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子ども時代からの本を詰める棚

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これまで読んできて特に好きなもの、印象に残っている本を詰める本棚です。読み終えたものを詰めることも。
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2021年2月の記事一覧

【私と本】スプーンおばさん

 茶さじくらいに小さくなってしまうおばさんのお話。  おばさんは、あるとき急に小さくなるのだけど、小さくなったことを騒いだりしない。「なるほど。スプーンみたいに小さくなっちゃったんなら、それでうまくいくようにやらなきゃならないわね。」といって、受け入れる。  小さくなったおばさんにはやることがたくさんあった。うちの中の掃除や洗濯もの、お昼ごはんのパンケーキまで焼かないといけない。おばさんは、ねずみとネコとイヌに話しかけ、掃除を済ませる。次に雨と南風と太陽に文句を言うと、洗濯

【私と本】ポテト・スープが大好きな猫

 子供のころから絵本が大好き。そしてやっぱりそこのころから、好きな絵本は繰り返し読んでいた私。  この絵本は、大人になってから出会ったもので、私が持っているのは文庫サイズのもの。先にB12取(260×240)で出版されている。文庫本で絵本というのに惹かれた。  猫と暮らすおじいさんの話で、訳は村上春樹氏。おじいさん、猫、村上春樹訳、好きな要素しかない。  表紙絵のボートはおじいさんのもの。もう1枚、お話の途中でおじいさんと猫がボートに乗っている絵がある。それがまた部屋に

【私と本】ヨーロッパ3選

 とにかく紀行本の類が好きです。自由に旅行ができる日々はいつ戻ってくるのでしょうか。わからない。 遠い太鼓 -村上春樹- 講談社文庫  文庫本でこの分厚さは頼もしい。まだ読めるという気分がいつまでもしてうれしい分厚さで、だけど終りはもちろんやってくる。ミコノス(ヴァンゲリス)、クレタ島、メータ村、トスカナの部分が特に好きだけど、毎回ちゃんと順に読む。その方がずっとたのしい。  この本の第1刷は1993年、内容は1986年から89年の約3年間に著者の村上春樹氏がヨーロッパに

【私と本】さくらももこさん

 20代になったばかりのころ、2度目の移住をした。知らない土地に引越すというのは、しばらくは友人もいないし、仕事もしていないと心細く時間を持て余すことになる。きっかけは忘れたが、さくらももこさんのエッセイ本をひとつ読み、その後立て続けに読んでいた。独特のおもしろい文体は心がなごむし、なんだかお気楽な気分になれるところがいい。さみしさが薄れていく気がした。  つい最近、意外なところでさくらももこさんの本に再会した。最近のちょっとした楽しみのひとつである「Quiz knock」

【私と本】ふたごにあこがれた

  ポプラ社から出ているこの児童書を何度読んだかわからない。イギリスの寄宿学校に通う、ふたごの女の子のお話である。シリーズ1作目の『おちゃめなふたご』では、イザベルとパトリシア(パット)がセント・クレア学園に入学するところから始まる。ふたりは別の学校に行きたかったが、両親は良識のある娘に育ってほしいと願い、そのためにクレア学園がいちばんふさわしいと決めたのだった。  ふたごは両親の決定が気に食わなかったので、いろいろ反発してやろうと入学してからも同級生や上級生、先生方に対し