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〜顧客起点マーケティング Part 8〜

マーケティングとは、平たく言うと、魅力的な商品やサービスを開発し、顧客に継続的に購買、使用していただく活動です。企業側がどれだけ「魅力的だ」と訴えても、受け手である顧客がそう感じなければ、成立しません。したがって、顧客が生活の中で何を考え、何を経験し、何を求め、何を感じているのかを知ることは、マーケティングにおいて基本中の基本です。

しかしながら、個々人がスマートフォンを通じてインターネットに直接繋がり、無数とも言える様々なデジタル上の情報に触れているため、一人ひとりの情報接触や感じていることや行動を把握するのは極めて難しくなってきました。新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4マスと言われるマスメディアが、紙媒体を中心にますます衰退する中で、マーケターが発信した情報も伝わりにくくなっています。それを埋めるかのように、様々なデジタルマーケティングの手技手法が提案され、マーケターは「顧客が何を求めているか」を知るよりも、新しい手技手法の理解と実行に時間を取られています。

セールス・マーケティング分野において様々な技術を活用したツール、メディア、データ、デバイス、サービスが、世界中で日々生まれています。chiefmartec.com においてスコットブリンカー氏が発表されている「Marketing Technology Landscape Supergraphic 2020」によれば、このような手技手法は、既に8,000以上存在すると言われています。もはや、それぞれの特徴や活用方法を把握すること自体が不可能になりつつありますが、そもそも、その理解に注力することがどれほど大事なのでしょうか?

このような新しい手技手法の紹介やデジタルマーケティングのセミナーで語られる内容も、結局のところ、新しいデジタル技術や手法を実行したら費用対効果が上がった、無駄なコストが削減できた、業務スピードが上がった、といった内容が大半であり、投資効率の最適化の枠を超えず、大きな成長に繋がるような、新しい需要の開拓や、顧客のニーズの発見にはつながらず、短期間の部分最適の枠を出ません。

なぜ、顧客が動いたのか? その行動変化の理由である心理変化を発見し、その心理変化を起こした「きっかけ」の洞察なしに、手技手法でビジネスをスケールさせることはできません。顧客を把握しないマーケティングは必ず、部分最適の連続から縮小均衡、利益の縮小に陥ります。見方を変えれば、拡大するデジタル技術の新しい手技手法の理解や実行にのみ囚われることは、顧客から遠ざかることを意味するのです。

書籍紹介
たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング(MarkeZine BOOKS)
1000人より1人の顧客を知ればいい。P&G、ロート製薬、ロクシタンを経て「スマートニュース」をアプリランキングで100位圏外からNo.1へ伸ばした著者が確立した「顧客ピラミッド」「9セグマップ」「N1分析」を全公開。

M-Force株式会社:すべての「モノ」「コト」「サービス」を顧客視点で捉えることで顧客にとって価値があるものへと進化させ、「マーケティングを、経営のチカラに。」というミッションを実現するために様々なブランドを支援しています。https://mforce.jp/

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