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【読書記録】2024年7月21日〜7月27日
みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。
ここ数週間にわたって触れている夏の文庫フェアですが、近所の書店(チェーン店)に出かけたら、なんと昨年までは作られていた、そのための棚が今年は設けられていない(もちろん目玉作品は文庫コーナーに平積みされているけれど)!!
確かに角川、集英社、新潮社それぞれのラインナップをすべて揃えて棚を作るのは大変な作業かもしれないけれど…。
なんだかまたひとつ夏の風物詩が消えてしまったようで、ちょっと寂しい気持ちになりました。
…ということで、今週出会った本たちをご紹介します。
【2024年7月21日〜7月27日に出会った本たち】
⚪️盲目的な恋と友情
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【内容紹介】
タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花(いちのせらんか)は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近(しげみほしちか)が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵(るりえ)の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が――。男女の、そして女友達の妄執を描切る長編。
【感想】
青春時代に必ずと言っていいほどぶち当たる「『恋愛』と『友情』どっちを取るか問題」。
当事者はさておき周囲から見れば中高校生だったら微笑ましく感じるこの類の問題が、大学生以降になると途端にドロドロしてくるのはなぜだろう。
前半は主人公の蘭花が一人の男性に夢中になり周りが見えなくなっていく様が、後半ではその同じ軸を蘭花の唯一の親友になりたい留利絵の心情が実にリアルに描かれます。
以前読んだ〝傲慢と善良〟と似ている気もするけれど、こちらの方がミニマムというかプライベートな感じ。
まぁ一番問題なのはクズ男の茂実だけど。
⚪️夜が明ける
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【内容紹介】
15歳のとき、俺はアキに出会った。191センチの巨体で、フィンランドの異形の俳優にそっくりなアキと俺は、急速に親しくなった。やがてアキは演劇を志し、大学を卒業した俺はテレビ業界に就職。親を亡くしても、仕事は過酷でも、若い俺たちは希望に満ち溢れていた。それなのに――。この夜は、本当に明けるのだろうか。苛烈すぎる時代に放り出された傷だらけの男二人、その友情と救済の物語。
【感想】
虐待、ヤングケアラー、奨学金という借金、ブラック企業、ワーキングプア、セクハラ、パワハラ、そしてジェンダー問題などありとあらゆる社会問題がこれでもかと詰め込まれていて、幾度も読む手が止まりました。
一番の問題は「便利」という名の一人でなんでも解決できる(ように錯覚してしまう)現代社会。
そこでは自己責任や自業自得という言葉が幅を効かせ、弱音を吐いたり助けを求めてはいけないような空気が蔓延している。
たぶんそんな社会に警鐘を鳴らす物語。
一つだけ気に掛かったのが、あのアキがどうやってフィンランドに行ったのだろう。
⚪️ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
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【内容紹介】
人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めたぼく。人種差別丸出しの移民の子、アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧。まるで世界の縮図のようなこの学校では、いろいろあって当たり前、みんなぼくの大切な友だちなんだ――。ぼくとパンクな母ちゃんは、ともに考え、ともに悩み、毎日を乗り越えていく。最後はホロリと涙のこぼれる感動のリアルストーリー。
【感想】
「2」を読む前に復習として再読。
再読にも関わらず思いの外楽しく読むことができました。
「日本人は」なんて分母を広げてしまうとどうかとも思うけれど、少なくとも私も私の家族もジェンダーとか人種差別といった問題には縁遠くて(別の問題にはちょくちょくぶつかっているけれども)、これらについて真剣に話し合ったことは一度もありません。
