見出し画像

向こう側

橙色のような
桃色のような
菫色のような

磨り硝子から見えた秋桜色を忘れない

18:35
18:55
19:05
19:20

五分置きくらいに見ていた。
白い鉄格子の向こうにある、
磨り硝子を、毎日、決まった時間に。

日が暮れゆくときを
こんなにもゆっくりと
体感したことは無い。

とても、穏やかな時間だった。

夕食に出たとんかつが
胃の中で満たされているのか
眠たくなってしまった。

こんなに馬鹿な話はない。

(二〇二三年 五月)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?