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USCMA 勉強方法 (失敗と成功)

これからはじめてUSGAAPを学ぶという方に向けての具体的な勉強方法を記載しています。


1. 前提となる知識 (簿記)

前提としては、まず簿記の基礎知識が必要です。具体的には、3級で学ぶ借方・貸方の概念、試算表からBS/PLへの基本動作は知っておく必要があります。簿記の資格が必要という事はないので、仕事で経理をされていたり簿記を勉強中であれば必ずしもハードルが高いという事はありません。

わたしの場合は、日商簿記2級を取ったのが20年前でしたので、工業簿記についてはほぼ全て忘れていました。例えば、仕入・販売時の棚卸資産の仕訳を忘れているくらいです。それでもTACの講座にはついていけましたので、この簿記知識の前提については、そこまで心配をする必要はありません。

TAC合格者の体験談を見ると約半数はすでにCPAを持った方でした。

2. 前提となる知識 (英語)

二つ目の前提は英語です。試験は全て英語になりますから読解力が必須です。なぜ必要かというと、多くの問題を限られた試験時間内にこなす事になる為です。なお、リスニング力は後述の英語のBecker講義を受けるのであれば必要です。

これら前提がない、あるいは弱くても、もちろんUSCMAはそもそも英語の力を伸ばせる機会にもなりますから、これから挑戦をしていくというように考えるのであれば、ハードルはありますがチャレンジしてもいいのかもしれません。但しその場合は、インプットが終って、試験問題に移ったときに想定以上に時間を要する事に気が付くはずです。

まずは試験のサンプルを見てみてみて勉強を始めるかどうか決めるのが良いと思います。

TAC合格者の体験談を見ると、大半が850~990点であり、例外的にごく少数700点台の方がいます。私の場合はぴったり700点だったので、相当苦労しました。500~600くらいだとさらに苦労されると思います。

3. TAC講座を使った勉強方法

USCMA本科生コースを受講しました。実際、日本においてはTAC一択になろうかと思います。上述で述べた前提に大きな自信がある方であれば、Beckerのパッケージを直接買って勉強するという選択もあるかもしれませんがお勧めしません。理由はTACのコスパが良いからです。

コンテンツは財務報告、BEC(USCPA講座)、USCMA対策演習講義の3つです。

・財務報告
3つのコンテンツの中で個人的に最もお世話になりました。基礎を教えてくれる内容です。USGAAP、貨幣の現在価値など、いきなり本格的に勉強をする前にここで丁寧に教わると今後がスムーズになります。試験直前になっても基礎を振り返る際に使っていましたので非常に大事なコンテンツです。これがあるのと無いのでは相当変わってきます。まさにPart1試験の内容が網羅されています(Becker演習ソフトで改めてここの復習ができます)。

難しかったところは、社債やリースに関する償却の方法です。講義内容として分かりやすく理解はできるものの、覚えるのには時間を要しました。よかったところは、テキストも講義も丁寧に作られていますので、つまづいたり挫折したりという事はなかったという所です。
 
・BEC
3つのコンテンツの中で最もボリュームがあります。USCPAのコンテンツをベースに学んでいきます。USCMA専門のコースではないので、USCMAの範囲よりも若干広くインプットがあります。

 (失敗談)
これは全て勉強し終わってから分かったことですが、USCMAの試験範囲として出てくるものは限定的です。ですから、この講義の内容を全て覚える必要はありませんでした。すべての内容を深く理解しようと努めたため、膨大な時間を要してしまいました。とくに複雑な問題を解こうと分からない所を何度もインプットしてしまい、アウトプットへ移るまでに時間を掛けてしまいました。

ここは広く浅くそれぞれの基礎を学ぶというのが大事です。重要なポイントは解説がありますから、要点を絞って覚えるのが良いです。MA&FINについては2-3周と比較的重点的に学び、CG/IT/ECOは1周、あとはBecker演習で分からなくなったら立ち返って参考にする程度で良かったと思います。

これを知らなかったのですべてをしっかり学んでしまったあとにBecker演習ソフトで拍子抜けしてしまいました(試験範囲ってこれだけ・・?もっと早くBecker演習に移るべきだった)。

・USCMA対策演習講義
Beckerのテキストをかいつまんで解説してくれるコンテンツです。このコンテンツが真価を発揮するのは、まさにBecker演習ソフトで試験を解いていくときに分からなくなったり、挫折したら、立ち返って見るという時です。

このコンテンツの良いところは、講師がモチベーションを上げてくれます。全力で応援してくれますので、学びの士気が上がります。また、Becker演習ソフトにいきなり入る前の準備運動になります。

しかし難しいと感じたところは、説明のスピードが中盤からすご速い(財務報告やBECほどは時間をかけない)ので、ここまでしっかり一つ一つ覚えてきた私にとっては戸惑いがありました。例えば数ページ飛ばして~、みたいにサクサクいくので、えっ!前の二つのコンテンツとは違うんだ・・という感じです。

ここはBecker演習ソフトと並行して勉強される事をお勧めします。

4. Becker演習ソフトを使った勉強方法

演習ソフトと書かれているので試験模試を想定されると思いますが、模試だけでなく、すべての講義がビデオで閲覧可能です。そして全てがUSCMAに範囲を絞った内容ですから、BECで学んできたUSCPAの内容とは範囲に違いがあることを感じました。

Beckerに移ってからは数か月で試験をパスする事になります。

 (失敗談)
USCMAの勉強を始めてから、このBeckerにたどり着くまでに20か月もかけてしまいました。最初の試験では、Beckerをほぼ使わず、TACの問題集だけを頼りに臨みましたが、当然落ちる事になりました。このBeckerの模試が本当に大切です。

 (成功談)
Beckerの講義は英語にはなりますが、試験問題に直結する内容を深く学べます。ここでどうしても分からないという時に初めてUSCMA対策演習講義に戻って理解を深めるというように頭の整理をすることができました。

 (失敗談)
これもわたしの悪い癖で、Becker講義コンテンツが充実しているので、またインプットに時間を掛けすぎてしまいました。ここは何周もするのではなく、早めに模試に移ることをお勧めします。ただそんな中でも良かったのは英語のリスニング力が相当あがったと実感しました。

5. 振り返り

もし過去の自分に正しい勉強方法を伝えるのであれば、インプットに時間をかけすぎず早くアウトプットに行って!という一言です。分からないところがあってもそこでスタックせずに、まずは一通りBecker演習ソフトまでは軽くすませる。Beckerで分からなくなったら、立ち返って学びなおすというのが効率的で効果的だと思います。

分からないところというのは大抵計算、仕訳や考えが複雑なものになりますが、そもそもUSCMAの範囲ではなくUSCPAの範囲の事であったり、限られた試験時間内でそもそも問題を解くこと自体をしないという事もあります。ですから基礎の基礎、広く浅く知識をもっておくという感覚があれば、早めにアウトプットにいく事をお勧めしたいです。

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