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短編小説集

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自分の短い私的なそして詩的な小説をまとめてみようかと思いとりあえずやってみます。
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#裏切

散文詩「黄色い花の世界」

散文詩「黄色い花の世界」

蛍光灯の、
冷たい光でふんわりとつぼみは目覚めた。

躊躇なく、淀みなく、痺れるような光のもとで。

手から手へふらふらと巻き込まれ、
桃色のつぼみは
疲れ切った黄色へと、裏切った。

ゆっくりと、ゆっくりと、

裏切った、裏切った、裏切って、

私の我儘は破綻していく。

「これがほんとの救いと報いだね」と

誰よ手を叩いて跳ねるもの。

はらはらはらはらはらはらと、なんどもなんども破綻して。

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短編詩的小説「ひとふさの髪の世界」

短編詩的小説「ひとふさの髪の世界」

触れることなく

そよぐその髪をただみていた

深い深い眠りを仕舞おうとして

指を使って土を引っ掻くこと3日

その横には大きな蟻塚のようなものができた

しかし3日目の夜半にはもう

その髪のひとふさも残っていなかった

何も知らせのなかったその裏切りに

ただ沈黙することにした

裏切りだ裏切りだと眼球の裏側が

苦しい暑い冷たい怖い

何をみても

沢山の世界があろうと

横たわる闇の隣に

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