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【読書記録】2023年5月7日〜5月13日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 せっかくのいい季節なのに今年はなんだか気温の差が激しかったり、地震が頻発したりと、心も身体も落ち着かない毎日です。
 こんな時こそ寝る前の読書。ココロもカラダもリラックスして明日に備えましょう。あっ、物語によっては逆にギラギラしちゃうか。

 ・・・ということで、今週出会った本たちを、相変わらずざっくりご紹介します。
 だいぶ長い記事になってしまいましたので、目次から気になる本だけでもチェックしていただけたら嬉しいです。

【2023年5月7日〜5月13日に出会った本たち】

●ドラゴン・ティアーズ(龍涙) 池袋ウエストゲートパークⅨ

著者 石田衣良

【内容紹介】
 時給300円弱。茨城の“奴隷工場”から19歳の中国人少女が脱走した。彼女が戻らないと、250人の研修生は全員が強制送還される。タイムリミットは1週間。捜索を依頼されたマコトは、チャイナタウンの裏組織“東龍”に近づく。彼女の事情を知り、板ばさみになり悩むマコト。万策つきた時、マコトの母が考えた秘策とは?

裏表紙より

【収録作品】
キャッチャー・オン・ザ・目白通り
家なき者のパレード
出会い系サンタクロース
ドラゴン・ティアーズ−龍涙

【感想】
 毎回その時々の旬な社会問題を扱う本シリーズ。今回はキャッチセールスのトラブル、ホームレスを利用した詐欺、新たな出会い系のカラクリ、そして日本の工場で働く「研修生・実習生」という名の低賃金労働者の問題。
 中国人の低賃金労働の問題は中国本土の格差もあるし、中間マージンで儲ける組織もあるし、工場を束ねる大企業は徹底的なコストカットに走るし・・・。
 日本では100円ショップ(今はバラエティショップっていうんだっけ?)や、スーパーの低価格弁当などが当たり前に手に入るけれど、その低価格を実現させるために涙を流す人がきっといる。
 そうそう、この巻でなんと、マコトに妹ができます!

●PRIDE 池袋ウエストゲートパークⅩ

著者 石田衣良

【内容紹介】
 自分をレイプしたワンボックスカーの4人組を探してほしいーちぎれた十字架のネックレスをさげた美女はマコトにそう依頼した。広域指名手配犯B13号を追うさなか、若者ホームレス自立支援組織の戦慄の実態が明らかになる表題作ほか3篇、最高の燃焼度で疾走するIWGPシリーズ第1期完結10巻目。

裏表紙より

【収録作品】
データBOXの蜘蛛
鬼子母神ランダウン
北口アイドル・アンダーグラウンド
PRIDE

【感想】
 IWGP第10巻にして第1部完結巻!
 今回はスマホを紛失したビジネスマンが恐喝される話。自転車による轢き逃げ事故の話。地下アイドルとストーカートラブル。そして最終話は貧困ビジネスとレイプ犯罪の合わせ技。
 今回の読みどころはやはり表題作の「PRIDE」。2回も同じ犯人グループに襲われるリンが悲しすぎます。マコトとリンはどうやら付き合っているようなので、マコトがリンの心の傷を癒せる存在になってくれることを祈るばかり。
 それにしてもこのシリーズ、男子は腕っぷしが強く、女子はココロがめっぽう強い。

●愛がいない部屋

著者 石田衣良

【内容紹介】
 誰もが憧れる高層マンション。そこに住む愛子は、幸せな結婚生活を送るはずだった。しかし、ある日「愛」は暴力に変わりー(表題作)。セックスレスの夫婦生活に疲れた、うらら。彼女はマッサージ店で働く15歳年下の青年に想いを寄せるようになる。だが、突然彼にホテルへ誘われて…(「指の楽園」)。切なくて苦しい恋に悩みながらも、前を向いて歩いていく女性の姿を描いた10のラブストーリー。

裏表紙寄り

【収録作品】
空を分ける
魔法の寝室
いばらの城
ホームシアター
落ち葉焚き
本のある部屋
夢のなかの男
十七カ月
指の楽園
愛がいない部屋

【感想】
 神楽坂の高層マンション「メゾン・リベルテ」で暮らす人々の10の物語。
 当然のことですが扉の数だけ人生があり、みんな山があり谷もあります。
 出世コースから外れた男とニートの息子の話「ホームシアター」、そして還暦過ぎの男女の恋愛を描く「落ち葉焚き」、障害児を育てる母親の物語「十七ヶ月」がグッときました。
 そうそう「本のある部屋」は、本好きな男にとっては究極の贅沢ではなかろうか。

