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業務システムのUIの特徴 6 帳票主義と業務フロー

帳票主義と業務フロー

業務システム(日本の場合にとくに顕著であると言われています)の特徴として、帳票主義とでも呼べるようなものがあります。
これは、ちょうどシステムを利用することのゴールがさまざまなオブジェクトを組み合わせた帳票を出力するというタスクの達成になっているという状況です。

かならずしも帳票自体が悪いといわけではないのですが、個々のエンドユーザーにとってはゴールかもしれなくとも、業務全体から見ると帳票は中継フォーマットに過ぎなかったりします。次の別の業務フローやシステムに渡すためだけに作られた帳票というわけです。

したがって、紙ベースでの現在使用中の「帳票」をIT化する(入力フォームにする)ことは本質的な改善にはならない場合が多いと言えます。
「帳票」を構成するさまざまなデータモデルに対して個別に編集できる形にする方が、柔軟に作業ができ、そもそも最終的に達成したい目的への経路を適切に構築できます。個別のデータモデルを編集していく際のナビゲーション指針の一つとして、「帳票」があると考えるとデザインしやすいでしょう。

UXは利用者の行動の時間経過を考えていくという側面ももっているため、UIも画面単位の設計だけではなく、オペレーション全体での処理フローを最適化するような設計へと範囲を広げつつあります。

業務フローを含めて見直すことができれば効果的ですが、業務フローを変えられずに処理フローだけを変更すると、利用者が期待している業務処理のマインドモデルと、システム内で行われている処理内容が異なってしまうために齟齬をおこす、つまり「思っていた動作ではない」という誤解が生まれやすくなります。

現在行われている実際の業務に合わせてシステムでの業務フローを設計するのではなく、既存のベストプラクティスだったり新たに最適なものとして構築し直した業務・処理フローにあわせて業務・働き方のほうを変化させていくという視点が、DXを推進する上でも、いわゆる「働きかた改革」の面でも重要だと思います。

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