敷ともご近所です
(ちなみに九鬼家のお隣が、歌仙さんの元主・細川家の八丁堀下屋敷だったよう。永青文庫のある肥後細川庭園以外にも、7か所ぐらい?お屋敷が江戸にあったようです。すごいね)
ただし、享保2年(1717年)の小石川馬場火事で焼失します
その後は現在の墨田区の駒形付近にお引越し
ちょうど両国の刀剣博物館のあるエリアになりますね
また、九鬼正宗は九鬼守隆から徳川家康へ献上されたのちに、形見分けとして紀州徳川家へ受け継がれていくことになります
刀ひとつでも、いろいろな人や物事につながっているんですね~
↑↑九鬼正宗のほか、江雪左文字・太閤左文字が展示されていた、特別展「名刀・江雪左文字」の旅日記
さて最後にミュージアムショップへ
特に目を引いたのは…SNSでも話題になっていた「ほぼ実寸の曜変天目ぬいぐるみ」
持ってみると、思ってたよりちょっと小さ目なお茶碗です。厚みはそこまで厚くない感じ
裏の高台まできちんと再現されていて本格的です
ご…5800円かぁ…
なかなかいいお値段するため、今回は曜変天目のてぬぐいにしました
やっぱりあの美しさを見ると、何かしらグッズがほしくなりますね
国宝の魅力ってすごい
また、今回の展示をきっかけに江戸の町並みなど、いろいろ知ることができて楽しかったです!
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