地図と小説
小説を書いている。一度しか訪れたことのない場所を舞台にしてしまったので、グーグルマップで航空写真を眺める。のちに路線とか、距離感とかを確かめる。
そこに住んでいる人の気分になって、自分ではないような気がしてきて、不思議な心地になる。気づくと、画面上でその街を散歩していて、あまり筆は進まなかった。
学生時代、友だちとパソコンを囲んで、グーグルマップでそれぞれの実家を検索したことを思い出した。友だちの家の屋根をみて、周りにあるものをみて、それぞれが育ってきた環境に思いをめぐらせた。そしたらそうして同じパソコンを覗いてあーだこーだ言っていることが、とても有り難いことに思えた。あれはとても楽しかった。
土地と、そこに積もる日常。書きたいものは、そういうところにあるなと思った。
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