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ディグ・モードvol.55「ブローク(BLOKE)」

ブローク(BLOKE)は、2015年にフェイス・オルワジミ(Faith Oluwajimi)が設立した、ナイジェリア拠点のファッション ブランド。農業からファッション業界に進んだデザイナーは、ファッションにおけるジェンダーについて強いビジョンを持つ。彼は地元で調達した素材を使用し、ナイジェリアのニッターや職人と協力しながら、ジェンダーフルイドな服作りをしている。


農業からファッション業界へ

2021年春夏コレクション(Courtesy of BLOKE)

フェイスは、ラゴス市から車で約1時間のイジェブ オデという町で育った。父は視覚芸術の修士号を取得した美術教育者兼フォトグラファーで、彼は父を通してアートに出会った。ある日、母から編み物をしている友人のことを聞いた彼は、実際に彼らを訪ね、そこで編み機の使い方を教えてもらった。彼がニットウェアやファッションに興味を持ったのは、そのときだった。

その後、フェイスはナイジェリア南西部にあるアベオクタ連邦農業大学に進学し、農業を学んだ。彼は2年生の頃からファッションデザイナーになりたいと思っていたが、ナイジェリアには学校が無く、デザインとファッションについては自分で考えながら農業大学で授業を受けていた。

農業は、彼が望んだキャリアであるファッション業界と繋がりがある。農業とファッションが交差する部分のひとつは、素材だ。たとえば、最高の羊毛を生産するための羊の選択的な繁殖、蚕の養殖、綿の植え付けなど、ファッションの製造部門で使用される多くの有機素材は、農業と関連している。

ジェンダーフルイドなデザインで男らしさを探求

2019年春夏コレクション(Courtesy of BLOKE)

ブロークは、マスキュリンとフェミニンが融合した、ジェンダーフルイドなデザインが特徴だ。ブランド名には、男らしさを探求したいというデザイナーの想いが込められている。彼はファッションにおけるジェンダーについて強いビジョンを持っており、ナイジェリアの新しい世代が国の保守的なバックグラウンドに変化をもたらすことを期待している。

「ナイジェリアは実際には保守的な背景を持つ国ですが、新しい世代の男性、とくにソーシャル メディア世代は境界線を気にせず、自分自身を表現することを気にしないと思います。だからこそ、ブランドは対話を続け、ナイジェリアで徐々に変化するカルチャーの一部になるためにここにいます」とフェイスは『Metal Magazine』のインタビューで語っている。

職人技がデザイン言語のひとつ

2020年春夏コレクション(Courtesy of BLOKE)

フェイスのデザイン プロセスは、まずテーマを考えるところから始まる。次にテーマを断片に分解し、少しずつ元に戻していく。そうして、そのシーズンのストーリーを伝える最善の方法について、考えが深まっていくのだ。彼が作る服は、ブランドの精神に沿っていて、ストーリーを伝える媒体である。

デザインで使用する主なテクニックは、ニッティングやかぎ針編み、スクリーンプリントだ。ブロークでは職人技を大切にしており、職人のサポートもおこなっている。地元で調達した素材を使用し、ナイジェリアのニッターや職人、多様なテキスタイル アーティストと協力して、持続可能性を念頭に置きながら、繊細に作られている。

コミュニティとしての機能を果たしたい

フェイス・オルワジミ(Photography by Christopher Ebuka)

ブランドのウェブサイトによると、ブロークは「スピリチュアルな意識があり、アートを愛し、型にはまらないアフリカのアイデンティティを持つ人々のコミュニティ」だ。 それはまさにブランドの根底にある要素であり、目指している役割でもある。そして、ブロークではニットウェアを好むレーベルでありながら、それだけでなくすべての可能性が常に模索されている。

フェイスがアフリカのファッションシーンに望むことのひとつは、才能を育成するための学校ができることだ。アフリカにはセントラル セント マーチンズやパーソンズに匹敵する学校がなく、すべて自力で学ぶ必要がある。「アフリカでクリエイティブの機会をもっと多く得られるようになることを願っています」とデザイナーは『TITLE MAGAZINE』で語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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