【読書記録】2023年5月14日〜5月20日
みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。
5月もいよいよ下旬。
そろそろ夏の文庫フェアの噂が流れ始める時期になりました。とはいっても例年この時期にいち早くラインナップが発表されるのは角川書店の〝カドブン〟だけなのですが。
6月中旬に集英社の〝ナツイチ〟、7月に入って新潮社の〝新潮文庫の100冊〟のラインナップが発表され、そこから夏の文庫フェアが開幕。
今年はどんな本がラインナップされるのか今からワクワクが止まりません。
…ということで、今週も出会った本たちをざっくりご紹介します。
【2023年5月14日〜5月20日に出会った本たち】
●オネスティ
【感想】
honesty =正直、誠実、率直…。
幼馴染のカイとミノリは、それぞれの両親の不仲から「お互い大切な存在だけれど、付き合わないし、セックスも結婚もしない。その代わり秘密は作らず何でも話す」と誓い合います。
本人たちにとっては確かにオネスティかもしれないけれど、お互いの結婚相手のことを考えるとコレはかなりキツいと思います。
物語にはほとんど登場しないけれど「大好きな人とは結婚しない」と思わせたそれぞれの両親も罪深い。とりあえずうちの子たちは結婚を否定することはないようなのでホッとしています。
●キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春編
【感想】
IWGPの前日譚。タカシがなぜ、どうやって池袋のキングになったのか、どうしてあんなにクールな性格になったのかがマコト目線で語られます。そしてなぜマコトがGボーイズに入らず今の立ち位置になったのかも。
もちろん若者たちが集まるオレオレ詐欺グループの話や、ノックアウト強盗などの当時世間を賑わした社会問題も絡んできます。
キーマンは池袋に複数あったチームをまとめGボーイズを結成したタカシの兄・タケル。彼と彼らの母が残した想いはその後のタカシとマコトの羅針盤となります。
●赤・黒(ルージュ・ノワール) 池袋ウエストゲートパーク外伝
【感想】
IWGPの外伝。刊行時期で見るとシリーズ2作目〝少年計数機〟と3作目〝骨音〟の間の物語。
主人公はギャンブル依存症の映像クリエイター・小峰。彼が関わる事件の解決に奔走するのは、池袋のトラブルシューター・マコトではなく、マコトの幼馴染のサルこと斉藤富士夫。ちなみにマコトは二度ほど名前が出てくる程度ですが、Gボーイズのキング・タカシは、ちょっとしたトラブルの解決に手を貸します。
現金強奪計画に参加し奪取には成功したもののその現金は横取りされ、共犯者にも死人が…。
私はギャンブルに手を出したことはありませんが、奪われた金を取り返すための最後の大博打にドキドキが止まりませんでした。
●娼年
【感想】
二十歳の大学生のリョウが娼婦(男なので娼夫)として秘密クラブで働く物語。
リョウの目的は「欲望の秘密を解き明かす」こと。
欲望(性癖)の形は人それぞれ。男性はその欲望を赤裸々に語るのに、女性が口にすることは21世紀の現代でも…。
読んでいて娼夫という仕事は娼婦よりもさらにハードルが高いように感じました。
かなり濃厚な性描写はあるけれど、コレはいわゆる官能小説とは一味違うのはなぜだろう。登場人物たちの個性が際立っているからか。それとも様々な年代の女性たちの気持ちや心の変化が丁寧に描かれているからだろうか。
●逝年
【感想】
あれから1年。ル・クラブ・パッションが営業を再開した。立ち上げメンバーはリョウ、アズマ、咲良、そして…。
娼夫として働きながらオーナーとして新たな娼夫を探すリョウ。
リョウがスカウトしたのはGIDでFTMのアユム。このアユムの存在が物語の新たな扉を開いてくれます。そして医療刑務所から出所した静香の最後の願いと想い。
このシリーズを読んでいると自分の中の「普通」とか「常識」といったフィルターが危うくなってきます。
これは石田さんの物語を読んできて度々思ったことですが、このシリーズ、女性が読んだらどう感じるのかぜひ聞いてみたいです。聞けませんけど。
●爽年
【感想】
