2022年の作品集
2019年から毎年書いている「今年の作品集」です。私が作ったものをジャンル別に紹介していきます。
卓上ロボット
3Dプリント部品やマイコンを組み合わせて作った小型ロボットです。
卓上ライト Levey
ピクサーのマスコット電気スタンド「ルクソーJr」のような、小型のライトロボットを作りました。車輪が付いていて机の上を自由に移動、ライトの向きを変えることで、好きな位置を照らすことができます。
マイクロサーボを4個使い、M5ATOMで制御しています。電源も単4電池4本なので、部品の入手性難易度は低めです。
球体ロボ M5Sphere
クラウドファンディングサイトを閲覧していると、「Rollbot」という面白い球体ロボットを見つけました。どのような機構で動いているか考えていると、私はこれまで球体ロボットを作ったことないことに気づきました。そこで、勉強がてらオリジナルの球体ロボットを作ってみることにしました。
M5Stackとマイクロサーボをクリア球体ケースに内蔵しました。操作はPS3コントローラー(Bluetooth通信)で行います。
ギュスターヴくんロボ
エレキットの6足歩行ロボ「フォロ」を魔改造して、ヒグチユウコさんの「ギュスターヴくん」を作りました(なぜなら、私はヒグチユウコさんの大ファンだからです)。頭はネコのヌイグルミと交換、M5Stampを内蔵し、スマホで遠隔操作できるように魔改造しています。
開発過程は別の記事にもまとめています。是非ご覧ください。
自作roboBeats
6軸ロボットアームmyCobotをはじめ、Maker界隈で人気のElephant Roboticsが「roboBeats」という名の新しいミュージックロボットを発表しました。私は以前、myCobotを自作したことがあったため、このroboBeatsもマネして自作してみることにしました。
音楽の邪魔になるであろう、モータ動作音を静かにする為、腕の動作にはマイクロサーボではなくステッピングモーターを使用しました。音楽再生できるよう、もちろんスピーカーも内蔵しています。頭にはSPI通信で制御する液晶を取り付けています。
LOVOT mini (ミニラボちゃん)
ふと、小さなLOVOTが欲しいなと思って作り始めました。マイクロサーボを使用し、頭、腕、脚が各2軸の計6軸です。頭にはM5Stackシリーズのカメラやディスプレイが搭載可能で、目は小型液晶になっています。小さな体にいろいろなデバイスを詰め込むのが大変でした。
小型・省エネなので、無理にAIを搭載したり、複雑な制御をするつもりはありません。しかし、お腹に付けた赤外線センサーで、障害物を避けたり、前方の物に追従して動くようなアクションは今後実装予定です。
アクチュエータ
アクチュエータ、機構の要素開発です。
コンベックスリニアアクチュエータ
ロボコンで見かける、コンベックスをリニアアクチュエータ化するユニットです。今まで作ったことがなかったので、試しにステッピングモーターで製作してみました。とても面白い仕組みですが、安定して動かすのはなかなか難しいですね。
Spherical Parallel Manipulator
年初、スイッチサイエンスで中国Direct Drive Tech社製のダイレクトドライブモーターの取り扱いが開始されました。私はこれまでのMaker活動で、よくモビリティを製作していたので、とりあえず購入してみました。
しかし、素直に電動スケボー的なものを製作しても面白みがないので、メカ構造の勉強を兼ねて「Spherical Parallel Manipulator」なるものを開発してみることにしました。あまり繊細な動きはできなさそうなので、静かに素早く動かすことを目的にしています。
Stewart Platform
ある日、HACKADAYを見ていると、Stewart Platformの特集記事が掲載されていました。これはなかなか面白そうだなと思い、気づいたときには製作を開始していました。Stewart Platformは6つのアクチュエータで1つの天板を支え、その天板の位置と傾きを制御するロボットです。アクチュエータはステッピングモーター、マイコンはM5Stampを使用しています。
卓上雑貨
3Dプリントのみで作った卓上雑貨です。
クジャクペンスタンド
色鉛筆をさして、自分模様のクジャクが作れるペンスタンドです。なかなかオシャレで便利でした。現在、自分の部屋に飾っています。ThingiverseでSTLを公開しているので、ご興味ある方は是非プリントして使ってみてください。カラフルで映えますよ。
リアルセンスキティ
Twitterでネタが流れていて、そのまま勢いで勝手に作ってみた作品です。顔がリアルセンスD435iになっています。ただそれだけなのですが、リアルセンスの置台代わりにはなります。どんなコンテンツともコラボしちゃうキティちゃん。本当にIntel Realsenseコラボがあると面白いですよね。
fabcross掲載作品
私は昨年からfabcrossの工作ライターをやっています。今年は6件の記事が掲載されました。ここでは、工作記事5件をご紹介します。
家電の電源まで切れちゃう! リアルでスマートなハサミ
2月掲載。「モノを切る」と「電源を切る」の洒落作品。ハサミをチョキチョキ、切る動作をすると、赤外線で家電の電源が切れます。結構お気に入りの作品です。
新居をモデリングして快適な新生活を送ろう!
