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【読書記録】2023年11月5日〜11月11日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 寒い!
 とにかく寒い!
 つい先日最高気温27度だったのに、今日の最高気温は15度切ってる!!
 この気温差に体がついていけなくて、どうにもテンションが上がらない。
 これはもう積読の山を減らすためにも「冬眠」するしかないな。
 いや、ちょっと待てよ。
 冬眠したら本読めないじゃん。

 お後がよろしいようで。

…ということで、早速今週出会った本たちをご紹介します。

【2023年11月5日〜11月11日に出会った本たち】

⚪️精霊の木

著者 上橋菜穂子

【内容紹介】
 環境破壊で地球が滅び、様々な星へ人類は移住していた。少年シンが暮らすナイラ星も移住二百年を迎えるなか、従妹のリシアに先住異星人の超能力が目覚める。失われた“精霊の木”を求め、黄昏の民と呼ばれる人々がこの地を目指していることを知った二人。しかし、真実を追い求める彼らに、歴史を闇に葬らんとする組織の手が迫る。「守り人」シリーズ著者のデビュー作、三十年の時を経て文庫化!

裏表紙より

【感想】
 1989年刊行の上橋さんのデビュー作。
 一度絶版になり15年後に装いを新たに再販。そして2019年に作家生活30周年を記念しての文庫化。
 この物語を描いた当時はまだ大学院生だったということに驚きます。なぜってSFファンタジー的な設定ではあるものの、文明国の侵略とか、歴史の隠蔽など、この頃すでに「文化人類学」に通じるであろう内容が沢山盛り込まれているので。
 上橋作品といえば舞台は中世ヨーロッパから東南アジア風のファンタジー世界という印象ですが、この物語の舞台は遥か未来。技術が進んでも人間の根本は変わらないのか。

⚪️マイナス・ゼロ
 広瀬正・小説全集・1

著者 広瀬正

【内容紹介】
 1945年の東京。空襲のさなか、浜田少年は息絶えようとする隣人の「先生」から奇妙な頼まれごとをする。18年後の今日、ここに来てほしい、というのだ。そして約束の日、約束の場所で彼が目にした不思議な機械ーそれは「先生」が密かに開発したタイムマシンだった。時を超え「昭和」の東京を旅する浜田が見たものは?失われた風景が鮮やかに甦る、早世の天才が遺したタイムトラベル小説の金字塔。

裏表紙より

【感想】
 1970年刊行のSF小説。しかもタイムトラベルもの。
 手に取ったきっかけは石田衣良さんのYouTubeチャンネル「オトナの放課後ラジオ」。
 石田さんが絶賛していただけあって、グイグイ読んでしまいました。
 読み終えていろいろ調べてみると、本屋大賞の5周年特別企画「この本を復刊せよ!」の1位というのにも納得。
 昭和38年から昭和7年にタイムスリップしてしまった主人公は現代に戻れるのか?この話を軸に物語が進んでいきますが、とにかくこの昭和7年当時の東京の風景、ファッションから小物までの描写が実に細かい。
 真相には色々驚かされる部分もあったけれど…。
 途中で著者本人がチラッと登場するのも、どこぞの映画監督みたいで面白い。
 そういえばあの後警官はどうなった?

⚪️ツィス 改訂新版
 広瀬正・小説全集・2

著者 広瀬正

【内容紹介】
 東京近郊の海辺の町で密かにささやかれはじめた奇妙な噂。謎のツィス音=二点嬰ハ音が絶え間なく、至るところで聴こえるというのだ。はじめは耳鳴りと思われたこの不快な音はやがて強さを増し、遂に首都圏に波及して、前代未聞の大公害事件に発展していく。耳障りな音が次第に破壊していく平穏な日常。その時、人びとが選んだ道は?そして「ツィス」の正体は?息もつかせぬパニック小説の傑作。

裏表紙より

【感想】
 ある日、神奈川にある精神科病院を一人の女性が受診する。彼女の症状は「幻聴」。ごく小さな音がいつも聞こえるのだという。
 調べてみるとそれは幻聴ではなく本当に「C#(557Hz)」の音が鳴っており、調査してみるとその音は徐々に大きくなり日常生活に支障をきたすほどになるという。
 神奈川の一部限定だったC#(ツィス)の被害は東京へと広がり…。
 最終的に国は関東圏の人々の地方への疎開を決定。SFというよりはパニック小説や社会派小説といった感じでしょうか。
 最後に真相が明かされて。…もしかしたらコロナってこの類だったのでは!?なんて思ってみたりして。

⚪️一分間だけ

著者 原田マハ

【内容紹介】
 ファッション雑誌編集者の藍は、ある日ゴールデンレトリバーのリラを飼うことになった。恋人の浩介と一緒に育て始めたものの、仕事が生きがいの藍はは、日々の忙しさに翻弄され、何を愛し何に愛されているかを見失っていく…。浩介が去り、残されたリラとの生活に苦痛を感じ始めた頃、リラが癌に侵されてしまう。愛犬との闘病生活のなかで、藍は「本当に大切なもの」に気づきはじめる。

