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続タイムズスクエアでの熱い2days

セントラルパークを歩いていたら超高層ビル群が目に付いた。というよりもこんな高い建物たち見たことがない。吸い寄せられるように超高層ビル群へと足は勝手に動いていた。

ニューヨークの街中すべてが新鮮だった。

横断歩道機
信号
onewayと書いた標識
道路から立ちのぼる煙
散歩しているワンちゃん
見たことない作りの建物
歩いている人々のファッション

周りの人々からしたら何の変哲のない風景でも自分には輝いて見える。このJapaneseはなんでこんな普通の風景を撮っているんだと疑問に思われていただろう。GoPro片手に街を練り歩いた。街を歩いているだけで特別な気分だった。自分はこの日からニューヨーカーに触発され、パーカーを着たらフードを被るようになった。ニューヨーカーがフードを被っていたから。

地図も見ずに歩いていると、いわゆるブランドストリートへと着いた。ブランドに疎い自分でも全部知っている。TiffanyやCOACH、LOUIS VUITTONといった王者の風格を漂わしている建物たち。玄関でマシンガンを片手に笑っている警備員のいるTRUMP Tower。ただの建物なのにも関わらす威圧感がすごい。日本だったら回れ右して帰っていくだろうが、ニューヨークのおれは違う。

堂々とTiffanyの本店に入っていった。心臓をバクバクさせながら。心なしかはいるときドアマンはおれを見て半笑いだった気がするがそんな事はどうでもいい。Tiffanyの本店に存在している自分。それだけで及第点である。なにか購入してやろう!1番安いやつを。そう思ったが、商品に値段は書いてなかった。誰にもバレぬよう忍び足でTiffanyの出た。将来必ず買ってやる。

そこから人の流れに乗って歩いていると、とうとう到着した。あのタイムズスクエア。あのタイムズスクエアだ。世界の中心ともいわれるタイムズスクエアにいるのである。初めて見る大きさの電光掲示板の輝きに目を奪われた。映画やテレビで見た光景が目の前に広がっている。来てよかった。シンプルにそう思えた。だが、ここで油断してしまった。

タイムズスクエアで黒人男性に声をかけられた。
めちゃめちゃ愛想良く笑顔でこう言った。

「CD無料だから、よかったらもらってくれない?」

これが悪夢の始まりだ。いつもなら貰わない。だが、貰ってしまった。アメリカの雰囲気がそうさせた。すると男性は、

「両替してくれないか?」

おれはちょっとなら良いだろうと財布を取り出した。目の前を見ると1人だったはずの男性の後ろにはわらわらと仲間と思える人達が群がっていた。
足が震えてきた。やられた。騙された。そう感じた。実際にそうだった。財布からお金を抜かれはじめた。

「No!」 「Help!」

そう叫んだが誰もこちらを向いてくれない。今思えば、叫んだつもりになっていて実際は恐怖で声は出ていなかったのだろう。か細い声で叫び続けていたら男性グループをおれにこう言った。

「fuckin' kill you!」

マジで言うんや。映画で聞いたことあるセリフや。と呑気なことを考えている場合ではない。殺すと言われてしまった。もっと訳すと、クソ殺すと言われた。ああ、殺されるのか。銃社会やし。と諦めかけたが、ある決意をした。

これは走って逃げるしかない

思いっきり走って逃げた。めちゃめちゃ走った。人生で1番足は速かった。ここがどこだかこの先の道がどこに行くとかそんな事は一切考えられなかった。とにかく走った。不幸中の幸いは、行きの飛行機で「陸王」をみていたことだ。正しい走り方は頭の中に入っていたので、いつもより楽に走れた。ここまで来たら大丈夫だろうと安心したが、目の前の携帯電話で通話している男性にこう言われた。

「fuckin' kill you!」

まだぁ?まだ逃げ切れてなかったのぉ?
またおれはまた何も考えずに走り出した。心臓はバクバクを通り越してドンドン鳴っていた。

悔しかった。というよりも悲しかった。人を騙してお金を取らなきゃ生活できない世の中に。人を平気で騙せる人に。理解が出来なかった。ネットで調べたらCD詐欺といって有名な手法らしい。ちゃんと調べとけばよかった。だが、ここで心が折れたら思う壺だ。何も考えられない頭で自然史博物館へと向かった。

自然史博物館に行ったが、心音で騒がしかった。まだ心臓がドンドン鳴っている。とりあえず館内をまわってみたが、心ここに在らず。さっきの嫌な光景が頭から離れなかった。モアイ像の事しか記憶にない。その日は負けてしまった。そのままホテルへと帰り、何も出来なかった。ベッドにうずくまり、ひたすらYouTubeで日本語を聞いた。日本が恋しかった。この日の精神は、なんとかならなかった。

だが、試練はもう1つあった。
次の日に、ブロードウェイミュージカル「Aladdin」のチケットを購入していた。
場所は、憎きタイムズスクエアにある劇場だった。


#エッセイ #旅行 #日記 #アメリカ


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