19.強迫観念

 僕は強迫観念もある。もう八方塞がりでは????

 僕に襲いかかる強迫観念はいくつかある。

 一つは「財布を持ったか」どうかということ。そして「財布の中身は充分か」ということだ。出かける前には必ず鞄の中の財布の中のお金を確認し、家を出て自転車を出すときに鞄の中の財布を確認し、自転車を漕ぎながら店や駅までの間に一、二回鞄の中の財布を確認する。そして店や駅に着いて、中に入ったところでもう一度確認し、そのまま財布を持って施設内を歩く。歩きながら一度くらい財布の中身を確認する。

 一つは「家の鍵を閉めたか」どうかということ。これは最近ちょっとマシになり、鍵をかけたあとドアをガチャガチャっと開けようとして開かないことで安堵して終わるが、昔は歩道に出たところで玄関に戻り再びドアをガチャガチャっとやっていた。

 一つは「忘れ物がないか」どうかということ。出かけたときに頻繁に不安になる。電車の中や車の中で、急に何かを忘れたような気がして不安になり、ズボン……はパジャマから穿き替えた、Tシャツ……も寝間着じゃない、財布は持った、ケータイも持った、ティッシュハンカチウェットティッシュもある、指輪……は三つともしている(今はアルコール消毒が必須なのでしていないが)、ネックレスだってちゃんと付けている。指差し確認をして、それでも不安が拭えず、小一時間不安が続く。

 ちなみにこの「忘れ物」は物体に限らなくて、家にいても時々起こり、「なにかを忘れている気がする」のだが九割は思い過ごしだったりする(そして一割は実際になにかを忘れているからいつも不安になる)。

 旅行に行くときなどは本当に大変で、前夜鞄に着替えなどを詰め、翌朝出発前に全部引っ張り出して再度確認し、ホテルに着いてまた確認をするのだ。朝出した時点で何かしまい忘れそうなので本当にやめて欲しいのだが、僕は気になって気になって、さっき出したときに何かをしまい損ねたかも気になるものだから、酷いときには家を出る前に二回くらい確認する。

 そういうとき、大抵二回では気が済まないのだが、最後の手段、財布とケータイさえあればあとは現地で買えばいい、という魔法の呪文を使う。三回くらい心の中で唱えて、えいや!と出発するのだ。

 ケ・セラ・セラ!

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