裏表紙より

【感想】
 原田マハさんの初期作品。
 私は特に「犬派」というわけではありませんが、この書影だけでなんかこう、癒されますなぁ。
 女性向けファッション誌の編集者・藍、33歳独身(同棲相手あり)が、ある取材をきっかけにゴールデンレトリーバーのリラを飼うことになる話。
 読んでいて仕事で結果を出したい藍の身勝手さに腹が立つこともありますが、そういう部分って誰にでもあると思うし、それを抜きに物語を進めてしまうと、なんだかリアリティに欠ける気がするので、やっぱりこの物語には必要な部分かと。
 仕事には厳しい編集長・北條さんの優しさとか、タクシー運転手の斉藤さんの暖かさが心に沁みます。浩介くんはちょっと出来すぎかな?
最初のページでもう結末は見えているんだけれど…。犬好きな人が読んだら間違いなく涙腺崩壊。

⚪️楽観論

著者 古市憲寿

【内容紹介】
 「日本はもうダメだ」「世の中悪くなる一方」。SNSでもメディアでも、聞こえるのは嘆きの声ばかり。たしかに世間は順風満帆ではないし、悲観論は人を賢く見せる。だが、僕たちはこの世界で生きていくしかない。だったらせめて、楽観的に捉えてみたらどうだろう。どんな出来事も視点をずらして眺めれば、違った景色が見えてくる。危機の時代、安易な厭世論に陥らず軽やかに生きるためのヒント。

【感想】
 週刊新潮の連載「誰の味方でもありません」を書籍化した本書。雑誌掲載は2018年から2020年。
 ちょっと待って!?
 …ということは〝誰の味方でもありません〟と〝正義の味方が苦手です〟の間じゃないか!ということは読む順番間違えた?
 …確かに時系列的にはそういうことになるけれども、エッセイなのでまぁどこから読んでもさほど問題はないのかな。
 本編はともかく一番気になったのは、記事中で触れられていた渡辺浩弍さんの著書〝ゲーム・キッズ〟シリーズ。コレは手に入れねば。困った、また読みたい本が増えた。

⚪️絶望の国の幸福な若者たち

【内容紹介】
 格差社会のもと、その「不幸」が報じられる若者たち。しかし、統計によれば8割の若者が現在の生活に「満足」している!その指摘で若者論を一新した古市憲寿の代表作に、新たに約200の脚注を追加。26歳の古市憲寿が描いた「若者」像を、30歳になった著者自身が「答え合わせ」。さらに未来のために各章に追記を加えた、この国と「若者」のすべてがわかる決定版!

裏表紙より

【感想】
 思春期の頃「インチキな大人に宣戦布告」というある映画のキャッチコピーに震え、ブルーハーツの唄に拳を握り、「自分はそんな大人にはならないぞ!」なんて意気込んでいた自分が、今では「最近の若いもんは….」なんて言いながらグラスを傾けている。この本を読みながらそんな自分にため息。
 結局のところいつの時代も大人は若者に嫉妬し、それが「最近の若いものは」に変換される。結局自分が果たせなかったあれこれ、捨ててしまったありとあらゆるものを手に入れた(ように見える)彼・彼女たちが羨ましいからそんな言い方になっちゃうんだろうか。
 なーんて思いつつ、今夜をグラスを傾けるオヤジがひとり。

⚪️空想科学読本
 正義のパンチは光の速さ!?

著者 柳田理科雄

【内容紹介】
 マンガやアニメに登場する、驚異的なアイテムやすごい技は実現可能なのだろうか?無理やり実現したら、いったい何が起こるのか!?『ドラえもん』のタケコプター、『ルパン三世』五エ門の斬鉄剣、『黒子のバスケ』緑間の3Pシュート、『弱虫ペダル』巻島先輩のダンシング走法…など、誰もが気になる32テーマを科学的に検証する。累計500万部突破のベストセラー『空想科学読本』シリーズから傑作原稿を厳選した第二弾!

裏表紙より

【感想】
 漫画やアニメなどの現象を科学的に解説しているこのシリーズ。
 こういう真面目で不真面目な本は大好物です。
 何が凄いって取り上げた漫画やアニメを非難したり苔おろしているわけではないこと。どれも愛とリスペクト、そしてユーモアに溢れているから面白い。
 夢は確実に壊すけどね。
 …で今回のお気に入りはもちろん怪獣図鑑ネタ。そして童話〝大きなかぶ〟の「カブはなぜなかなか抜けなかったのか?また抜くためにはどれだけの力が必要だったのか?」という話。これはもう大笑い。
 中には計算では解決できない問題もあって、そういうのは実際に試してみたりもします。ゾロの三刀流とかね!

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
 今週はまさに「乱読オヤジ」の本領発揮といったところでしょうか?
 特に広瀬正さんの作品は衝撃的。50年以上前の作品なのでファッションや小道具は確かに古いけれども、中身は全く古さを感じませんでした。これは星新一さんの作品や、手塚治虫さんの〝ブラックジャック〟を読んだときと同じ感覚。
 いくら新しい技術が誕生して文明が進歩しても、人間の本質ってそうそう変わるものではないってことかな。

 なんだか話が難しくなってきたので、今日はこの辺で。

最後に
 読書っていいよね。


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