見出し画像

【読書記録】2023年5月28日〜6月3日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 6月に入ってのいきなりの大雨。本当に驚きました。
 そういえば今年は、例年より早く桜が咲いたり、台風が来たり、梅雨に入ったりと、なんだか天候に急かされているというか、追い立てられているような気がします。
 だからなのか、それとも歳のせいか、疲れが抜けないというか、なんとなく気が晴れない毎日を過ごししています。
 こんな時だからこそ新しい物語や価値観に触れて、心も身体もリフレッシュ!!

 ということで、今週出会った、そして再会した本たちをざっくりご紹介します。

【2023年5月28日〜6月3日に出会った、再会した本たち】

⚪️季節風 夏
 僕たちのミシシッピ・リバー

著者 重松清

【内容紹介】
 転校が決まった“相棒”と自転車で海へ向かう少年たちの冒険「僕たちのミシシッピ・リバー」、野球部最後の試合でラストバッターになった輝夫と、引退後も練習に出続ける控え選手だった渡瀬、二人の夏「終わりの後の始まりの前に」など一瞬の鼓動を感じさせる「季節風」シリーズの「夏」物語。まぶしい季節に人を想う12篇を収録。

裏表紙より

【収録作品】
親知らず
あじさい、揺れて
その次の雨の日のために
ささのはさらさら
風鈴
僕たちのミシシッピ・リバー
魔法使いの絵の具
終わりの後の始まりの前に
金魚
べっぴんさん
タカシ丸
虹色メガネ

【感想】
 夏がテーマの12篇の短編集。約6年ぶりの再読です。
 夏といえば「太陽燦々」「青春大爆発」みたいな印象ですが、この12篇はどれも「別れの夏」が描かれています。いや別れだけではなくて「その後の一歩」がしっかり描かれています。
 なるほどそうか!
 だから自分は重松作品が好きなんだ!!
 12篇のうちの1篇のタイトルであり、あとがきにもある「終わりの後の始まりの前」を描き続ける作家と、そこに登場する人間の不器用さ、そこから生じる切ない物語がたまらなく好きなんだと再認識しました。

⚪️秘密

著者 東野圭吾

【内容紹介】
 妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。映画「秘密」の原作であり、98年度のベストミステリーとして話題をさらった長篇、ついに文庫化。

裏表紙より

【感想】
 これまで「兄弟」とか「同い年の男女」の入れ替わりという物語を手にしたことはあったけれど、まさか事故で娘の肉体に母親の魂が宿る物語とは。 
 自分は男なので、どうしても夫であり父親である平介目線で物語を追ってしまいます。
 身体は娘、でも言動は妻。これはもうココロもカラダもモヤモヤしっぱなしでしょう。
 それにしても平介、5年、いや9年よく頑張ったと思います。
 これは主に1985年から5年間の物語なので、携帯電話やポケベルはおろかパソコン通信だって普及していない時代。それがなんだか懐かしい。
 それにしても最後に明かされるタイトルの謎には本当に驚かされました。

⚪️プラチナデータ

著者 東野圭吾

【内容紹介】
 国民の遺伝子情報から犯人を特定するDNA捜査システム。その開発者が殺害された。神楽龍平はシステムを使って犯人を突き止めようとするが、コンピュータが示したのは何と彼の名前だった。革命的システムの裏に隠された陰謀とは?鍵を握るのは謎のプログラムと、もう一人の“彼”。果たして神楽は警察の包囲網をかわし、真相に辿り着けるのか。

裏表紙より

【感想】
 これは怖い、いわゆるひとつのディストピア小説。
 多分近未来の日本。国と警察は犯罪捜査を容易にするために、国民のDNAをデータベース化するシステムを構築します。
 DNA情報を登録した国民は税金の優遇や様々な得点が得られます。
 …ちょっと待て!?
 さすがにDNA情報ではないけれど、現代の日本でなんだか似たような事をやっているような気が。
 物語はシステムを構築した人間が殺され、関係者が犯人として疑われ、その容疑をはらそうと奮闘します。
 DNA情報を登録する人間がいる一方で、拒否して独自の生活コミュニティを築く人間も登場します。さぁ自分だったらどっちを選ぶだろうか。
 リュウとスズランの関係がとても切ない物語でした。

⚪️ほろよい読書

アンソロジー

【内容紹介】
 今日も一日よく頑張った自分に、ごほうびの一杯を。酒好きな伯母の秘密をさぐる姪っ子、自宅での果実酒作りにはまる四十路のキャリアウーマン、実家の酒蔵を継ぐことに悩む一人娘、酒が原因で夫に出て行かれた妻、保育園の保護者達からオンライン飲み会に呼ばれたバーテンダー…。今をときめく5名の作家が「お酒」にまつわる人間ドラマを描いた、心うるおす短編小説集。

