チョコより甘い曖昧劣情
こんにちは。無題以外の投稿は久しぶりかも。つまり、今は正気。気を保てている。人と遊んだ後だけれど、私が今抱えているのは希死念慮じゃない。今回は、その話。
まずはこの記事を読んで、私と、彼について知って頂ければ。
読んで頂ければわかると思いますが、2人とも難解な人間です。恋愛不向きな男女です。そんな私が、恋をした相手。相手である彼も、恋愛不向き。
彼は、博識で落ち着きがあって、本が好きで勉強も出来る。卓球が上手い。人望があって配慮が出来て空気が読めて笑うと可愛い。
これは、私の描いた彼。本当の彼では無くて、彼もまた、貼り付けた様に「どう振る舞えば良いか」「どうしたら喜ばれるか」「どうされたいのか」を考えて生きている。彼はそんな人。そうでしょ?違ったら今度教えて。
だから、嫌い。
貼り付けた感情が嫌い。
本物の彼じゃないのが嫌い。
私にどう振舞おうか考えているのが嫌い。
彼が嫌いだった。好きだけど、嫌いだった。
だから、私は見切りをつけた。恋愛感情を断ち切ろうと。彼は恋愛が出来ない。私がいくら彼にLoveを伝えても、彼から返ってくるのは偽りのLikeだけ。私が「好き」って言っても、あなたは一度も同じ言葉を返してくれなかったよね。それには何か理由があるの?常に人の顔色を伺ってるあなたらしくないといつも思ってた。それも嫌いだった。
サムネイルにしたクマノミ。一緒に行った水族館、5月の初め。まだ私が、純粋に君を好いていた時。その日に、恋愛感情どころか、連絡手段等、彼への全てを断ち切ろうと、数日前から決めていた。彼と居ても、私は何も得られないから。この時間は、空虚なものでしかないから。そう思っていたから。
でも、彼と居ると楽しかった。素直に、楽しいと思えた。苦しくなかった。私は素の自分で居られた。彼は仮にそうじゃないとしても、『友達』として、私は彼が好きだと思った。その旨を、帰りの電車で伝えた。彼は驚いた様な顔をして、「これからも友達として遊んでくれるのは嬉しい」と話した。それは、きっと彼の本心だと思う。だって、本当に嬉しそうな顔をしていたから。笑うと、本当に彼は可愛いの。
それからも、私は彼と交流を続けた。数週間に一度あるメンタルクリニックの終わり頃。彼と会って、ゲームセンターやらカラオケやらに行って、過ごす。殆どクリニック終わりのルーティンになっていた。その後は、大抵本屋に行って、二人して本を眺め、吟味して、結局数冊買ってしまう。そうして買ったまだ未読の本は片手で数え切れなくなった。早く読みたい気持ちもあるが、彼と吟味した積み上がった未読の本を見ていると、それが彼と過した時間を具現化した様な物に感じられて、何だか好きだった。だから、まだ、一冊も読めずにいる。
数日前のクリニックの日の終わりに、私はまた彼と会った。いつも通りカラオケに行って。本屋にも行って。二冊も買ってしまった。
それから、ルーティンはこれだけでは無い。私は彼と会うと必ずハグをする。理由は、お互いの背負っている荷を下ろす為。深い理由は無い。ハグはストレスを軽減すると言うが、本当にその通りだと感じる。それは相手が彼だからなのか、はたまた本当にハグの効果だからなのか。彼は、ハグをしている時間は幸せだと言う。
しかし彼は、軽率に他人とスキンシップを取らない。ハグをするのも、私くらいだと言う。
おかしな人間だろう、彼は。
そんな彼に、私はまだ劣情とも呼べるような恋心を持っていた。それを彼には隠していないし、寧ろ表に出している。彼の困った顔を見るのが私は好きだから。我ながら悪趣味だと感じる。
話が前後してしまうが、数日前の本屋にて、「メンヘラ製造機がうんたらかんたら(タイトルを忘れた、覚える必要も無いと思ったからだ。)」という本を見つけた彼は「読むべきか?」と冗談めかしたように言った。「何、そんな相手が居るの?」と私。居ようが居まいが私には関係が無いし、正直、居ないだろうなとは踏んでいた。彼を見くびり過ぎだろうか。いやいやそんな訳、とやはり否定する彼を他所に、私はこう言った。
「君を好きなのは私だけで良い。」
よくもまぁ、こんなことが言えるものだ。本屋で。しかし、良くも悪くも、本心をきっぱりと伝えることが出来るのは私の特技だった。だから、これは本心だ。こんな人間を好きなのは、こんな人間の私だけでいい。
「顔が熱い。」と彼。
可愛い。その顔が見たかった。
それと、カラオケで歌ったあなたの十八番、次はもっと上手く歌うから。