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続々タイムズスクエアでの熱い2days

自然史博物館から帰ったものの、ずっとベッドで震えていた。初の海外 初のアメリカでいわゆる初のカツアゲをうけ、所持金の半分以上は盗られてしまった。こんなことならTiffanyで1番安いジュエリーなりなんなり買っておけばよかった。これは勉強代と思い込もうとしても、嫌な光景は頭から離れることは無い。

「もう日本に帰りたい」

その気持ちで心がいっぱいだった。こわいし、日本語喋らないし、チップとか初めてだし、テレビのチャンネル多いし、独特の匂いするし、なによりこわいし。
このままベッドで帰国を待とう。このままホテルでYouTubeをみていよう。これはこれで土産話としては面白いかもしれない。そういう考えで頭が多い尽くされそうになった。

けど、だけれども、ほんとにこのままでいいのか。これではあのカツアゲしてきたやつらの思い通り。完全な敗北だ。それは、それだけは、気に食わない。なんでなにも悪いこともしてない自分が、楽しみにしていたブロードウェイミュージカルを諦めなきゃならないんだ。そう思うと怒りが込み上げた。こわいけど、めっちゃこわいけど。絶対に見に行ってやる。「Aladdin」を堪能して、アメリカを感じてきてやるよこの野郎。

「なんとかなる」よな

そう思ってこの日は勝手の分からないシャワーを浴び、早めに夢の中へ逃げた。

この日も朝は早かった。食欲はでなかったので、朝食は食べていない。朝から心臓の動きも速かった。
ミュージカルの時間は午後3時から。部屋を出たのは朝9時。お決まりのセントラルパークの散歩へ出かける。セントラルパークに限ってはもう庭も同然だ。
きょうもセントラルパークは様々な人が存在している。ピースの綾部を探したが、この日もいなかった。

1~2時間散歩して、さあきょうのメインイベント。
少し早いと思うかもしれないが、ビビって地下鉄には乗れないので歩いて行く分にはちょうどいい。ひとつ作戦があった。ミュージカルのあるニューアムステルダム劇場への1番の近道は、タイムズスクエアのメインストリートを通ることだ。だが、その事件現場を通れるほどメンタルは回復していない。そこでだ、メインストリートから1本外れた道から少し遠回りすれば、あの嫌に輝く電光掲示板を見なくて済む。単純ながら、名案である。この作戦を信じて、ニューヨークの街を突き進んだ。

ビクビクしながら街を歩いていると「HOPE」の文字を司った有名なモニュメントをたまたまみつけた。
雑誌でみたことあるやつだと思いながら見ていると男性に話しかけられた。焦った。やばい。なにかされるかも。彼は

「HOPEと一緒に写真とってもらっていい?」

そう言っただけだった。写真をとってあげた。自分もとって欲しかったが、まだ少しビビっていてやめた。当たり前ではあるが、みんながみんな悪い奴ではないと再認識することが出来た。
ゆっくりと街を歩く。少し大きめの商業施設があればはいり、知っている単語があれば写真に収めた。夢中で歩いていると、午後1時になっていた。ニューヨークでいきたいバーガーショップ。そう、マクドナルドへと入っていった。アメリカのマクドナルドは飲み物がでかいという噂を聞いていたので、真相を確かめにいった。結果は、でかい。1ドルでエルサイズの飲み物が飲める。食欲はなかったが、エッグマフィンを食べた。味は日本でもアメリカでも変わらなかった。

マクドナルドをでで、あの作戦を実行。1本外れた道を歩いた。ここは安全だった。普通の通りだった。変な着ぐるみを着た人も観光バスの勧誘もあの連中もいない。めちゃめちゃホッとして歩くことができた。気軽に写真を撮ることもできた。ニューアムステルダム劇場周辺につくと、1番近くのスターバックスで少し時間をつぶすことにした。

スターバックスでは、アメリカを感じられた。スターバックスに流れる曲に合わせて店員が手拍子をして踊っていた。これぞ日本人の想像するザ アメリカ。
思わぬ所でアメリカを味わい嬉しかった。そして、ブロードウェイを味わうため店を出た。

