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保護猫団体はヤバいのか

『保護猫団体はヤバい。どこかおかしい連中が多い』といった通説が本当か実際に調べてみた。

猫を飼うとするなら、①ペットショップで購入する、②知り合いやSNSを通して譲り受ける、③保護猫団体から譲渡する、この3種類のいずれかだろう。

今回は、題の通りに保護猫団体の譲渡会を渡り歩いた実録を記録する。保護猫に会いに行くのには主に2種類ある。保護猫カフェに会いに行くか、定期的に開催されている譲渡会を訪れるか。

保護猫カフェを3軒回った。普通の猫カフェと異なるのは、保護したばかりでゲージに閉じ込められっぱなしの猫もいること、血統書付きの猫がいない点である。人間慣れしていない保護猫は爪を立てる可能性があるため、店員さんの指導の下でデビューを待つ。怪我をしている子も少なく、網膜が飛び出ていたり、エリザベスカーラーを付けたりと処置がなされている。よく見かける猫種は茶トラ・キジトラ・ブチなど、昔は近所で見かけた野良猫たち。保護の言葉のもと乱獲されたおかげで都内で猫を見る機会はとんと減った。店員さんは、主にアルバイト。どの保護猫カフェにも募集要項が貼ってあったので人手不足が察せる。この保護猫カフェのバックには保護猫団体がいる。直接団体員と話す機会はなかったが、忙しなくエサや猫砂を運ぶ様子をよく見かけていた。ここにいる猫はペットショップの猫達と違って警戒心が強く、玩具で遊んでくれない愛想のない子が多いイメージが強い。虐待や多頭飼育崩壊で心に傷を負っているか、愛嬌を振りまくのに疲れたのかは、いまいちわからない。

保護猫の譲渡会には10件弱参加した。事前参加申し込みが必要な場合が多いため、早くお迎えを希望する方はご注意。
譲渡会は団体のサイズに比例するため、10匹程度~100匹以上の会場と様々。できるだけ多くの猫に会いたいからといって大きな会場に足を運ぶのはオススメしない。猫の数が多い=やっかいな保護団体員も多い。団体員はどこか宗教染みている方が多い。『1匹でも多くの猫の幸せを成就させること』を人生の中心に置き、活動を義務のようにこなす。土日を使い、自腹で保護活動に勤しむ姿は矜持を全うしているようでどこかおかしく見える。それぞれ団体員は自分の担当する猫のケージの前に家電量販店のスタッフの如く立ち、猫を見ているとすかさず声を掛けて来る。
「この子はね、女の子で6歳になるの。多当飼い崩壊で瀕死のところを保護したのよ。その家にはね10匹以上の猫がいて、丁度春だったかな、たくさん生まれたばかりで。子猫は直ぐに引き取られたんだけどこの子は残っちゃって」そう言う皺まみれの顔をしたおばあさんは哀し気に同情を引くような表情だった。
確かに生猫のブースには人がまばら。子猫ブースには家族連れをはじめ、人が満員電車のように群がっていた。困り顔をしながら「ペットショップも何件か回ったんですけど、かわいいと思えなくて…」と口火をきる。すると間髪入れずにおばあさんはこうまくし立てる。
「ペットショップの闇を見たんですね。海外では規制されている国が多いのに、本当に日本は遅れてるの。命のある動物を人間の手でたくさん産ませて、血統書をつけて高値で売るなんて人身売買と変わらないのに。そのことに政治家も触れていないしこのままだと、興味本位でペットショップ経由で猫を買う人が増えて、飼えなくなって最後には私たちの元に野良猫として回ってきちゃう悪循環が終わらないの」
政治や繁殖の話に触れたつもりはなかったのだが、次から次へと口が回る。彼女はシミを帯びた顔で次々にまくし立て、猫の販売を人身売買へ飛躍させるまでに至った。どこか回路が繋がらず、ぽかんとしている私を見て少し顔をしかめた。
「もうペットショップなんて行かないでね。こんなに困っている猫が沢山いるんだから」
譲渡会では猫をしっかり見て飼えるか判断したかったのに、おばさんの弛んだ困り顔を見て話す時間が多かったように思う。

結局複数の譲渡会を梯子して、ある兄弟猫に辿り着いた。こじんまりとした譲渡会で猫の数は10匹程度。全て生猫で構成されており、お目当てのハチワレはそれぞれ1匹づつケージに収められていた。直感でこの2匹の兄弟にしようと決断し、誓約書にサインした。条件はあまり厳しくなく助かった。

譲渡会の条件は保護している方それぞれだが、厳しいものが多い。例としては以下のとおり。

  • 生涯面倒を見ること

  • ペット可の住宅であること

  • 完全室内飼いが可能であること

  • 単身でないこと(特に男性)

  • カップル・同棲世帯不可

  • 先住ペットの世帯不可

  • 住宅の視察が可能であること

  • 譲渡後も連絡を欠かさないこと(写真付きの連絡必須)

  • 第三者の保証人をつけること

上記2点は当然として、それ以外は難しい場合が多い。男性の単身世帯はどうしてこうも引き取り手として尊重されないのだろうか。ポリコレ団体は苦言を呈さないし、狂信的な保護猫団体に対して言葉が通じていないように思えた。有名Youtuberヒカキンがペットショップでまるお君を迎えたのもこのような背景があり、単身男性での譲渡を許されなかったのではないかと憶測する。
加えて、彼女たちはプライベートな問題にも土足で踏み込んで荒らしていく。「カップルの場合は別れた場合に放り出すかもしれないから譲渡が困難」と言われ、譲渡したとしても必ず写真付きの定期報告を強いられる。猫を連れて来た時は部屋中を監視され、施錠の確認など文字どおり部屋中を視察する。
今まで引き取り手にひどい扱いを強いられた猫たちがいるのは想像の範囲だが、あまりにも性悪説に基づいた見方をされるのはたまったものではない。また、飼育を何年続けても定期連絡は欠かせずいつまでたってもウチの子にできないような感覚を持つように見られ続けるのは気味が悪い。
このようなデメリットがデカすぎるせいで、譲渡ではなくペットショップでの購入を考える人が少なくない実態から目を逸らし続けている。ブリーダーやペットショップの繁栄を真に助長しているのは彼女たちなのではないだろうか。

ウチに猫を連れてきた女性は、約束の時間をゆうに1時間を超え遅刻した挙句路上駐車をし、猫グッズを搬入した。猫の保護のためなら道路交通法を無下にできる精神の持ち主は、40代半ばの女性で後頭部がうっすらと禿げていた。順序立ててケージを組み立てるスピードから見るにベテラン譲渡員なのだろう。猫のケアの前にセルフネグレクトを何とかしてほしい。猫に関する表現はとても美しい物が多い。キャットウォーク、キャッツアイ、猫目メイク。猫たちに見合う見た目になろうと最低限のケアもしていない。また内面を取ってしても、LINEの返信の文章もなにかおぼつかなく、猫以外の世間話に花が咲かない。無職の私よりも自己肯定感が低く、猫に関することのみ自信をもって返答していた。
彼女は猫という宗教のなかでのみ、居場所を見つけたのだろうか。言葉を介するコミュニケーションが苦手で孤独な宗教に飲み込まれた彼女たちが人と正しく関われる日がくることを切に願ってやまない。

結論、保護猫団体はどこかおかしい宗教と変わりない。


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