業務システムのUIの特徴 5 エラーに対する許容度
コンシューマー向けのシステムにおいてもとくに金融系など、決済まわりやKYCのように厳密性が強く求められるものはありますが、一般的にいって業務システムはコンシューマー向けのシステムに比べて、全体的にエラーに対する許容度は低め(エラーの発生について厳しめ)です。
システム内でデータを参照したり連携したりしている範囲にとどまらず、システム外での業務オペレーション自体にも波及すれば、影響範囲や損害の程度がかなり大きくなりうるからでしょう。
実行前/エラー発生前の状態に戻せる(Undoできる)ようにしたり、変更を実際に適用する前に承認のワークフローを挟んだりすることもあります。
とくに不可逆で重大なアクションについては、わざと利便性と制限のバランスを崩し、操作手順を多段階に複雑化することもありえます。
ここでいう一般的な業務システムの話とはズレますが、古いスパイ映画などのなかでの核ミサイルの発射ボタンの描写。ボタンを押すためには例えば特定の権限の人物2人がそれぞれ持っている物理キーを同時に挿し回した上で大統領だけが知っているパスコードを入力することで、カバーが開き、ようやくボタンが押せるようになっているというようなことです。
保育園や幼稚園の教室から園庭につながる間のドアが二重のロックになっていて、2つあるスライド錠(かんぬき)のうち1つは園児の手の届かない(保育士・先生には届く)高さに設置されているなども、安全のためにわざとUIを複雑にしている例と言えるでしょう。
そして、エラーの発生防止だけでなく、発生した場合の対処についても、より厳密さが求められます。
エラーや不整合発生の経緯をのちに調査・証明するためのログの保存や、電子文書保存に関する法制度に対応するための記録の保持や改ざんの防止などの観点も重要になってきます。
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