と ろ け る

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マグカップに白くて甘い蜂蜜入りのミルク。窓の外には、柔らかな雪が積もる。そんな、絵に描いたように理想的な冬の日。こんな時、考えるのは決まって君のことなんだよ。この季節になると、ベージュと深いグリーンのタータンチェックのマフラー、ぐるぐる巻きにしてやって来る、君のこと。

氷みたいに、人の心が溶かせたら、気持ちまで透けて見えるのかな。ふかふかのベッド、ひんやりしたシーツの上、目を閉じて思い浮かべるんだ。ふたり一緒にいる明日。でも分かっているんだ、どれだけ願っていたって、手を伸ばした人にしか、幸せどころかチャンスすら、やって来てくれないことを。だから今、精一杯の勇気を鞄に詰めて、今日もおやすみって、天井に呟くの。そしてあっという間に、夜は朝を連れてくる。でもわたしは、毎朝こうして起きるのが大好きだ。カーテンの隙間から差し込む光も、騒がしい目覚まし時計も、少し重たい瞼でさえも。全て君に会える、合図みたいだから。外の雪は、すっかり溶けていた。

AM9:30。授業の始まりを知らせる、チャイムが響く。黒板に白いチョークの文字、ノートの端にこっそり書いた君の名前。どんな時も、君の気配を探していた。しゃぼん玉みたいに、人の心が手に取るように分かったら、100%、君好みの私になれるのだろうか。それとも、触れた途端に、消えていってしまうんだろうか。そうして、授業が終わる音がした。

「ねぇ、さっき何考えてたの?
ずっとうわの空だっただろ?」

イタズラっぽいこの問いは、今日いちばん聞きたかった声で、耳に届いた。寒がりな君は、教室の中でも、まだマフラーをしたままだ。ふとした瞬間で緩んでしまいそうなこの頬に、一生懸命、力を入れて。わたしは、鞄から勇気を取り出した。

「今日、一緒に帰りたいな。」

ふたり、同じ景色を見るために。
ふたり、お揃いの明日を過ごすために。
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