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パワプロ世界大会予選、問題が頻発

はじめに 

(※この記事は2023年4月に書いた記事です。本文の内容と現在のゲームの仕様と乖離があります。)

 こういう否定的なタイトルの記事を書くと特にパワプロ界隈では多くのプレイヤーから「お言葉」を受ける事になる。また、eスポーツ界隈にとっても良い気持ちはしないだろう。
 しかし、僕自信パワプロの競技者であり、パワプロの競技シーンを広めたい側の人間でただ単に批判をしたいという訳ではないという事を皆さんにはご理解いただきたい。

大規模な大会を開催していただき、本当にありがとうございます。

パワプロ世界大会予選が始まる


 今年2月に突如100円でリリースされ話題となった「WBSC eBASEBALLパワフルプロ野球」では3月13日~19日にかけて世界大会日本予選オンラインラウンドが実施された。世界大会というのは6月にシンガポールで開催される Olympic Esports Seriesの事で、激闘の日本予選オンラインラウンドを突破した16名はシンガポール行きをかけて4月8日に日本予選ファイナル(オフライン)に挑む。ちなみにマーライオンを見に行けるのは4名。16人から更に12人脱落する訳だから、ここからが本番なのだ。今回取り上げるのは先日行われたオンライン予選について。

世界大会までのスケジュール。グローバル予選は海外勢向けの大会。海外勢はオンライン予選からそのまま世界大会に進出出来る。

WBSCパワプロってどんなゲーム?

  WBSCパワプロは対人戦特化型でサクセスキャラ、つまり架空の選手を使用して対戦をする。従来のパワプロのようにNPB12球団(日本のプロ野球)の選手は登場しない為、普段プロ野球を見ない日本人や海外勢に対してプレイするハードルが低い。また、従来のパワプロには無かった英語版があり海外勢もニッコリ。
 
 キャラクターには1人ずつコストが15段階で振り分けられている。そして大会毎にチームのコスト上限が定められており、コストを上手く調整しながら自分好みのチームを作成する。

初心者への配慮

 従来のパワプロの競技シーンでは競技人口の少なさが大きな課題の1つだった。はっきり言って操作がめちゃくちゃ難しい事も新規が増えない原因になっていたと思う。元プロの僕が言うのだから間違いない(尚、プロリーグでは1勝も出来ていない)。

 これまでオンライン対戦では「ロックオン」を使用する事が出来なかった。ロックオンとは、所謂エイムアシストの事で、打撃時のミートカーソルの移動をアシストしてくれるもの。アシストレベルが1~5まで存在し、現時点ではアシストが割と強いレベル3まで使用する事が出来る。このロックオンがある事によって技術にそこまで自信が無い方でも上級者とまともに試合が出来るようになる。

本題

 さて、本題に入る。日本予選オンラインラウンドでは「え、これアリなの?」と思う問題が頻発した。また、この予選の文句を言うだけだとただの負け惜しみでしかないと思ったので僕自身は予選突破しておいた。PS部門3位。真面目に世界大会進出を狙っている。

一応PS部門予選3位。40勝1分だった。

 予選で話題になった主な問題は以下の通り

・99点取ってスコアが一気に跳ね上がる
・試合を途中で諦めたり切断して相手のスコアを妨害
・ハメ技が見つかる

予選のルール

 予選のルールについては以下の画像でご確認いただきたい。

WBSCパワプロ公式サイトより引用(https://www.konami.com/pawa/wbsc/ja/event/sp_detail)

 とにかく連勝している間にレートの高い相手に勝利したり、大差で勝利するとスコアをガッポリ稼げる。

99点取ってスコアが一気に跳ね上がる

 問題は先攻にコールドが無い事。3イニング7点コールドなのだが、先攻はMAXで99点とる事が出来る。打てば打つほどスコアが上がるので、このシステムだと99-0で勝利した場合とんでもないスコアを獲得出来てしまう。相手が無気力になりひたすら敬遠を繰り返したり永遠にド真ん中にボールを投げ込み遅延行為をして99-0になるケースがあるが、真面目に対戦しても20点30点取る事が出来る。実際に僕もお互い真面目に戦った結果36-0や22-0など大量得点になるケースがあった。他のプレイヤーが200試合300試合こなして予選突破を決めた中、僕がわずか40試合で予選突破圏内まで上がったのはこれが要因で、おそらく他の予選突破者は上位プレイヤーとの接戦を制してスコアを得ているはず。

