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ふらり旅 #1−1

 数日前、大学時代の友人から急に連絡がきた。

「11月の頭の連休って何してる?」

 お金も時間もない我々は、1泊2日の旅を決行することにした。我々の計画は常に適当である。会う時間と泊まるところは決め、後はなんとなく行きたい場所に行くのだ。

今回の集合場所は米原駅。

 乗り換えのため、大垣駅で一度下車。知らない駅に降り立つ瞬間のドキドキはいくつになっても消えないものだと改めて感じた。ホームに立って「普通米原行き」を待つ。思っていたより冷たい風に、私は思わず上着の前を閉めた。

 普段訪れない場所を車窓からみているのは楽しい。

 知らない人が歩いていたり、電車に向かって手を振る子どもがいたり。

 あの山々の向こうはどんな土地なのかを想像する。

 そこではどんな夕暮れが見えるのだろうか。

 そんなことを電車に乗りながら考えていたら、以前大学の先生に「何処で執筆するのが一番捗るか」と質問されたことを思い出した。私には間違いなく「電車の中」が一番捗る場所である。草案までではあるが、電車での移動中が一番集中できる。適度な人の目と、ボックス席はある意味仕切られた空間だからだと思う。

 ただ、周りの人には少し迷惑なのかもしれないと、静かな電車の中で一人カチャカチャと音を立てながら書いている今の自分をみて思った。


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