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語彙と感性

 “ああいうことを話していた”ということは憶えていても、“ああいうことを考えていた”ということを多く憶えている人は少ないかと思います。言葉に表したり表せたりすることは強く意識できても、言葉に表したり表せたりしないことはあまり意識しないものです。だからこそ、その人がもつ語彙と感性は切っても離せないものだと思っています。

 “左”や“右”というのは基本的な言葉です。ですがもし、日本語に左右にあたる言葉がなければ、僕たちは左右の概念を発見できたでしょうか。僕たちが幼い頃から左や右という言葉を常習的に使っているからこそ、左右はごく自然な感覚の一部として機能しているのだと思います。逆に、“切ない”や“侘しい”という言葉を知っていても、日常的には一概に“悲しい”という言葉を使っていれば、自分の感じる切なさと侘しさの差異に鈍感になると思うんです。つまり、自分のもつ語彙といっても、それが咄嗟に出てくる言葉の一つでなければ、その語彙に紐ずく感性は衰えてしまうのではないでしょうか。


 マジ卍。

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