4月掲載。実は今年1月に引っ越したので、その時の経験談です。引越し前に部屋の間取りをモデリングし、家具の配置を検討しました。これが思った以上に役に立ったので、この先引越しを控えてる(3DCADが得意な)方にはおすすめです。
ここでモデリングした部屋は、Sketchfab(3Dコンテンツ共有サイト)にアップロードしました。これで誰でも自由にVR内見が楽しめます。
分解して学ぼう! Makerに人気な「リズミカルなくまさん」のヒミツ
6月掲載。魔改造の夜出演以来、イワヤさんのおもちゃが大好きです。「リズムだいすき こぐまのトンピー」を分解した記事になります。中身はカラクリ機構を用いた、面白い仕組みになっていました。おもちゃを分解するのは良い勉強になりますね。
ツイートを声に出して読む! 青い鳩時計をM5Stackで作る
9月掲載。ツイートに反応して、鳩時計のようにTwitterの青い鳥が動きます。ハード、ソフトともに良い感じに仕上がりました。
この作品は、普通の時計としても使えるので、部屋のオブジェとして活用しています。Twitterバードが出てくるのもとても愛らしいです。
液晶が丸くなるだけで面白い、ダイヤル式デジタル万華鏡を作る
12月掲載。丸形液晶を使ったアイデア作品。万華鏡の外装や組み立て方にこだわったり、自作基板を作ったりしました。なかなかコンパクトにまとめられたのではないかと思います。今回は動きの検知をエンコーダダイヤルにしましたが、シンプルにIMUでやっても良いと思います。
スタックチャン
スタックチャンは、M5Stackを使った手乗りサイズのコミュニケーションロボットです。オープンソースで、コミュニティがとても活発です。
そこで私も、いろいろな工夫を凝らしたオリジナルスタックチャンを作ってみました。
黄金スタックチャン
昨年、M5Stack Japan Creativity Contest 2021で3位入賞した景品として、黄金色のM5Stack Core2をいただきました。せっかくなので、金色のフィラメントと組み合わせ、黄金スタックチャンを製作しました。
ビンドゥンドゥンチャン
北京2022冬季オリンピックのマスコットキャラクター「ビンドゥンドゥン」。このキャラをオマージュし、スタックチャンと組み合わせてみました。
ミャクミャクチャン
大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」とスタックチャンを組み合わせた作品です。赤と水色のフィラメントで3Dプリントしました。
オブナイズチャン
スタックチャンはM5Stackをベースとしたロボットですが、別のマイコンキットでも同じように再現できないか考えました。そこで、M5Stackと同じくESP32を搭載したobnizを使用することにしました。
obnizはGPIOの自由度が高いことから、部品点数はとても少なくすみました(専用の拡張基板が不要です)。また、HTMLとJavaScriptで簡単にプログラミングできるので、開発難易度も低めだと思います。
reTerminal
reTerminal拡張モジュールコンテスト応募用に作った作品です。
rePlotter
昨年作ったM5プロッタロボの仕組みをreTerminalに応用しました。reTerminalの横から生えたアームが自由に動き、タッチパネルを操作します。ユーザーにタッチ操作手順を指示するのに便利かもしれません。また、制御用の基板は自作しました。
reTerminalCat
rePlotterの基板を流用し、ネコの耳を動かしています。基板やスピーカーはネコの手の中に内蔵し、まるで招き猫のようなデザインになっています。顔はガストのネコ型配膳ロボBellaBotのオマージュです。
もちろん、これといって何の役にも立ちませんが、置いてあるとなんだかかわいいです。
かわいいおもちゃ
ロボット未満、主に二次創作です。
土星ウサギのボールペン
ジャンプ+の購読者ならご存知、漫画「タコピーの原罪」で登場するアイテム「土星ウサギのボールペン」。
作中ではその機能がよく分かりませんでしたが、とりあえず動かしたら光ってニャーニャー鳴きます。コイン電池とチルトセンサー、音声ICでとてもコンパクトに作っています。
ゲーミングニョロニョロ
ムーミンバレーパークに遊びに行ったときに、ニョロニョログミを購入し、かわいいケースを入手しました。
これは光らせるしかないと思って、適当にNeoPixel入れて光らせただけの作品です。市販のキャラクターグッズを光らせるのも面白いですね。toioが中に入っているので、自由に動きまわっています。
ブランコで遊ぶatom-babies
M5Stack 社のATOM Matrixを顔としたかわいいいきもの「atom-babies」。
この作品を使って遊んでみようと思い、ブランコにのせてみました。電源配線をブランコ内に隠す構造にしています。また、電磁石の原理で持って、ブランコをユラユラ動かす用に作りました。
Smart Cat Toy
AliExpressやAmazonを閲覧していると、レーザーポインタを追いかけて遊ぶ、ネコじゃらし的なおもちゃを見つけました。面白そうなので(私はネコを飼っていませんが)興味本位で買ってみることにしました。しかし、買う前に、まずは自分ならどう作るか試してみようと思い、ひとまず製作にとりかかりました。
