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【コトバの広場】ふぞろいの英語たち

小学生だったか、中学生だったか、国語の教科書だか英語の教科書だかに「コトバの広場」なるミニコーナーがあった。いや「コトバの泉」だった気もする。まあどっちでもいい。割とどうでもいいこと(少なくともテストには絶対に出ないこと)が書いてあり、退屈な授業の羽休め的なコーナーだった。毎日どうでもいいことを書いてると、ふと思い出した。

コトバまわりの割とどうでもいいことといえば、緻密に織り成された日本語に対しての英語のほつれ問題である。さすが世界一普及している言語だけあり、もちろん概ね素晴らしい言語だ。「Marvelous!」はメチャクチャマーヴェラス感滲み出てるし、「Stupid!」なんておろか者感ハンパない。「Coward」の臆病者演技なんて素人の域を超えている。

そもそも英語で「文字」のことをCharactorというだけあり、個としてのキャラ立ちは日本語は彼らに遠く及ばない。一方で集団になった時の連携の乱れはいささか気になる。日本語に勝機があるとすれば、ここだろう。

たとえば、英語界のドンである「Pardon?」一味だ。これは本来「すみません、聞き取れなかったのでもう一度言ってもらえますか?」と、大変申し訳なさそうな演技をしながら使うフレーズなのだが、ボスの「Pardon?」氏がとにかく喧嘩っぱやすぎる。そこで、僕が習った受験英語では「I beg your Pardon?」と言うようにと躾られた。「beg」とは乞うという意味だ。聞き逃してしまったとはいえ、いくらなんでもへりくだりすぎだろう。ボスのメンチで起きた小競り合いを部下たちが平身低頭はいつくばってなんとか収める、という涙ぐましい師弟関係であり、現代人も少しは見習うべきだろう。

また、ひっくり返すことを表す「Upside Down」。上の部分を下にするって言いたいんだろうが、手際が悪すぎる。このてんやわんや感では、到底うまくひっくり返せないだろう。お好み焼きをUpside Downしたらとても食べられたものではない。読ませ方も「アップサイド」と書いておきながら「アプサイド」と読ませるあたりほつれを取り繕ったアップアップ感がもうたまらない。おおよそ、とりあえず仮置きして「あとで詰めましょう」と言ってたら、なんだかんだでそのまま校了してしまった、といったところだろう。

「Upside Down」程度ではひっくり返らなかった私がひっくり返ったコトバがある。それが「What on earth?」である。意味は「一体全体」。ふとしたギモンを呈そうと思ったら間違って天変地異を起こしてしまい、狼狽しまくっている感が満載だ。しかしこれ以上「一体全体感」のある言い方も他にはあるまい。類義語に「パルプンテ」がある。

最後に、大好きなコトバを2つ。ひとつは環境保護ムーブメントの元祖レイチェルカーソンさんが唱えた「センスオブワンダー」というコトバ。毎日のささやかな幸せに目を見開く感性を持つこと。もうひとつはパスツール研究所で有名なルイ・パスツールさんの「Prepared mind」というコトバ。自分のやっていることに四六時中夢中になれる人のもとにひらめきは訪れるのだという意味。昔「覚えておくと、からだにいいコトバがある。」というコピーがあったが、この2つはきっとからだにいいコトバだと思う。

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