見出し画像

【読書記録】2023年9月10日〜9月16日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 台風が来て少しは秋らしくなるかと思いきや、朝晩多少は涼しくなったものの、日中はいまだに太陽ギラギラ、熱気ムンムン、汗ダラダラ。
 もうそろそろいいんじゃないかな太陽さん。
 こんなに秋を待ち遠しく感じるなんて…。
 はーやくこいこい、読書の秋!!

…ということで、残暑に負けず、今週出会った本たちをご紹介します。

【2023年9月10日〜9月16日に出会った本たち】

⚪️レッドネック

著者 相場英雄

【内容紹介】
 米系大手広告代理店に勤務している矢吹蛍子は、突然、バンクーバーに出張してケビン坂田という大学の若手講師に接触するよう、社命を受ける。クライアントが六〇億円ものフィーを支払う謎のサイエンティスト・ケビンの正体とは?都知事選が目前に迫る東京であまりに危険なプロジェクトが極秘に進められていたー。結末にすべての読者が震撼する、衝撃のノンストップエンターテインメント長篇、遂に文庫化。

裏表紙より

レッドネック
 アメリカ合衆国の南部やアパラチア山脈周辺などの農村部に住む、保守的な貧困白人層を指す用語である。職業は肉体労働者や零細農家が多い。プアホワイトやヒルビリーと同様に差別的な意味を含む言葉。

ウイキペディアより

【感想】
 SNSやネット通販など、便利だし使うためには会員登録が必須だから、当たり前のように個人情報を入力して、クーポンやポイント目当てにアンケートにも気軽に答えちゃうけれど、その情報がどう使われているのかまで考えを巡らせたことはありません。ましてやSNSで世論を操作する、いや操作できるなんて…。
 この「情報の抽出と分析」そして「世論の操作」を扱っているのがこの物語。
 目にした情報は脊髄反射で拡散させず、情報の発信源と、その情報で誰が得をするのかを一度自分の頭でしっかり考えることが大事。というのはわかってるんだけど、ついね。
 そうそうこの物語、ハイブリット車と非正規労働者の問題を扱った〝ガラパゴス〟と少しだけリンクしています。

⚪️傘のさしかたがわからない

著者 岸田奈美

【内容紹介】
 笑えて、ときに泣けてしまう爆走エッセイ!
 この本を読んで後悔する人はいない。
 むしろ感謝に満ちると思う。岸田家にも自分にも、明日があることに。
――矢野顕子さん激賞!
異例の大反響!
『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』から1年、
ゲラゲラ笑えて、ときにしんみり、なんだか救われてしまう
爆走エッセイ第2弾の登場です。

版元ドットコム 書誌情報より

【感想】
 車椅子の母、ダウン症の弟、父親は病没という境遇の著者のエッセイということで、いわゆる障害者とその家族の「ガンバリ本」みたいなものかと、正直身構えてページを捲り始めると…。なんか思っていたのと違う。軽い。優しい。しかも温かい。それでいて鋭い。とにかくモノの見方・捉え方がポジティブ。
 岸田さんが幼稚園時代に母が言った言葉、

「お姉ちゃんやからって我慢しなくていい。弟のめんどうなんて見なくていいし、楽しくなかったら、一緒にいなくてもいい。奈美ちゃんは、奈美ちゃんの好きなように生きて。それがお母さんとお父さんの幸せやから」

本文より

この言葉が素晴らしいし、この言葉があったからこそ、今の岸田さんがいるんだと思います。

⚪️グッとくる「はげまし」言葉

著者 齋藤孝

【内容紹介】
 「善いことも悪いことも自分一人でやるんだ」(坂口安吾)-言葉がグッと胸にくいこんで、その後の人生を励ましてくれる。そんな経験は人生の宝だ。大人が手加減なしで全力で発した言葉は、全身にビリビリとくる。サリバン先生からアントニオ猪木まで、古今東西一流の人が投げかける愛に溢れた珠玉の名言集。

