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旅と巡礼

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近所だったり、ちょっと遠くだったり。旅と巡礼とは切り離せないもののようです。
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2022年4月の記事一覧

西坂に行ったことと巡礼にまつわる疑問など

 西坂で処刑された日本二十六聖人、そしてその地を願望できるかつての外国人居留地に建つ大浦天主堂のことをこの間書いた。そしてそのうちに、とおもっていた西坂のその場所にさっそく行ってきた。  車を停めて、二十六聖人記念館前に公園として整地されている場所に立ってみたけれど、案の定目線を遮る建物が多すぎて、ここから大浦天主堂界隈はとうてい見渡せない。当時はこんなふうに高い建物はなかったろうから、目を凝らせばきっと見えたであろう。  今回は記念館やフィリッポ教会に入ることはしなかっ

ちょっとだけ気になっていること

 遠藤周作氏の小説『女の一生』を読んだ感想(といえるのか)は本棚のマガジンに入れている。この小説のことを教えてくれたのはKさんだった。  『女の一生』には一部と二部があり、といっても「上下巻」のようにひとつの物語がつながっている構成ではなく、長崎のとくに大浦周辺を中心として、当時のキリシタンを取り巻く舞台設定という点で共通してあることと、一部と二部では時代が進んでいて、かつ登場人物のなかには血のつながりをもたせるなどして、分けてある。続けて読むといいし、それぞれの巻を、それぞ

堂崎教会とド・ロ版画

 先月の下五島訪問は、主に奈留島と久賀島がメインだったのだけれど、福江島での時間があまってどうしようかとおもった。未訪問の地区や教会というのも多く、悩んだけれど、堂崎教会にもう一度行こうとおもった。  ここは現在資料館となっていて、展示資料のなかにド・ロ版画があるのを思い出したのだ。前回訪問時に見た記憶がほとんどなかったため、きちんと見ておきたいとつねづねおもっていたのだった。  レンタカーを手配して、堂崎教会に向かった。この日の午前中は久賀島へ行ったのだったのだけど、久

奈留島はアジがおいしい

 奈留島は五島列島の下五島地区にある島だ。いちばん大きな島である福江島から定期船が出ており、その船で30分ほどで行くことができる二次離島である。島の住人は現在3,000人に満たない程度だとおもう。つまり小さな島なのだけれど、世界遺産ということで登録の数年前から注目を集めだした。構成資産のある江上地区には鉄川與助氏の設計施工による江上教会がある。  鉄川與助氏の手による教会堂には煉瓦造りの教会も多くあるなか、江上教会はすべて木造となっている。柔らかいクリームがかった白壁と窓枠に