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違う日にはこんなことも言われた
「文系ってなんの役に立つの?」
「ビジネスに役立たない学問って意味あるの?」
理系の社員さんだった
嫌味ではなく純粋に気になっての質問だった
答えられなかった
悔しかった
私は大学で心理学を勉強していた
「心理学を勉強していた」というと
まず「心が読めるの!?」と言われる
仕事だと変な期待を持たれる
「人の心が読めて営業に役に立ちそう!」
「コミュニケーションが上手そう!」
大学の4年間なんかでは到底身につかない
仕事に活かすレベルまで心理学を習得するには
講義で得た心理学の基礎知識を
どう実用化できるかを常に考えて実践してないと無理なんじゃないかな
大学で心理学を学んで唯一分かったことは、
「人の心は分からない」ということだった
そもそも一括りで心理学といってもたくさんある
カウンセラーは臨床心理学が主な分野
その他にも発達心理学、社会心理学、病理心理学、認知心理学、行動心理学、知覚心理学………
私は社会心理学が好きだった
身の回りの現象に名前がつくのが嬉しかった
(この気持ちには名前があったのか)
(この行動はこんな名前だったんだ)
今までもやもやしていたものがすっきり整頓されるイメージ
名前がつくことで自分だけじゃないのかと安心する感じがした
他にも、家族との向き合い方、生き方、倫理観
哲学的なこと、自尊心について、今を認めること、
精神的な病はどんなものなのか、どんな対処法があるのか
心理学は私の人生を救ってくれた学問だった
それをビジネスに生かせないがために意味がないと切り捨てられるのが
社会の役に立たない学問は意味がないと言われるのが
悔しかった
そしてそれが説明できない自分も悔しかった