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ヘロンの公式の証明とその導出方法
皆さんはヘロンの公式というものをご存じでしょうか。ヘロンの公式を簡単に説明すると、三角形の3辺からその三角形の面積を求めることができる公式です。今回はこれの証明と導出方法を解説していきます。
ヘロンの公式とは
ヘロンの公式とは下のようなものです。
$$
△ABCの3辺をそれぞれ a,b,c とし、\\
s=\frac{a+b+c}{2}としたときの△ABCの面積Sは、\\
S=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}
$$
今回はこれを証明していきます。
使う公式・定理
・余弦定理
・$${\sin^2\theta+\cos^2\theta=1}$$
・下図のとき、$${S=\frac{1}{2}bc\sin{A}}$$
![](https://assets.st-note.com/img/1716452181857-QdbTLEXyyG.png)
余弦定理についてはここでは省略します。$${S=\frac{1}{2}bc\sin{A}}$$は正弦定理を利用した三角形の面積の公式です。下記に簡単な証明を記しておきます。
【$${S=\frac{1}{2}bc\sin A}$$の証明】
下のような図を考える。
![](https://assets.st-note.com/img/1716452571376-P5Qu5eVrLz.png)
この三角形の面積は$${c×f×\frac{1}{2}}$$であるから、
$${S=\frac{1}{2}bc\sin A=\frac{1}{2}cf}$$が成り立ち、$${b\cdot\sin A=f}$$である。…①
ここで、正弦定理より、$${\frac{b}{\sin90^{\circ}}=\frac{f}{\sin A}}$$である。
これを式変形すると$${b\cdot\sin A=f}$$となるため、
①より$${S=\frac{1}{2}bc\sin A}$$が成り立つ。
ヘロンの公式の証明と導出方法
1. sinAを3辺の長さで表す
さて、ここから証明に入っていきます。実はヘロンの公式は先ほどの$${S=\frac{1}{2}bc\sin A}$$を式変形することで得られます。しかし、ヘロンの公式は三角形の3辺から求める公式なので、sinAを3辺の長さで表す必要があります。ここで余弦定理を利用して変形します。
$$
余弦定理 a^2=b^2+c^2-2bc\cos A より、\\
\cos A=\frac{-a^2+b^2+c^2}{2bc}\\
\sin^2\theta+\cos^2\theta=1より、\sin\theta=\sqrt{1-\cos^2\theta}であるから、\\
\sin A=\sqrt{1-\frac{(-a^2+b^2+c^2)^2}{4b^2c^2}}
$$
これでsinAを三角形の3辺の長さで表すことができました。
2. sinAの√内を整理・因数分解する
次にsinAの根号内を整理していきます。
$$
\sin A=\sqrt{1-\frac{(-a^2+b^2+c^2)^2}{4b^2c^2}}\\
=\frac{\sqrt{4b^2c^2-(-a^2+b^2+c^2)^2}}{\sqrt{4b^2c^2}}\\
=\frac{\sqrt{(2bc)^2-(-a^2+b^2+c^2)^2}}{2bc}\\
=\frac{\sqrt{(2bc-a^2+b^2+c^2)(2bc+a^2-b^2-c^2)}}{2bc}\\
=\frac{\sqrt{\{(b+c)^2-a^2\}\{a^2-(b-c)^2\}}}{2bc}\\
=\frac{\sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}}{2bc}
$$
因数分解するときれいに和と差の積の形が現れます。
3. 1/2bc sinAを計算する
$${\sin A=\frac{\sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}}{2bc}}$$ということが分かったので、次に$${\frac{1}{2}bc\sin A}$$を計算します。
$$
\frac{1}{2}bc\sin A\\
=\frac{1}{2}\times bc\times\frac{\sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}}{2bc}\\
=\frac{\sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}}{4}
$$
そして、$${S=\frac{1}{2}bc\sin A}$$より、$${S=\frac{\sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}}{4}}$$となります。
4. 得られた式を変形する
最後に$${\frac{\sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}}{4}}$$を変形していきます。
$$
S=\frac{\sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}}{4}\\
=\frac{\sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}}{\sqrt{16}}\\
=\sqrt{\frac{1}{16}(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}\\
=\sqrt{\frac{1}{2}(a+b+c)\cdot\frac{1}{2}(-a+b+c)\cdot\frac{1}{2}(a-b+c)\cdot\frac{1}{2}(a+b-c)}\\
=\sqrt{(\frac{a+b+c}{2})(\frac{-a+b+c}{2})(\frac{a-b+c}{2})(\frac{a+b-c}{2})}\\
=\sqrt{(\frac{a+b+c}{2})(\frac{a+b+c}{2}-a)(\frac{a+b+c}{2}-b)(\frac{a+b+c}{2}-c)}\\
$$
$$
ここでs=\frac{a+b+c}{2}とすると、
S=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}
$$
これでヘロンの公式が証明できました。
3辺に根号が含まれるときに有効な方法
ヘロンの公式は3辺が分かっている場合の面積を求めることができるので、余弦定理の応用問題や三平方の定理の応用問題に使うことができます。しかし、ヘロンの公式だと3辺のどれかに根号が含まれているときの計算が面倒です。そこで、式変形の途中で出てきた下のような式を利用すると楽になります。
$$
\sin A=\frac{\sqrt{\{(b+c)^2-a^2\}\{a^2-(b-c)^2\}}}{2bc}\\
S=\frac{1}{2}bc\sin Aより、\\
S=\frac{\sqrt{\{(b+c)^2-a^2\}\{a^2-(b-c)^2\}}}{4}
$$
このようにすると根号が入っている式でも根号の入っている辺を$${a}$$に代入することで基本的に根号が外せます。根号が入る辺が2つ以上ある場合は少し工夫しないといけない場合もあります。
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