裏表紙より

【収録作品】
ショコラと秘密は彼女に香る 織守きょうや
初恋ソーダ 坂井希久子
醸造学科の宇一くん 額賀澪
定食屋「雑」 原田ひ香
barきりんぐみ 柚木麻子

【感想】
 お酒がテーマのアンソロジー。
 初めましては織守きょうやさん。お酒というよりはお酒入りのチョコレートボンボンが出てくる話でした。
 特に心に残ったのは、大学の醸造学科に入学した老舗蔵元の女の子が主人公の〝醸造学科の宇一くん〟。これはぜひ長編で読みたい。そして甘酒って夏の季語なんですね!冬だと思ってました。
 もう一つはコロナ禍のzoom飲み会の話〝barきりんぐみ〟。この話の中に登場したブランデー+生クリーム+ハチミツのカクテル「ズーム」はぜひ飲んでみたいです。
 5類に引き下げられたとはいえ実際には何も解決していない状況で、普通の飲み会というのはやっぱりまだ気が引けますね。

⚪️鳥肉以上、鳥学未満。

著者 川上和人

【内容紹介】
 ボリュームたっぷり胸肉、スジが噛み切れないササミ…。鳥肉を食べ尽くしながら鳥類を語り尽くす鳥肉界随一の快著、ついに文庫化。ボンジリってお尻じゃないの?鳥の首はろくろ首?昭和の野球部はスズメ跳び!?-トリビアもネタも満載。オーブンのチキンが焼けるまで、とっておきのサイエンスを召し上がれ。

裏表紙より

【感想】
 ムネ、ササミ、手羽、モモ、セセリ、ボンジリ、レバー、セギモから卵まで、鳥類学者が「鳥肉」という視点から鳥類の構造や生体を解説してくれています。
 コレは面白い!
 軽妙な語り口とアニメや漫画を用いた比喩表現はちょっと読み手を選ぶかもしれませんが、何よりも身近な「鳥肉=鶏」を教材にしながらたくさんの鳥類の特徴について説明されているというのが私にはジャストフィットでした。
 少し気が早いけど、もしかしたら学生さんの夏休みの自由研究にしても面白いかもしれません。
 なんだか焼き鳥屋に行くのが楽しみになりました。

 ここで問題!
 モスバーガーの「モスチキン」、あれはいったいどこの部位でしょう?

 答えは本書でご確認ください。

⚪️われ笑う、ゆえにわれあり

著者 土屋賢二

【内容紹介】
 愛ってなんぼのものか、わたしはこうして健康に打ち勝った、あなたも禁煙をやめられる、なにも考えないで楽しく生きる方法、超好意的女性論序説、汝みずからを笑え…などなど本邦初の「お笑い哲学者」が、人間について哲学的に、大マジメに考察した、摩訶不思議、変幻自在、抱腹絶倒の処女エッセイ集。

裏表紙より

【感想】
 著者は哲学者。
 私の中で哲学者のイメージは「お堅い、融通の効かない、神経質な人」。
 そんなイメージを根底から覆してくれるのが著者の土屋先生。
 先生のエッセイはとにかく掴みどころがないというか、真面目にふざけているというか、ケムに巻かれるというか。
 最後には何が何だかわからなくなって、物事を小難しく考えて悩んでいる自分が馬鹿馬鹿しく思えてきます。
 同じ行動をしても、容姿の優れた男とそうでない男ではまったく逆の意味に取られるという話は納得の反面…。
 大事なのは「発送の転換」ですかね。
 とにかく肩のチカラを抜きたい人にオススメの一冊です。

⚪️雑草はなぜそこに生えているのか
 弱さからの戦略

著者 稲垣栄洋

【内容紹介】
 「抜いても抜いても生えてくる、粘り強くてしぶとい」というイメージのある雑草だが、実はとても弱い植物だ。それゆえに生き残りをかけた驚くべき戦略をもっている。厳しい自然界を生きていくそのたくましさの秘密を紹介する。

裏表紙より

【感想】
 〝植物はなぜ動かないのか〟の続編。今回はタイトル通り「雑草」に焦点を当てています。
 ちなみに雑草とは、「人類の活動と幸福繁栄に対して、これに逆らったり、これを妨害したりするすべての植物(アメリカ雑草学会)」だそうで、著者いわく「望まれないところに生える植物」とのこと。
 話はいわゆる「雑草」の不思議で魅力的な生態(生存戦略)から始まり、最後は除草剤の話までと幅広い。
 特に除草剤の仕組みと、近頃除草剤に耐性のある雑草が生まれたという話は実に興味深く読了しました。
 そういえば「雑草という名の植物はない」と言ったのは昭和天皇だったか。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
 今週は珍しく小説に加え鳥類学、植物学、そして哲学と学者さんの本を3冊読みました。
 そして一番心に残ったのが稲垣栄洋さんの〝雑草はなぜそこに生えているのか〟の後書に書かれていた井上ひさしさんの言葉。

「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」

〝雑草はなぜそこに生えているのか〟p.204

 今回読んだ3人の学者さんの本は、まさにこの言葉を体現しているものでした。
 話す時、説明する時、そしてこのnoteの記事を書くときも心に留めておきたい言葉です。
 まぁ、難しいことなんて書けないし喋れないんですけど。

最後に
 読書っていいよね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?