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【朝ドラ考】ホームvsビジターの勝率差から考える「エール」の効果

エールが面白い。テンポの良い脚本に、二階堂ふみのヒミズ以来の叱咤激励ガールぶりや、クドカンがよく使う「物語装置としての第三空間」の役割を担う喫茶「バンブー」の存在。その女主人仲里依紗の怪演とそれをもっちゃりと支える野間口徹の夫婦コンビに、音楽ディレクターを演じる古田新太はあまちゃん「太巻」のセルフカバーだ。

さて物語の主人公である窪田正孝(古賀裕一役)のモデルは東京オリンピックのマーチを作った作曲家の古関裕而という人らしい。ほんまに天才かいな、ということで調べてみると「栄冠は君に輝く」や「六甲おろし」の生みの親ということだ。うん、これは天才ですね。

物語のテーマは、ドラマタイトル「エール」にあるように、応援することのチカラにあると思われる。たとえば早慶戦に勝つために窪田正孝に作曲を依頼する早稲田応援団は「応援歌で勝たねば早稲田は勝てない」と真剣に考えている。では、実際「エール」にはどれほどの効果があるのか?とある論文から紐解いてみよう。

論文タイトルは「プロ野球における勝率に関する統計的分析」とある(出典:http://www.st.nanzan-u.ac.jp/info/gr-thesis/2014/11se069.pdf)。まず表一で分かるのは、セ・リーグにおけるホームゲームの勝率は53.4%である。ということだ。次に表二をみるとパ・リーグでも53.9%ということでリーグによる差はないことがわかる。そして表三は唐突に「中日ドラゴンズ」単体の勝率が出現。南山大学の論文であるという状況証拠からも、この論文の著者は中日ファンである、ということがわかる。

ふと「おい、パ・リーグは客席ガラガラやないか」と不安になったが、データは2006年〜2014年の3000試合を対象としているのでその心配はなさそうだ。05には日ハムにダルビッシュ、07年には楽天にマー君、さらに04-07年はメジャーリーグ帰りのSUPER STAR新庄氏もいて、両リーグともちゃんと球場が埋まってきた時代のデータである。

さて、差分に注目するとホームゲームではセパ合わせて3236勝2669敗(引き分け125は捨象)となり、応援が盛り上がるホームゲームで勝つ確率は、負ける確率より21.2%も高くなるということがわかった。これはかなり有意な差に見える。まあここには「応援」要素以外にも、ホテルではなく愛する妻による体調管理や球場のクセの把握などの変数もあるので純粋な「エール」の効果とはいえないが。

ともあれ、早く神宮球場の外野席でぷはーっとビールをガブ飲みしたいなぁ。

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