構造はシンプルで、頭に内蔵したレーザーポインタを、ステッピングモーターで左右に動かしているだけです。
ボム兵
かわいい小さな2足歩行ロボットを探していた時、マリオのボム兵が思い浮かんだので、作り始めた作品。実は歩行用ギアの設計を失敗してしまい、まだ動かせていません。近いうちに修正して動かすと思います。
作品のアップデート
過去の作品も定期的にアップデートしています。
chiro
コミュニケーションロボット「CHIRO」。システムの最適化とデザインの見直しを行いました。アップデートに伴い、作品名を「chiro」と小文字へ変更しています。ソニーの「AIBO」→「aibo」変更リスペクトです。
ラズパイを背中に斜めにいれるという大胆な構造と、オリジナル基板の製作で電気周りが結構スッキリしました。世間はラズパイ不足ですが、私の家にはたくさんあったので助かりました。
ソフトウェアも微修正しました。現状は顔追従や表情変化がデフォルトの機能です。今後は対話機能の充実化を目指していきます。
MakerDog v2
4脚ロボット「MakerDog」。Hackster.ioに作品登録したところ、なんと基板製造サービスのPCBWAYがスポンサーになってくれました(こういうことも時々あるみたいですね)。せっかくなので、この機会に電気設計の見直しと細かなメカ構造を修正。歩行ももっと滑らかにできるよう、ソフトウェアの作り込みを実施しました。
①シリアルサーボ「SCS0009」制御基板とボディの軽量化
②モーションの最適化
今後は、バッテリーをもう少し検討します。また、イベント会場用に有線でも操作ができるようにしていきます。
M5プロッタロボ v2
M5ATOMを使用した小型プロッタ「M5プロッタロボ」。昨年まで、プロッタ精度がいまいちだったのと、外装の作り込みに甘さがあったため、アップデートすることにしました。
①ペン持ち上げ軸の追加と外装アップデート
②関節にスラストベアリング追加
本当はMakerFaireTokyoに間に合わせたかったのですが、制御が間に合わず断念…。来年はどこかのイベントで文字や絵を描いているはずです。
Chibby
モバイルマニピュレータ「Chibby」。開発規模が大きいので、気が向いたときに触っています。要素開発を進めました。
①メカナム台車のROS2対応。
②グリッパーと手元カメラの確認。
③デザインの拡張性検討。
このプロジェクトは、世の中で流行っている技術を自宅でトライするのにとても向いています。思いついたときにいろいろ試しつつ、可能性を模索していくつもりです。
書籍
今年は本を執筆、8月に刊行されました。まさか、人生で本を書くことになるとは思いませんでした。とてもありがたいことです。
ものづくりっておもしろい! おもちゃから乗り物まで
偕成社「みんなの研究」シリーズの1冊として刊行されています。タイトルどおり、私がこれまで作ってきたものを通じて、ものづくりのおもしろさを伝えています。是非ご覧ください。
来年のものづくり
現段階で予定している、あるいは既につくり始めている、2023年のものづくりを紹介します。
スマートハサミ v2
家電の電源が切れる「スマートハサミ」。来年はv2を開発し、MakerFaireなどで販売できるレベルまで完成度を上げ作りこむことが目標です。既に外装と基板の製作を始めています。
v1はM5Stackシリーズのマイコンやセンサーを使ったものでしたが、v2ではマイコン選定からやり直し、もっとコンパクトにします。デザインも、もっとかわいらしくするつもりです。
BattleDog
今年、久しぶりに出展したMakerFaireTokyoでは、展示内容に遊び要素が少なかったのが反省点でした。作品にもっとゲーム要素を加え、子どもたちが楽しく遊べるようにしたいものです。
四脚ロボットのMakerDogは、簡単に複数台作れる完成度に仕上がってきています。このMakerDogを増産し、背中に電子銃を背負わせて戦う、BattleDogを製作しようと思います。ゾイドみたいなイメージです。
卓上ロボット連携
この記事からも分かるように、私は卓上ロボットをたくさん作っています。それぞれ単体で扱うのも面白いのですが、せっかくなので、複数台で連携したいものです(これは毎年やろうと思いつつ、なかなかできていないことです)。少なくとも複数台のchiroが連携して動いたり、話したりできると華やかになると思います。
スティックモビリティ ライト
箒型モビリティをよりシンプルにしたスティックモビリティ。オープンソースハードウェアにしているのですが、機械加工が必要だと作りにくいという声をいただいています。
そこで私は、機械加工不要なライト版を作ることを考えました。部品は購入済み、あとは組み立てて試すだけです。
最後に
きっと他にもいろいろ作ると思いますが、すでに思い描いているもの、作り始めているものは以上のとおりです。趣味のものづくりではありますが、もう少し今までよりスキルレベルや完成度を上げながら取り組めると良いかと思っています。
これまでの作品はProtoPediaでも公開しているので、是非ご覧ください。
来年も、もっとものづくりを楽しみましょう!
では、よいお年を。
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