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松島湾。震度4の地震と土砂降りの中での散骨。「沖縄 散骨」というキーワードで、Awichという女性ラッパーを知る。

朝から東北新幹線で仙台~塩釜へ。今年は、松島湾での散骨のご依頼が多い。船着場に到着し、船内にお骨やお花をセットし、飲み物を買いに陸に上がってしばらくすると、緊急地震速報のアラームが鳴ると同時に、ガタガタ揺れはじめる。震源近くない?

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おー、やっぱり。船会社の人が、津波きたら建物の屋上が避難所だから!って言ってる。

幸い、津波の心配はなかった。「津波警報出たら、船出せないから、警報出なくて良かったね」と船長。現地の人は、淡々とおっしゃるけど、余震も一度来て、ビクビクしてしまった。

東日本大震災から1年後に、はじめてこの船着場に来たときの惨状が、まだリアルな記憶として残っている。がれきと、地割れと、倒壊した建物。プレハブの商店が並んでいた。復興マーケットって書いてあった、あのお店で、お昼を食べて、わかめを買ったな。あの時おしゃべりした仮設商店のおばちゃんは今頃どうしていらっしゃるだろう。

今では、駅前のイオンから船着場に繋がる空中の遊歩道も出来て、震災の面影はほとんどない。
でも今年は、様子が違う。いつも観光客で賑わっているチケット売り場が閑散としている。船会社の社長さんは、「コロナで大打撃なので、これから散骨にも力を入れたい」と仰っていた。

さて、地震もだけど、今日はお天気も最悪だった。土砂降りの中、車いすのお客様を案内して、ひどいコンディションの中だったが、「松島の海に故人を還す」というご家族の強い信念で、表現は大げさだが、命がけのミッションのような散骨式だった。

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海洋散骨は、お天気に左右されるのが最大のデメリットかもしれない。
でも私は、天候という、人間にはどうにもコントロールできないものにセレモニーの運命を委ねる部分も、散骨の魅力だと思っている。

嵐のような中で散骨をおこなった経験の方が、かえって、後で思い出に残るかもしれない。後日、とても良いお天気の時に、この地を訪れたとき、その喜びが増すかもしれない。
天候や災害を、どう捉えるか?
それも、一人ひとりの心の持ちようだ。我々は、その中でベストを尽くすのみだ。

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移動中の新幹線の中で、たまたま、Awichという沖縄出身の女性ラッパーのことを知った。

Awichが、亡き夫を弔うエピソードをリアルに綴った楽曲「Ashes」のMVを父の日に公開。
Awich は2008 年に留学先で出会ったアメリカ人男性と結婚し、同年このMV にも出演している愛娘を出産、家族で日本に戻り暮らすことを決めていた矢先に、夫が銃殺されるという経験を持つ。
今回のMV は、当時の映像や、亡き夫の遺灰をAwich と娘の2 人だけで海に散骨した再現シーンなど、悲劇を乗り越えてきた母娘の絆や、「悲しみ、イタミにも、全てに意味がある。そう思う事で優しく強くなれる。前に進める。」というAwich 本人のメッセージが伝わる作品となっている。
BPM TOKYO より

Ashes 歌詞(和訳) 作詞:Awich 作曲:Ke Yano$, Chaki Zulu

最初は迷った
こういうのは早い方がいいと思ったから。
彼女はまだ混乱してた。
私だってそうだったよ。
もっと近ければ、少しは報われた。
それでも、最後の気力を振り絞って伝えた・・・
あなたの息子は、
埋められたくないって。
結婚生活の中で何回かこの話をしたからわかるんだ。
「もし何かあったとしたら、海に流してほしい。」
「人がお参りに来る墓場なんていらない」って。
彼女は笑って「あの子らしい」
そして泣いた。私が彼の口真似をすると
ふたりで笑った。
あの人はいっつも言いたいことがたくさんあって、
いっつも愛したいものがたくさんあって、
こんなにイタミを残して逝ってしまった。
分かって欲しくて 娘の手をとった
パパは形をなくした おとぎ話なんかじゃない
娘は「なぜ?どうやって?いたかった?」 たくさん質問してきた。
私は、想像できる限り全部答えた。

「やわらかいね」 そう言って灰を触った彼女に
「とても愛されていたことを忘れないで」 と言った。
そして誰もしらないビーチに行って
灰を抱えて、ふたり一緒に水に入って、叫んだ・・・

この水に、この風に、なってください。
太陽に、雲に、山に、木に、
この子の髪の毛に、肌に、心に、
この子が愛する力に、
前へ進むために必要な全てに・・・

ふたりで灰まみれになってキスして抱き合って、泣いた
頭のてっぺんから叫んだり 水かけあって笑ったり
彼女の腕を掴んで言った 見て。
あなたのお父さんがどうなったか。
彼のエナジーはあなたを取り巻く全てのものになった。 だから安心して。
どこにいっても、なにをしても 恐れたり疑ったりする必要はない。
闇が襲うときは、涙を流すことを決して恥じないで
どこにいっても、お家だと思って。
パパが教えてくれた、全ては一つだって。
「私はあなたで、あなたは私。 これからもそう。」
「愛と命をくれて、ありがとう。」
「ママに必要な光を与えてくれたね。」
「何も心配せずに戻ってね。 パパは自由だよ。」

「やわらかいね」 そう言って灰を触った彼女に
「とても愛されていたことを忘れないで」 と言った。
そして誰もしらないビーチに行って
灰を抱えて、ふたり一緒に水に入って、叫んだ・・・

この水に、この風に、なってください。
太陽に、雲に、山に、木に、
この子の髪の毛に、肌に、心に、
この子が愛する力に、
前へ進むために必要な全てに・・・

Energy 「エナジー」
He is... Say He is 言ってみて「パパは」
He is 「パパは」
The Life Force 「命の」
Energy 「エナジー」
Divine 「聖なる」
Peace God 「パパ」
I Love you 「大好きだよ」
And you are me 「あなたは私で」
And I am you 「私はあなた」
I love you forever 「ずっと愛してる」


最後の、娘ちゃんとの掛け合いが、いつまでもリフレインする。
Awichが留学して旦那さんと出会ったのは、アトランタと書いてあった。アメリカ南部の、まったく海から遠い内陸の町なので、そういうところにいる人も、「海に流して」って言うんだなぁ。そして、お母さんも息子が遠い日本の海に撒かれることを理解してくれたんだ。

移動中、AwichのMVやインタビューを次から次へと観た。

すごくセクシーで かっこいい。 いつか、生のライブを観にいきたいな。できれば沖縄に。


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