お互い真面目にやった結果大差になった。


 プロスピでは先攻でも点差が大きく離れた場合、裏の攻撃を待たずして強制リタイアという形で試合が途中で終わる。

この問題はプロスピ同様先攻にもコールドを付けるor獲得点数によるスコアの上乗せ上限を付ける事で解決する。

 ちなみに大量得点したあまりにも一方的な試合は無効となり大会終了後に順位が変動する可能性があると公式サイトには明記されているがこれに関しても疑問が残る。相手が意図的に試合を放棄して99-0になった場合はもちろん無効にする必要が出てくるが、相手が常に戦う姿勢を崩さずに99点を取った場合も無効にするのだろうか。実際僕はそこそこレートの高い相手と真面目に戦い20点30点を取ってスコアを稼いでいる。ある程度の点差が開いたらわざとアウトになる必要があると言うのだろうか。
大会終了後に順位が変動する場合、参加者はどうする事も出来ない。そもそも最初にスコアとして加算するべきでは無い。後出しジャンケンのように「あの試合は無効にしたから順位下がったよ」と言われたら納得出来る人は少ないだろう。

意図的に降参or回線切断で相手のスコアを妨害

 試合中に「あきらめる」というコマンドが使用出来る。勇気の撤退。もちろんこれを選択したプレーヤーはその瞬間負けとなり試合は終了する。ただ、相手からするとスコアを全く稼ぐ事が出来ない為極力して欲しく無い。しかし降参するプレーヤーはかなり多い。なぜなら特にペナルティが無いから。
予選終盤にはライバルのスコアアップを阻止する為に負けそうになるとすぐ降参するプレーヤーも存在した。更に悪質になると回線を切断して試合自体を無かった事にしようとする者もいる。
これは従来のパワプロでも問題になっていて特に回線の意図的な切断は後を絶たない。切断するとプロフィール欄に表示される切断回数のカウントが増えていくが特にそれ以外ペナルティは無い。自動車でスピード違反をしても「危ないから気をつけてね〜」と言われるだけだったら皆スピード違反しまくると思うが、まぁそんな感じ。過去に切断数によってアカウントをBANされた人を聞いた事が無い。切断数が3桁のプレーヤーとマッチングした時毎回存在意義を疑っている。「いや、BANしろよ!」

ハメ技が見つかる

WBSCパワプロには「ロゼルージュ」という魔球を操るキャラクターが存在する。この魔球をストライクゾーンの左下角に投げ込むとまともに打球が飛ばなくなるハメ技が予選中(一部ユーザーは予選前から認知していた)に発覚した。

コストの振り分けもテキトーなので最強クラスなのにコスト4とお得

このロゼルージュによるハメ技の事を僕は「ハメルージュ」と命名した。このハメルージュ、一応打開策が存在するが特定のキャラをチームに加えていなかったりハメ技の存在を知らないとほぼ確で詰む。ちなみに1度予選にエントリーするとチーム編成を変更出来ない。予選終盤になると多くの上位帯が大事な試合でハメルージュをするようになった。(これ自体は別にルール違反では無い)僕も3戦連続でハメルージュされクソデカため息が出た。尚、僕はハメルージュを使ったのに勝てない試合があった。恥ずかしい。

とあるプレイヤーの投球チャート。これをやれば基本的に負けない。

eスポーツとして競技性に疑問が生じた瞬間である。開発担当には事前にテストプレイをしていただきたかった。

最後に

 2018年に開始したパワプロのプロリーグ「eBASEBALL プロリーグ」は3年で終了。近年ではそもそも公式大会がほとんど無く、多くのパワプラーは失望している。そんな中WBSCパワプロがリリース。わずか1ヶ月後には世界大会開催が発表され少し活気が戻って来た。しかし、蓋を開けてみれば長年問題になっていた事が改善されておらず、今回の予選についても多くの参加者が不満を抱いているはずだ。いつまでもパワプロをやってくれると思っているかもしれないが、当時プロリーグに出場した選手の半数近くは既に競技から離れており猛者勢の多くも目的を失い別ゲーに移行している。パワプロの対人戦は競技として非常に確立しており、マジで面白い。一度「eBASEBALL」というeスポーツ競技として走り出したのだからもっと真面目に責任を持って運営をして欲しい。


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