それが幸せなことなのか不幸なことなのかはわからないけれど、小さな頃からみかこさんの息子くんのような環境で揉まれたら、相当タフな精神力と柔軟な思考力を身につけられるだろうと思います。
⚪️ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2
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【内容紹介】
英国の元底辺中学校に通うぼくの日常は、今日も世界の縮図のよう。摂食障害や薬物依存について考えたり、フリーランスで生きていくための授業。ノンバイナリーな教員。生徒たちが公約を読んで投票するスクール総選挙。声ひとつで人種の垣根を越えるソウル・クイーンな同級生。事件続きの毎日の中で少年は大人の階段を昇っていく。100万人が泣いて笑って感動した親子の成長物語、ついに完結。
【感想】
まず思うのが学校教育について。日本の教育とイギリスの教育のどっちが良いかは一概にはいえないけれど、学年委員の選挙で12・13歳の子供たちに「リーダーの資質とは?」と問いかける教員は凄い。けれどもっと凄いのは「Lead by Example」と答える息子くん。「導くとは前に立って引っ張ることではなく、時には後ろに立って押し上げること」。これはもう脱帽です。
諸々の差別については、やはり最も身近な存在である親や周囲の人々の言動の影響が大きいと感じます。
日本に帰省した際のおじいちゃんとの手紙のやり取りはグッときますね。
⚪️かぞえきれない星の、その次の星
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【内容紹介】
出張先から帰れなくなり、幼い娘と毎日画面越しに会話する父親。3年前に母を亡くし、新しいママと初めて迎えるお盆に戸惑う少年。母の都合で転校をくり返しながら、ミックスルーツである自分へと向けられる言葉に悩む少女。いじめを見て見ぬふりしていたことを、偶然出会ったおじさんに言い当てられてしまった中学生――。ままならない現実を生きる人たちのさみしさを、ちょっとフシギなやさしさで包み込む、11の物語。
【収録作品】
こいのぼりのナイショの仕事
ともしび
天の川の両岸
送り火のあとで
コスモス
原っぱに汽車が停まる夜
かえる神社の年越し
花一輪
ウメさんの初恋
こいのぼりのサイショの仕事
かぞえきれない星の、その次の星
【感想】
重松作品は寂しさと、切なさと、ほろ苦さと、そしてほんのちょっとの、でも心の芯にじんわり沁みる温かさでできている。
読みながら「あぁ、自分はやっぱりこの人が紡ぎ出す物語が好きなんだなぁ」としみじみ。
どの物語も甲乙つけ難いけれど、桃太郎モチーフの〝花一輪〟はいわゆる「黒シゲマツ」的な物語で、単行本で読んだ時はあまりピンと来なかったけれど、あれを延々と繰り返さなくてはならない桃太郎の心情を考えると、なんだかやりきれない気持ちになりました。
表題作の中の物語「なっちゃん日和」には心惹かれます。いつか手に取る機会が訪れますように。
⚪️ただしい人類滅亡計画
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【内容紹介】
の魔王が現れ、10人の人間に「人類を滅ぼすか否か」の議論を強要する。結論が“理”を伴う場合、それが実現されるという。人類存続が前提になると思いきや、1人が「人類は滅亡すべきだ」と主張しはじめ……!?
【感想】
ある日人類を滅ぼす使命を受けた魔王が降臨する。
しかし魔王はなぜ人類を滅ぼさなければならないのかがわからない。
そこで人類の代表を集めて「人類は滅ぼすべきか否か」を議論させる。
集められたのは悲観主義者、楽観主義者、共同体主義者、懐疑主義者、自由至上主義者、相対主義者、利己主義者、教典原理主義者、反出生主義者そしてこのどれにも属さない者の10名。
基本的には「人間は生まれない方がいい」という反出生主義を中心に善悪や道徳といった方向に議論が進んでいきます。
果たして魔王が下した結論は!?
つまりポップなスタンスの哲学小説なのです。
【まとまらないまとめ】
いかがでしたか。
「夏の文庫フェア縛り」の4週目。
今年は再読含め22タイトル24冊を読了。
結局今年も、いわゆる「名作」には手をつけず…。
まだまだ暑い夏は続きますが、小説以外でも読みたい本がだいぶ溜まってきたし、秋からまたひとりの作家さんを集中して読もうかと思っているので、その準備のためにもこの辺りで一応一区切りとしようかと。
…なーんて書いておきながら、突然気が変わるかもしれないけれど。
まぁ、それもよし!!
最後に
読書っていいよね。
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