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知らない景色を

高校生で出会い、もう10年の仲になる友人と
旅行に行った。

小さな島の田舎町で出会った、数少ない親友。

今まで、沖縄•東京、石川や静岡、
レンタカーを借りて2人で見たことのない景色を
たくさん見に行った。

今回はどこに行こう?と話した結果、
私の希望で、雪を見に岐阜旅行に。

いつもの旅行とは違い、特に予定を決めることなく
レンタカーは借りず、
新幹線とバス•電車を乗り継いで長旅をすることにした。

1日目は下呂温泉。
到着した時にはもう16時、少し街を散策して旅館に。
18時から会席料理を食べ、お誕生日をお祝いしてもらい、温泉に浸かり、ああなんて幸せだと。

高校生。周りを気にする思春期や青春時代を共に、
理系の底辺の中で厳しい受験勉強を共に、
そして今はもう立派な看護師。

平日なもんで、温泉は貸切だった。
くだらない話ばかりする私達ですが、今回はゆっくり
2人で今後の話をした。

夜、布団に入り「幸せだ〜」と呟く私に、
「どこが幸せだって感じたの?」と問う友人。
「私を取り巻く家族、友人が健康でいれること、
 仕事がうまくいっていること、
 趣味や挑戦したいことがあること、
 女の子の日でもないし口内炎•ニキビが無いこと、
 26歳という誕生日を〇〇から祝ってくれたこと」
1人で長々と話すと、友人が
「ほんと、小さな幸せって積み重ねると大きい。 
 当たり前の日々に感謝だね。」と
かすれるような小さな声で呟き、
すぐに眠りについた。

朝も貸切のお風呂に入り、朝食はご飯をお代わりし、
2日目は私がずっと行きたかった「白川郷」に。

電車で1時間、バスで2時間。

電車は各駅停車で無人駅。
友人が私の肩に頭を乗せ眠っている中、
電車から見える景色は徐々に雪が増えていく。
目の前に座っている学生服を着た女の子が、
赤シートで単語帳を見ている。
ああ、私達も2人してこうやってたな。
脳裏に問題を出し合う私達を思い浮かべる。

白川郷は日本人より外国人が多く、
「私達にまで韓国語で話してるよ。」と
笑う友人を愛おしく感じた。

目の前に精一杯広がる雪景色、
和室で囲炉裏を囲みお鍋を食べる。
外では子供達が雪合戦をしていたり、
男性が雪かきをしている。
カップルが雪だるまをつくっていたり、
騒がしい声を聞きながら。
ああ、本当に幸せ者だ。

帰りの電車もバスも友人は眠っていた。
「何でこんなに眠れるんだろう。」
日々、仕事、頑張っているんだよ。
本当にお疲れ様。

新幹線は駅弁を購入し、2人で小さな声で
「乾杯!」と。

本当に、本当に穏やかな旅行だった。

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