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【読書記録】2023年1月22日〜28日
みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。
では早速、今週読んだ本をざっくりご紹介。
【2023年1月22日〜28日に読んだ本】
●同志少女よ、敵を撃て
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【内容紹介】
1942年、独ソ戦のさなか、モスクワ近郊の村に住む狩りの名手セラフィマの暮らしは、ドイツ軍の襲撃により突如奪われる。母を殺され、復讐を誓った彼女は、女性狙撃小隊の一員となりスターリングラードの前線へ──。第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。
【感想】
日本人が描く外国を舞台にした戦争小説になぜか違和感を感じていて、今まで手に取らずにいましたが、本屋大賞2023の候補作発表を機に一念発起。
読み始めてすぐにこの物語の力強さに圧倒されました。それは凄惨な場面を描いているからとかそういうことではなくて、とにかく物語の勢いみたいなものを感じました。
一応フィクションではあるけれど、いつの時代も戦場では当たらずとも遠からずのことが行われているのだろうと思います。
正義の名の下に人を殺し、勝者の名の下に敗者を辱める。なぜそんなことが繰り返されるんだろう。
本屋大賞1位といえば映画化・ドラマ化を連想しますが、この物語の映像化はちょっと難しいかな。
●伴走者
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【内容紹介】
伴走者とは、視覚障害者と共に走るランナーである。「速いが勝てない」と言われ続けた淡島は、サッカーのスター選手として活躍しながら事故で視力を失った内田の伴走者として、パラリンピック出場をかけ国際大会で金メダルを狙う。アルペンスキーのガイドレーサーを描く「冬・スキー編」も併録。
【収録作品】
夏・マラソン編
冬・スキー編
【感想】
これはパラ・スポーツに打ち込む視覚障害者をサポートする伴走者に焦点を当てた、少し珍しい切り口の物語です。
マラソン、アルペンスキーの中編2編が収録されていて、両方ともお手軽ないわゆる「障害者のガンバリ感動物語」ではなく、競技の説明から選手の置かれた状況、そして障害当事者の気持ちや、いわゆる健常者が陥りがちな勘違いまで、綿密な取材のもとしっかり描かれている良作でした。
●猫のお告げは樹の下で
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【内容紹介】
ふと立ち寄った神社で出会った、お尻に星のマークがついた猫ーミクジの葉っぱの「お告げ」が導く、7つのやさしい物語。失恋した相手を忘れたい美容師、中学生の娘と仲良くなりたい父親、なりたいものが分からない就活生、夢を諦めるべきか迷う主婦…。なんでもない言葉が「お告げ」だと気づいたとき、思い悩む人たちの世界はガラッと変わっていくー。あなたの心もあたたかくなる連作短編集。
【感想】
様々な世代の人生に迷う7人にお告げを授けてくれるのは、背中が黒く手足が白い、お尻に星形模様のはちわれ猫。
やっぱり青山さんの物語は温かくて優しい。
一番心に残った言葉は、
「自分にしかできないことじゃなくて、自分だからできることを探す」でした。
●キノの旅XII
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【内容紹介】
そして、すぐに、キノとエルメスは大きな病院の前にさしかかった。玄関ドアの前に、数人の看護婦が見送りをするために並んでいた。さらに、一台の黒塗りの車が道に止まっていて、運転手がそのドアを開けるところだった。車の後ろにエルメスを止めて、キノはその光景を眺める。やがて、祝福の声に包まれて、病院から夫婦が現れた。若い二人は顔に笑顔を浮かべながら、夫の方は大きな鞄を、妻の方は、小さなバスケットをその手に抱いていた。夫婦はお世話になった看護婦達に何度もお礼を言って、幾人かと笑顔で抱き合った。(プロローグ「幸せの中で・b」)他、全16話収録。
【感想】
2017年のアニメでこのシリーズを知った私。少しずつ読み進めたどり着いた12巻。
この巻でやっと第4の主人公・フォト(この巻ではまだ名前は明かされていないけれど)が登場。このフォト初登場のエピソード、第10話〝雲の前で〟はかなり切ない話で胸が詰まります。だからこそこの後フォトがどういう生き様を見せてくれるのか、キノやシズと顔を合わせることはあるのかが楽しみの一つです。
