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喫茶店百景-木の実 豆菓子 おつまみ屋-
ホワイトデーにコーヒーを贈ってくれた、MNさん。店にもよく来てくれていた。
MNさんと父との付き合いはお互いの結婚前からだそうで、ずいぶん長いことになる。私の子ども時代に店があったときはちょっと離れた町だったこともあり、ほとんど来ていなかったとおもう。MNさんは、おつまみ屋さんだ。父の店では、MNさんチの煎りピーナッツをコーヒーに付けて出していた。塩もなにもつけない素煎りのピーナッツは、薄皮が赤茶色でふっくら香ばしい。MNさんチで煎っている。
このおまけのピーナッツの薄皮を外す人と外さない人がいた。私は薄皮ごと食べるから、外す人を見ると(もったいないナァ)とおもっていた。
素煎りのピーナッツと、もうひとつ塩味のついたピーナッツもある。見た目はほとんど変わらなく、見分けるために袋の大きさと値段が違っている。塩味がついて、薄皮もそのままなのに塩の粒がついていることもなく、ふしぎだった。作り方を教えてもらって、納得した。
お父さんの代からというおつまみの商いを、夫婦でいまも続けている。父と知り合った頃は、夜中まで配達をしていたというから相当な忙しさだったんだろう。
MNのおじちゃんは、もの静かなほうでそんなところが好ましい。うれしいのは、父の店がなくなってもおつまみ屋さんに行けば会えることだ。MNさんには息子がいるが、その息子が将来の選択肢のひとつとして挙げたとき、儲からないからやめておけと言ったらしい。いつか、おいしい素煎りのピーナッツがなくなってしまうのは淋しいし、惜しい。
昔はバターピーナッツやうに豆も手づくりしていたそうだが、いま店でやっているのは煎りピーナッツのみで、他には店じゅう仕入れたつまみ菓子でいっぱいだ。ときどき商品が入れ替わったり、冬場はチョコレート菓子が増えたりして見逃せない。
奥さんも朗らかな感じで、夫婦で店を続けてきてケンカしたことなどないと聞いた。すごい。つい我が家と比べてしまう。
MNさんはカメラに凝った時期があるそうで、私がカメラを買った時に色々と教えてくれた。ある時マニュアルフォーカスのレンズが気になっていると話したら、自分が持っている単焦点のレンズを持ってきて「貸してあげるけん、撮ってみて買うかどうか決めんね」と言ってくれた。2か月ほど貸してもらって、同じ型の中古レンズを探して買った。
MNのおじちゃんは、父より少し年上である。まだまだ元気に店を続けてほしいとおもっている。
MNさんのレンズで撮った藤の花
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