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果たしてフォロワーは友達なのか

ちょっと前に男友達と喋ってる時、「俺はアイツのこと親友と思ってるんだけどさぁ~」みたいな結構アツイ発言がナチュラルにあって、男同士の友情っていいなぁと思った。
そんな時、ふと大人になってから友達とか親友と言える人が少なくなってきた気がする。というか親友ってなんだよ。

そんなこんなで久々にデジタル大辞林さんにお世話になることにした。

そもそも友達とは

とも‐だち【友達】
互いに心を許し合って、対等に交わっている人。一緒に遊んだりしゃべったりする親しい人。友人。朋友(ほうゆう)。友。

デジタル大辞泉

一緒に遊んだり喋ったりはわかるけど、この前半の「互いに心を許し合って」「対等に関わっている」って結構難しくないか?
友達同士にだって隠し事だってあるし、見下したりされたり、バカにしたりされたりあるはず。と、こんな発言をしている時点でなんか自分の性格の悪さというか面倒くささが出ててやだな……

さて次に親友とは

しん‐ゆう〔‐イウ〕【親友】
互いに心を許し合っている友。特に親しい友。

デジタル大辞泉

すごいシンプル。友の中の友。最強の友達。

互いに心を許し合ってる、ということを具体的に表現すると何なんだろう……とかいうと以下略。

まぁたぶん、私にだって友達みたいな人はいるし、多分親友と言ってもいい人もいるはず。一緒に遠征行ったり、朝まで飲んだり、熱く語り合った夜だってある。
ただこの「はず」と表現してしまう理由がたいていの相手が「Twitterのフォロワー」という関係だからだ。
というかこのインターネットSNSのフォロ・フォロワーとかいう関係が結構難しいというか、ややこしい。

フォロワー
フォロワー(follower)とは、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)上で特定のユーザーの投稿を定期的に閲覧するユーザーのことを指す。特定のユーザーを「フォロー」することで、そのユーザーの投稿が自身のフィードに表示され、情報を取得することが可能となる。

実用日本語表現辞典

辞典にはこう書いてあるし、確かにこうだけど、なんというか体感ちょっと違う。

私とTwitterの出会いは高校1年生の夏だ。
当時、高校のクラスに馴染めず、浮いてたしなんなら多分いじめられてた。
憧れて、頑張って勉強して入った高校だったはずなのに、憂鬱な日々は続き、とはいえ親に言うほどのことではないのでただただ学校に通っていた。
そんなときに出会ったのが「7と嘘吐きオンライン」。

元々同作者の「堀さんと宮村くん」が好きで(なんなら堀宮みたいな高校生活送りたいなぁとか思ってた)、「へぇ新作かぁ」くらいで読んだのだが、その中で出てきたのがTwitter。

そしてこの漫画が出た同時期にやっていた「素直になれなくて」というドラマでもTwitterが出てきた。

確かTwitterはまだ一部の人しかやっていないSNSで、今までのホームページでもブログでもないこの何かが少し注目されていた頃だったような気がする。

そんなこんなで見ていたドラマや漫画で出てきたこの謎SNS、ノリで始めて、ノリで色んな人をフォロー・フォロバした。
そこからフォロワーのフォロワーをフォローしたり、なんやかんやあり、数カ月後にはこの「Twitter」でのコミュニケーションが現実のコミュニケーションよりもメインになっていた。
朝起きて「おはよう」と呟き、学校に行って「授業だるいな」と呟き、家に帰って「学校疲れた」と呟く。
テレビを見ながら実況をし、風呂に入るなら「風呂入ってくる」といい、眠るギリギリまで好きなことを呟く。
独り言のようでいて、誰かとの会話のような、このぬるま湯のようなここちよさが、当時現実に疲れ果てていた十代半ばの私にとっては必要不可欠なものだった。

当時、インターネットで知り合った人と会うなんて、いわゆる「オフ会」で、ちょっと、いやだいぶハードルが高かった。
あとはライブやイベント会場で「えっ?もしかして〇〇さんですか!」みたいなちょい照れみたいな会話から「終わったらご飯行きませんか?」とプチオフ会みたいなこともした。

あれから10年……
フォロワーの中でもイベントやライブがなくても会える関係の人が増えた。
大学終わりに遊びに行ったり、仕事終わりに飲みに行ったりもしたし、遠方のライブにも行って一緒にホテル泊まったり、その流れでプチ旅行した。
世間から見たこの「飲みに行ったり遊びに行ったり、なんなら一緒に遠方に行く」関係は「めちゃくちゃ親しい友達」なんだろうけど、こちらからすれば「Twitterのフォロワー」なのである。

というか、高校時代にメインコミュニケーションフィールドがリアルからインターネットに移行してしまったので、友達や親友と言える人はいなくなり、フォロー・フォロワーの関係の人間ばかりになった。

Twitterのいいところって、思ったことをそのまま呟けるし、なんなら対面で誰かに言うことが難しいことも吐き出せてしまう。
学校のこと、職場のこと、恋愛のこと。
誰かに聞いてほしくて、でも誰かに伝えるには少し重くて、知っていてほしいけど聞き流してほしいことを独り言というていで吐き出せる。
だから私の込み入った話を知っている人もいるし、逆にフォロワーの込み入った話も知っている。
多分こういうことをお互いに言い合える関係が「友達」であり「親友」なんだろうけど、フォロワーってインターネットに吐き出されたものを見た・見られたの関係なので、近いようで遠い。

今回のタイトルの「フォロワーは友達なのか」だけど、
職場で「旅行行ったんですよ。友達と」とみたいなことを言いながらお土産を配ってる時、(本当はフォロワーだけど)と心の中で思ったのがきっかけ。
また別件でフォロワーと飲みに行ってる時、酔った勢いで「私はみんなのこと友達って思ってるけど友達って思ってていい?」みたいなだいぶ恥ずかしいことを言った。(その時同席していたフォロワーはウケてた。)

外で人と話すときはフォロワーって言うと「えっ、ふぉろわー?」って言われるので友達と言って話すけど、結局フォロワーはフォロワーであって友達ではないと思っている。
でもフォロワーよりも友達のほうが親しい!とか思ってないし、別にそこに優劣はないと思っている。

TwitterがXになってインプレゾンビまみれになった今、「Twitterがなくなるかもしれない」未来が見えてきた。
フォロワーの中にはLINEやDiscordのアカウントを知っていて、Twitter以外の連絡手段がある人もいるので、最悪Twitterがなくなっても連絡は取れる。
ただ、Twitterがなくなった時、みんなで別のSNSに移ったり、そもそもSNSというものをやめてしまったら果たしてその人はなんなのか。

別にオチも結論もない。

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