裏表紙より

【感想】
 私もよく使う「グッとくる」という表現。言い換えれば心臓を鷲掴みにされるような、思わず言葉に詰まるような気持ちというか…。
 元々は週刊文春に「説教名人」というタイトルで連載された記事を同名で単行本化、文庫化の際に改題したのが本書。「説教」と「はげまし言葉」では、多少意味合いが違う気がするのですが…。
 斉藤先生が選んだ古今東西の有名人や著名人、果ては漫画のキャラクターまで総勢40人の名言を取り上げて詳しく解説した本です。
 巻末には斉藤先生と美輪明宏さんとの対談が収録され、解説は乙武洋匡さん。
 乙武さんのお母さんの言葉もなかなかグッときます。

⚪️スラムダンクな友情論

著者 斎藤孝

【内容紹介】
 「必死でついてこい交代しねーならよ」極限の緊張の中で流川は花道に気合いを入れる。互いに高め合う友情の関係を見事に描いた傑作マンガ『スラムダンク』をはじめ、『行け!稲中卓球部』、坂口安吾『青春論』、『スタンド・バイ・ミー』など十代必読の名著から「真の友情関係」を学ぶ。斎藤孝のパワーみなぎる初期傑作。

裏表紙より

【感想】
 人気漫画スラムダンクの桜木花道と流川楓の関係を軸に、本当の友情とは何かについて語られている本書。
 タイトルにスラムダンクとありますが、スラムダンクだけではなく、その他の漫画、小説、映画などからたくさんの作品を取り上げています。
 それにしても「友情」とか「青春」とか「絆」という言葉がなんだか照れ臭く感じてしまうのはなぜだろう。それだけ歳をとったということか。
 巻末にこの本で取り上げた作品のリストが掲載されていて、それを手掛かりに考えを深めていくのもいいかも。私が一番気になったのは高史明さんの〝生きることの意味〟。

⚪️歌集 滑走路

著者 萩原慎一郎

【内容紹介】
 「きみのため用意されたる滑走路きみは翼を手にすればいい」「非正規の友よ、負けるな ぼくはただ書類の整理ばかりしている」「われを待つひとが未来にいることを願ってともすひとりの部屋を」-いじめ、非正規雇用、恋…。32歳という若さで命を絶ち、遺作となった唯一の歌集は、若い世代が抱える不安や葛藤、希望を求める姿を描き、多くの共感を集めた。異例のベストセラーとなった歌集、待望の文庫化!

裏表紙より

【感想】
 正直私の中で、短歌とは、「五七五七七以外に何かルールはあったかな?」程度の認識しかなくて、だから今までいわゆる「歌集」を手に取ることはなかったし、あの大流行した俵万智さんの「サラダ記念日」を目にしても、どう味わったらいいのかわからないというか、誰かに「この歌のココがいいんだよ!」と熱く語ることができないというか…。
 夕日の切なさや派遣労働の現実、恋の甘酸っぱさは何となく感じ取れたけれど…。うーんまだまだ。もっと感性を磨かなければ。

⚪️永遠のおでかけ

著者 益田ミリ

【内容紹介】
 いつまでもそばにいてくれると思っていた人が突然いなくなってしまったら…?大切な人を失い悲しい経験をした人も、いつか辛い別れをするかもしれない人も、どんな人の心も震わせる珠玉のエッセイ。何気ない日常のふとした瞬間は、このうえのない宝物。人は誰でも自分だけの人生を生きている。単行本未収録作品「コロンの記憶」を収録。

裏表紙より

【感想】
 益田ミリさんは夏の文庫フェアでも毎年必ず見かけるし、気にはなっていたのですがなかなか手を伸ばす機会が巡ってきませんでした
 この「永遠のおでかけ」は、著者の益田さんのお父さんが癌の宣告を受けてからの日々を綴ったエッセイでした。
 実は私、まだ学生(と言っても二十歳は過ぎていたけど)の時に父が癌で亡くなっていて…。あの頃、仕事ひと筋で家では飲んだくれている父が大嫌いで、悪態ばかりついていたことをこの本を読みながら思い出しました。
 自分もそろそろバトンを渡す立場、子や孫に「心に残る大切なもの」を残してあげられるだろうか。