●失はれる物語
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【内容紹介】
目覚めると、私は闇の中にいた。交通事故により全身不随のうえ音も視覚も、五感の全てを奪われていたのだ。残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見立て、日日の想いを演奏で伝えることを思いつく。それは、永劫の囚人となった私の唯一の救いとなるが…。表題作のほか、「Calling You」「傷」など傑作短篇5作とリリカルな怪作「ボクの賢いパンツくん」、書き下ろし最新作「ウソカノ」の2作を初収録。
【収録作品】
Calling You
失はれる物語
傷
手を握る泥棒の物語
しあわせは子猫のかたち
ボクの賢いパンツくん
マリアの指
ウソカノ
【感想】
乙一さんといえば以前読んだ短編集〝ZOO〟から、ちょっとダークな印象があって敬遠していましたが、いろいろ調べてみると「白乙一」作品もあるらしいということで手に取った本書。
どれもちょっと切ない、悲しい、そして温かい物語でした。
交通事故で右腕の感覚以外全ての感覚を失った男性の心情を描く表題作、この主人公が取った行動が実に切なくて、胸が締め付けられるようでした。
切ないといえば幽霊との奇妙な共同生活〝しあわせは子猫のかたち〟、そして空想上の携帯電話で知らない誰かと語り合う女子高生が主人公の〝Colling You〟も、かなりグッときます。
●つばさものがたり
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【内容紹介】
パティシエールの君川小麦は、自身の身体に重い秘密を抱えたまま、故郷・北伊豆で家族とケーキ屋を開いた。しかし、甥の吐夢からは「ここは流行らないよ」と謎の一言。その通り、店は瞬く間に行き詰まってしまう。力尽きた彼女に新たな勇気を吹きこんだのは、吐夢と、彼にしか見えない天使の“レイ”だった…。小麦のひたむきな再起を見届けたとき、読み手の心にも“見えない翼”が舞い降りる。感涙必至の家族小説。
【感想】
天使が見える男の子・叶夢と、乳がんの再発を宣告された女性・小麦の物語。多分この2人が中心というのが重要。もし叶夢と天使の話だけだったら童話っぽくなるんでしょうし、余命宣告された小麦の話だけだと、最近流行りのパターンになるような気がするから。
「天使が見える」と言う叶夢を両親(特に父親)はなかなか受け入れられない。
小麦は地元で洋菓子店を開業するもうまくいかずあっという間に閉店の危機。後半話が良い方に転がっていきますが、やはり病気には勝てず…。
それでもできることは全力でやり遂げてしっかりバトンを渡した小麦さん、素敵な物語をありがとう。
●戦国武将の精神分析
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【内容紹介】
「歴史とは暗記科目ではない」-。共通の理念をもつ歴史学と脳科学のトップランナー二人が、史料だけでは読み解けない戦国武将の実像を考察する“新しい戦国論”。中世の「絶対的父権」に抗った武将たちの心理、徳川家康や毛利元就の「意趣返し」にみる日本人の遺伝子、名君・武田信玄の戦略に垣間見られるまさかのサイコパス疑惑など、最新の脳科学と歴史学の知見を踏まえた分析で、驚きに満ちた戦国武将たちの実像を明らかにする。
【感想】
歴史学者の本郷氏が超有名な戦国武将のエピソードを取り上げ、それを脳科学者の中野氏が脳科学的かつ精神医学的に分析していくという本書。
まずは対談形式で平易な言葉で語られているのでとっつきやすいのがgood.
信長がサイコパスというのは、多分誰もが思っていたこと。その他には伊達政宗は潜在的自己評価が低いとか、毛利元就はセロトニン不足だったとか、石田三成はKYだったとか…。
何よりも面白いのは、「戦国武将の」とタイトルにあるのに、毒親の元祖として淀殿が取り上げられていること。
【まとまらないまとめ】
ということで今週は小説6冊、新書1冊。
1番心に残ったのはやはり〝同志少女〜〟。本屋大賞1位は伊達じゃない。
次いで新書の〝戦国武将〜〟。
この本はnoteの樹田 和(いつきだ なごむ)さんの記事で紹介されていて、興味を持ち手に取った本です。この本を病めば、歴史・時代小説がもっと楽しくなるかも。
…ということで、最後に
読書っていいよね。
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