【あとがき】 永遠の三日月 〜Yへ
お読みいただきありがとうございます。
こうさかみかんと申します。
ある冬の朝、何気なく見ていた新聞のテレビ欄に、その日から始まる新作アニメの紹介が載っていた。
シリーズ監督にはYの名前。
Yは専門学校時代のクラスメイトだ。
驚きとうれしさと懐かしさと誇らしさと嫉妬。
わたしは制作会社の番号を調べると、Yに電話をかけた。
これが、この作品のきっかけです。
わたしが嫉妬していたのは、Yの恋人でも妻でもなく、彼自身でした。
才能と情熱という、わたしが持ち合わせなかったふたつを持っている彼。
それならせめて、Y本人を手に入れてみたかった。
良太はある意味、わたしの理想の男性です。
なぜなら、わたしの好きなタイプは「わたしを絶対に好きにならない男」なので。
当然ですが、この作品はフィクションです。
良太は現実には存在しません。
むしろ存在していてくれたなら、何者にもなれなかったわたしの人生に縦糸ができたのに、とも思います。
昼メロのようなウエットで閉塞感のある作風にしたかったので、良太は低俗で下劣に、夏実は被害者意識と自己憐憫に振り切って書きました。
一般受けはしないでしょう。
念のため言っておきますが、Yはこんなゲス野郎ではありませんし、キスはおろか、ふたりきりで会ったことすらありません。
わたしと宴会中にキスしたのは、別の男子でしたから (笑)
Yがこの作品を読むことはないでしょうが、もしこんなクソエロ小説のモデルにされたと知ったら、わたしは超合金大量に縛り付けられて星の海に沈められてしまうかもしれません。
監督、どうかお許しください m(_ _)m
各章の頭に付けた名言は、すべて「ウゴウゴルーガ」のサナダせんせいのコーナーに出てきたものです。
今思い出しても、「ウゴウゴルーガ」は斬新で、毒と下ネタまみれで尖りまくっていました。
あの日の電話以降、Yに会うことは叶いませんでした。
あの作品は大ヒットして、Yはウイキペディアに載る有名監督になりました。
業界を離れて一般人のわたしは、彼が監督した劇場作品を観に行ったり、トークショーを観に行ったりするただの一ファンです。
いつかまた会えるのなら、LDボックスにサインしてもらえたらいいなーと思っています。