このシリーズを読み終えてまず浮かんだ言葉は「おとぎ話」いや「Sexual Fantasy Storyかな。
ボーイズクラブとかいわゆる娼夫というのは実際に存在するんでしょう。でも現実世界は、反社会的勢力の介入や、お金やドラッグ、暴力が絡む多分もっと生々しい世界なんだと思うし、リョウが今の境地に至るまでには手痛い失敗も数多くあったと思うので、その辺りが描かれなかったのは残念といえば残念。まぁ物語なのだからこれはこれでありか。
あと、やっぱり「持っている階級の人たち」の話なので、なんだか一歩引いてしまった感。
⚫︎初めて彼を買った日
【収録作品】
七回目のデート
ひとつになるまでの時間
遠花火
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア
チェリー
黒髪クラブ
初めて彼を買った日
あの静かで特別な夏
【感想】「
娼年」シリーズの書き下ろし短編が収録されているということで手に取った本書。
表題作が「娼年」のスピンオフ。同じ石田さんの短編集「MILK」に収録されている話が2編、
他5編のうち最終話の「あの静かで特別な夏」だけ新聞に掲載されていたということもあってか、タイトル通り本当に特別で、まったく濡れ場なし。コロナでの自粛生活がきっかけで離婚した夫婦の話でした。
おまけに「大人の放課後ラジオ」という石田さんが出演している映像コンテンツの質問コーナーに寄せられた、「性」についての質問に答えているという盛りだくさんな内容。
●看守の流儀
【収録作品】
ヨンピン
Gとれ
レッドゾーン
ガラ受け
お礼参り
【感想】︎
金沢の刑務所を舞台にした刑務官と受刑者たちの物語です。
第1話の仮出所した男が行方をくらます「ヨンピン」は、最後の夜中に行われた二人だけの出所式にグッときました。
その他刑務所内の印刷工場で起きた試験問題の流出事件。保管されていた書類(健康診断記録と、レントゲンフィルム)紛失事件。末期の膵臓癌の受刑者の刑の執行停止をめぐる話など今まで知らなかった刑務所内の色々なことを知ることができました。
そして一番の謎、語り部となる元受刑者の歌手・三上と、全ての事件の鍵を握る顔に傷のある火石という刑務官の秘密に触れた時、新たな驚きが。
●家族終了
【感想】
Twitterだったかnoteだったかで紹介されていた本書。
タイトルだけ見て興味を持ち、どんな本なのか調べもせずに購入。
私はいわゆる昭和の典型的な縦社会的家族+事情があって少し特殊な環境で育ったので、家族同士がフラットな関係の横社会的な家族というものになんとなく違和感を感じます。今の世の中それでは通用しないことも知っています。
寺内貫太郎一家や東京バンドワゴンの堀田家のような構成の家族は絶滅危惧種。
法律婚だけではなく事実婚、同性婚など、家族の形も多種多様。家族のカタチはこれからどう変わっていくのか。それこそ子育てを終了して子供が巣立ったら「家族をリセット」というのもありかも(これは山田宗樹さんの〝百年法〟の世界か)。
●植物はなぜ動かないのか
【感想】
気がつけば稲垣さんの本は3冊目。
本書を読めば退屈だと思っていた植物学が一瞬にして楽しい学問に変わります。
まずタイトルにあった素朴な疑問。その答えは「植物は動かなくても自分で栄養を作り出せるから。そして自らが環境に適応するために変化できるから」。確かに。
何よりも驚いたのが、ライ麦は620km根を伸ばすという話。例えるとなんと東京から姫路くらい。これだけ根を伸ばすライ麦はすごいけれど、それを調べた学者さんもすごい。
植物にはナンバーワンになれるオンリーワンの場所を見つける力があるという話は、なんかグッときました。
【まとまらないまとめ】
いかがでしたか?
これで石田衣良さんは55冊読了。だからなんだということはありませんが、IWGPの第1期、娼年シリーズをはじめほとんどの作品を手に取ることができたので、あとはぼちぼちいこうかと。
石田さんに集中している間に「積読」もだいぶふえたし、これから読みたい本もたくさん刊行されるので、しばらくは乱読の通常運転に戻る予定です。
最期に
読書っていいよね。
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