⚪️ああ、恥ずかし

アンソロジー

【内容紹介】
 白いワンピースで雨に降られて下着バッチリ。泥酔状態で乗せられたパトカーの中で大はしゃぎ。下書きのまま、うっかり押したパソコンの送信ボタン。服の裾から出てきた、昨日脱いだはずのストッキング。思い出すたびに赤面、できれば記憶を消去したい、そんな“恥ずかし体験”を、作家・イラストレーター・女優・タレントなど女性ばかり70人が思い切って明かした大爆笑のオリジナル文庫。

裏表紙より

【感想】
 コレは楽しい。本当に何も考えずゲラゲラクスクス。やっぱりお酒での失敗と、下ネタ系は何というか「平和の象徴」みたいな。
 でもコレ、女性が語る(書く)から何となく楽しい話で終わるんであって、同じネタでも男性が語る(書く)と、なんか品がないというか、妙に生々しく感じてしまうのはなぜだろう。コレって偏見?もしかしたら火種?
 それにしてもパンツ(ズボン)と下着やストッキングを一緒に下ろすかね。しかもそれをまた履くかね。
 ともかくエッセイ初心者の私としては、今までで一番楽しいエッセイでした。
 読書好きでエッセイ好きの方、面白くてオススメのエッセイがあったら、ぜひご紹介ください。

⚪️あの日、忌野清志郎と

著者 片岡たまき

【内容紹介】
 忌野清志郎の元マネージャーによるリアル清志郎伝。中学生の頃、テレビで見て以来熱烈なファンになり、ついには所属事務所に入社。衣裳係、マネージャーとして音楽活動を支えた著者が、40年間見つめてきた清志郎の素顔を愛情溢れる言葉で回想する。清志郎直筆の手紙やイラストに加え、文庫化に際して清志郎亡きあとのエピソードをボーナストラックとして収録する。

裏表紙より

【感想】
 RCが好きすぎて、単なるファンから衣装係、そしてマネージャーにまでなってしまった著者が語る等身大の忌野清志郎さんの話。
 先輩の影響もあってバンドスタイルになってからのRCはかなり聴きました。
 アルバムの発禁騒動も、タイマーズがNHKーBSの年末生ライブ番組中に、♫明星即席ラーメンの歌♫を歌った事もはっきり覚えています。
 忌野清志郎という人はとにかくやることなすこと飛び抜けた人だった印象。でもこの本を読んで感じた素顔は、繊細でどちらかといえば無口でちょっとおちゃめなお兄さん。
 2009年5月のお別れの会での甲本ヒロトさん、竹中直人さんの弔辞が忘れられません。

⚪️「自分らしさ」と日本語

著者 中村桃子

【内容紹介】
 ことばには内容を表現するだけではなく、“その人らしさ”を表現し、話している人同士の関係を作り上げる働きがある。ことばの背後にある社会の規範や価値観を解きあかす社会言語学の知見から、「名前」「呼称」「敬語」「方言」「女ことば」といった観点を通して、ことばで「自分」を表現するとはどういうことかを考える。

裏表紙より

【感想】
 昔テレビのUFO特集で、アメリカの田舎の農夫のUFOの目撃情報のインタビューに東北弁の日本語吹き替えが当てられていて、子供ながらになぜ東北弁なのか疑問に思っていました。
 この本では、ジェンダーやアイデンティティの問題を、社会言語学という立場から取り上げています。
 実際にはほとんど聞かないいわゆる「女性言葉」の謎とか、なぜ「男は僕で女は私を使うのか」なんて、今まで疑問に思ったことすらありませんでした。
 出身地以外の知名度の高い方言を使うことを「方言コスプレ」と言うことも初めて知ったし、敬語の距離感の話もなるほど。「…っす」も立派な敬語だったのね。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
 普段小説を中心に読んでいる私が…。
 エッセイ?
 歌集??
 ノンフィクション???
 それもこれも、すべていわた書店の「一万円選書」のおかげです。
 前回(2021年)に選書していただいた時は、ほとんどが小説でしたが、今回は小説は一冊もないという。気になったらその方向へ猪突猛進してしまう私にとって選書というシステムは、偏った読書の幅を強制的に広げてくれる宝箱のような、びっくり箱のような素敵な存在です。
 まぁ、バクチ的な側面もあるけれども。

最後に
 読書っていいよね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?