見出し画像

病院のタスクシフトは「院内のペイシェントジャーニー」 患者の行動を俯瞰して、多職種の仕事を分解する

「病院のタスクシフト、業種の中で入れ替えるだけでいいですか?」

病院の働き方改革と言われて、もう長い時間が経ちました。皆さんの病院は進んでいるでしょうか?

タスクシフトとは、文字通り仕事を他の職種に移すことです。
医者の仕事、看護師の仕事、事務の仕事を他の単価の安い業種、もしくはデジタルツールに入れ替える。
そういうタスクシフトは進んできているかもしれません。

しかし、医療DXとなると話は別です。

複数の職種の仕事を削り、デジタルに置き換える。違った働きに変える。

これが、「医療DX」です。

医療DXを行ううえで重要なことは、
「既存の仕事を」
「デジタルに置き換えることで」
「違った働き方に変えること」

「置き換える」ではなく「違った働き方に変える」

ここが重要です。
「タスクシフトだけ」ではなく、いかに多くの「タスクキル」をするかが重要です。

病院での働き方は、多職種の縦割りであることが多いですよね
自分の仕事の範囲はわかるけど、他の職種は何をやってるのかわからない💦

なんてことはよくあることです。

業務全体のタスクを確認しなければ、どこに無駄があるのか、複合的なタスクキルはどこで可能なのかを考えられません。

病院内業務を整理する上で、

「院内ぺイシェントジャーニー」

を確認してみましょう。多職種の連携を確認する一つの手段となるかもしれません。


ペイシェントジャーニーってなんですか?

『ペイシェント』=患者
『ジャーニー』=旅

医療系サービスを考えるときに使われる言葉です。

病気の認知から、病院を受診する動機づけ、その後の検査や入院、医者からの説明など長い経過を説明する言葉として使われることが多いです。

元々カスタマージャーニーというビジネス用語から派生してきた概念です。
ペイシェントジャーニーは医療もビジネスだという認識でみる用語と考えている方もいるのではないでしょうか?

しかし、この見方は院内の患者の動きを追うことで、多職種の働き方を確認する良いツールになるのです。

それでは、「院内ペイシェントジャーニー」とは?


「院内ペイシェントジャーニー」とは

院内での患者の経験の流れを示すものです。
患者の経験を俯瞰してみながら、多職種での患者との接点を考えることで、院内の働き方を把握すると良いのではないでしょうか?

今までの縦割りの職種別働き方改革ではなく、患者体験を中心に据えた複合職種での「タスクシフト」「タスクキル」を考えるために、僕が考えた造語です。

新患患者を例にすると
病院に来院、もしくは救急搬送されて、
「受付」「初期問診」「患者の診察」、その後の「処置や検査」、「医者からの説明」、最終的に「帰宅や入院」、「会計」
などの経過を表したものになります。

もちろん入院においても患者を中心に考えて、患者の1日の過ごし方や、検査や処置などの一週間の生活の流れの中で、いろいろな職種の複合的な接点を考えていくことになります。

医療従事者の皆さんは、
「自分の仕事部分はわかるけど、病院受診したらこんなに大変なんだ」と経験することはよくあるのではないでしょうか?

それが「院内ペイシェントジャーニー」で、

今までの職種ごとの縦割りな働き方ではなく、

「患者の経験を中心とした働き方の新しい分析法」と理解してください。

そこを改善することが最終的な働き方改革になると僕は考えています。

救急外来での「院内ペイシェントジャーニー」

夜間、時間外の救急に受診された患者さんの「院内ペイシェントジャーニー」をみてみましょう

ちょっと省いてはいますが、概ねこのような流れになっていると思います。
また、個々のタスクだけではなくそれぞれの連絡のタスクもありますね。
「放射線科に患者を案内」(いく前に電話)
「検査を提出」(直接持っていく、シューターを使う、助手さんや受付の人にお願いする)

など、具体的な動きというのは施設にそれぞれあって、一般化は難しいと思います。

まずは、皆さんの病院でも「院内ペイシェントジャーニー」を作ってみませんか?

「院内ペイシェントジャーニー」から医療DXに繋ぐには、キーマンが必要

それぞれの病院、それぞれの「院内ペイシェントジャーニー」で、他職種に渡る「タスクキル」を行うのに最も重要なのは

タスクシフトをするための「キーマン」の存在です。

「院内ペイシェントジャーニー」を見た時に、この患者の経験を俯瞰して改革するには、「誰が責任者なのか?」というのが自然と浮かんでくると思います。
今まで職種別で解釈していた働き方を、複合的に俯瞰して改革するときに、それを引っ張っていく「キーマン」が必要です!

こだわりの強い医師が一人いるだけで、改革が進まない

そもそも院内の医師が、タスクシフトや、医療DXの知識がない

そういう現場の方が多いのでは無いでしょうか。

改革を主導する「キーマン」それは

1)院長クラスの強いパワーのある医師による強い指示(病院としてのマインド)
2)現場に詳しくタスクシフト、医療DXに積極性のある医師(オペレーションを実行できるスタッフ)

この二つをうまく準備することは必須だと思います。

1)は病院ごとで頑張ってもらうしかなく、外部からはサポートできません。
2)は本来は病院内の医師が改革の主導を取ることが重要ですが、なかなか人材をあてがうのは難しいでしょう。

2)に関しては、医療DXや、働き方改革に詳しい外部コンサルタントを上手に使うのも手段かなと思います。

黙っていても、働き方は変わりません!

まずは「院内ペイシェントジャーニー」を俯瞰してみること、そこから削減できるタスクを抽出することを、試してみてはいかがでしょうか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?