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8月✕日

いつも通りの朝だった 。

「 夏休みだからっていつまでも寝ていないで 、起きなさいっ 」

そう言いながら母親はカーテンを開けた 。
瞼を閉じていても光が刺さってくる 。

今日も暑くなりそうな日差しをにらめつけて
やっとの思いで体を起こした 。

階下に降りて、朝の情報番組を見ながら 用意されていたトーストを齧った 。

お馴染みのキャスターが神妙な顔で 、

「 速報です 」

と、高校三年生の女子生徒2人の飛び込み自殺について報じた 。

わたしと同い年だ 、と 思っていたら

更に現場の中継画面に切り替わり、映ったのは
私の通う高校だった 。

「 えっ 」

わけがわからなくなり 、スマホを開いて
親友の陽菜( ひな ) に電話をかける 。

わたしと同じ高校の誰かが、電車に飛び込んで死んだ?

誰だか見当もつかない 。
とにかく落ち着かなくて 、
陽菜と話したくて 、声が聞きたくて 、

「 どうしたの〜?」

といつもの様に間延びした言葉を待った 。

しかし何コールしても彼女は出ず 、背中で嫌な汗が伝うのを感じた 。

何度も何度も何度も 彼女にかけた 。 やはり彼女は電話にでない 。

もうこの時間なら彼女は起きているし 、スマホが手元にないなんてありえない 。

そう考えを張り巡らせていると 、同じクラスの里美から電話がかかってきた 。

「 …はい 」

「ねえ!はるな!テレビ見てる?うちの学校の子が飛び込み自殺したって!!!! 」

興奮気味にはなす里美は 、息を荒らげている 。

「 … 見てるよ 、怖いよね 、」

目がまわる 。気持ちが悪い 。朝から耳が痛くなるほどに大きい声ではなす里美の声を聞いていたくなくて 、

「 …ごめん、ご飯の途中なんだ 」

と、切ろうとした瞬間

「 飛び込み自殺したの 、陽菜と澤田さんなんだって!!!!!」

「 っ 」

息が止まった 。

陽菜が自殺?しかも澤田さんと?
どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?

「 ねえ、はるな何も聞いてないの?陽菜とあんなに仲良しだったじゃない 、陽菜って澤田さんと仲良かったの? 」

陽菜の事ならなんだってわたしが一番知っている 。
わたしの事も、陽菜が一番知っている 。

それなのに 、どうして?澤田さんと?
どうしてわたしじゃないの?ねえ、どうして?