さあ、待ちに待った。待ちに待ちすぎたミュージカル。ほんとうに楽しみにした。ワクワクで昨日の傷なんかは吹っ飛んでいた。中に入ると、なんてきらびやかな劇場。

圧倒された。迷ったが高い料金の席を購入してよかった。席に着くと、隣に座っている30代ほどのニューヨーカー夫婦が話しかけてきてくれた。この出会いがこの旅を最高の思い出へと変えてくれたのだ。

「どこからきたの?」 「なんでアメリカへ?」
「大学ではどんな勉強を?」「英語はどうやって勉強してきたの?」「スポーツはないかやってた?」

様々な会話を交わし、自分たちは仲良くなった。アメリカ特有のお菓子もくれた。クセがすごくて遠慮していると、「恥ずかしがるなよ!」とお菓子をもうプッシュ。仕方なく食べたが、友達ができた喜びが勝っていた。カツアゲの話もした。彼らは

「僕達のアメリカがほんとうにすまない」

そういってくれた。それだけで、なんだか心が晴れた気分だ。そして、彼は続けて

「おれたちジャスミン役の人と友達なんだ。よかったら、この舞台が終わったら一緒に挨拶しに行かないか?」

え?!まじ?!ジャスミンに舞台挨拶?!
混乱した。興奮した。人生で初めて

「オーマイガー!!」

そう叫んでいた。ブロードウェイスターに挨拶に行けるなんて。夢にも思わなかった。昨日はこのタイムズスクエアでカツアゲされていたのに。返事はもちろんOK。このアラジンを見終わったらジャスミンに会える!そして公演は始まった。

本場のミュージカル。感想は言うまでもなく素晴らしかった。歌もダンスも超一流。英語は完璧に聞き取れなかったが、内容は知っていたので助かった。みんなが笑っているとこで愛想笑いもしていたが、とんでもなく素晴らしい時間を経験を得ることが出来た。「A whole new world」の場面では、目の前のきらびやかな世界・頑張った自分に浸って涙が出てきた。初めてしたスタンディングオベーションの拍手の地響きも忘れられない。

公演が終わるとマルコは「カモン!」と連れていってくれた。冗談じゃなかったんだ。心臓ははじめていいバクバクをしていた。彼らは裏口みたいな所に連れて行ってくれて、しばらく談笑して待っていた。

すると、すると!す!る!と!
目の前にさっき舞台上でジャスミンを演じていた「コートニーリード」が歩いてやってきたのだ!
震えた。スターが目の前に。まじでやばかった。
彼女は気さくに話しかけてくれた。簡単な会話ではあったが、とにかく嬉しかった。
すると彼女は、

「こっちへおいでよ」

と、なんと自分たちを先程までAladdinの世界が存在していたブロードウェイの舞台へとあげてくれたのだ!

いまおれはブロードウェイの舞台にたってるんだ!!

舞台から客席を見ることが出来るなんて!そんな日本人いる?!まあいるとは思うがそのくらい興奮した。昨日のことは吹っ飛んだ。憧れの舞台に立てたのだから。舞台だけじゃなく、セット裏も見せてくれた。

一緒にツーショットも撮ってくれたが、これは自分の宝物としてしまっておきたい。
夢の時間を過ごすことが出来た。捨てる神あれば拾う神ありとはよくできた言葉だ。ブロードウェイが拾ってくれた。最高だ。しばらくして、彼らはディナーに行くようなので別れることになった。だが、マルコと帰り際にInstagramをフォローし合った。彼はある言葉をくれた。

「この出会いは素晴らしいものだ。連絡を取り合おう。ぼくらは友達だ」

この言葉がどれほど嬉しかったか。アメリカへ単身乗り込んで、内向的な自分に友達が出来たんだ。途中で挫けそうになったけど、

「なるとかなる」

この言葉を信じてきてよかった。
そして、僕達は別れた。日本語で

「またね」

と別れの挨拶をして。

帰りも歩いて帰った。すっごく楽しかったが、正直疲れてた。頭がパンパンだ。そして、残り日数は恥ずかしながらホテルで過ごした。もうお金も気持ちも使い果たした。そこから何日かして、光の速さで愛しの日本へ帰った。

この旅を通じて、「なんとかなる」という心意気の大切さ。そして、「なるとかなる」こと。このことを実感することが出来た。いまは不安定な時代で、つらいことも悲しいことも沢山ある。けれど、「なんとかなる」ことを信じて生きていこう。

#エッセイ #旅行 #実体験 #アメリカ #長文 #ブロードウェイ

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