●エンジェル

著者 石田衣良

【内容紹介】
 投資会社のオーナー掛井純一は、何者かに殺され、幽霊となって甦った。死の直前の二年分の記憶を失っていた彼は、真相を探るため、ある新作映画への不可解な金の流れを追いはじめる。映画界の巨匠と敏腕プロデューサー、彼らを裏で操る謎の男たち。そして、一目で魅せられた女優との意外な過去。複雑に交錯する線が一本につながった時、死者の「生」を賭けた、究極の選択が待っていたー。

裏表紙寄り

【感想】
 主人公の純一が、幽霊として自分の死体が埋められる場面を俯瞰するところから始まる物語。
 純一は生まれてから死ぬまでの記憶を遡ってみるのですが、死ぬ前2年間の記憶がすっぽり抜け落ちています。純一はなぜ殺されたのか。なぜ2年間の記憶だけ思い出せないのか。この謎を解き明かしていくストーリーですが、リアルな犯罪ミステリーではなく、途中で電気を操る能力を獲得したり、生きている人間と会話できるようになったり、少しだけ実体化できるようになったりとファンタジー要素もてんこ盛り。
 真実は悲しいけれど、最後に純一が下した決断にグッときました。

●親指の恋人

著者 石田衣良

【内容紹介】
 「これから送るのは、親しい友達にも話していないことだ。暗くなるけど、いいかな?」「わたしは…今、この瞬間全身でスミオの話をきいてるよ。全部、話してー」六本木ヒルズに暮らす大学生の澄雄と、薄給のパン工場で働くジュリア。携帯の出会い系サイトで知り合ったふたりのメールが空を駆けていく。二十歳のふたりは、純粋な愛を育んだが、そこへ現実という障壁が冷酷に立ち塞がる。無防備すぎる恋は追いつめられ、やがてふたりは最後の瞬間に向かって走り出すことに。格差社会に否応なく歪められる恋人たちを描いた、現代版「ロミオとジュリエット」。

裏表紙より

【感想】
 この物語、冒頭で主人公二人が心中したニュース記事から始まります。
 我々読者はなぜ心中することになったのかをページをめくりながら確認していきます。
 主人公は六本木ヒルズに住み、何不自由なく暮らす二十歳の大学生・澄雄、もう一人が高校中退でどうしようもない父親と暮らし、派遣社員としてパン工場で働くジュリア。
 二人は出会い系サイトで知り合いますが、その生活の差は一目瞭然。
 もう少し二人が大人だったら、また違う選択肢があったかもしれませんが、現実が厳しすぎたのか、それとも澄雄が幼過ぎたのか…。
 この物語の結末は二人が死んでしまうので表面的にはハッピーエンドではないけれど、このまま生きていたとして、幸せな未来というのもなかなか想像できません。これを「バッドエンドだから良くない」と言わなくなった自分は、少しだけ読み手として成長したのでしょうか。

●夜の桃

著者 石田衣良

【内容紹介】
 これほどの快楽は、きっとどこか真っ暗な場所に通じているー。成功した仕事、洒落た生活、美しい妻と魅力的な愛人。全ては玩具にすぎなかった。安逸な日々を謳歌していた雅人が出会った少女のような女。いちずに自分を求めてくる彼女の、秘密の過去を知った時、雅人はすでに底知れぬ恋に陥っていた。禁断の関係ゆえに深まる性愛を究極まで描き切った、瑞々しくも濃密な恋愛小説。

裏表紙寄り

【感想】
 主人公は40代半ばの広告代理店社長。
 仕事は順調で経済的余裕あり。子供はいないものの奥さんとの関係も良好。おまけに30代女性との不倫関係が4年も続いています。
 こんな贅沢な状況にありながら、よせばいいのに若いアルバイト社員に惹かれてしまいます。これはもう破滅のエンディング確定。あとは3人目の女性にどんなふうに夢中になっていくかと、いつ、どんなきっかけで全てが崩壊するか。
 いわゆるかなり濃厚な官能小説なので、誰にでもお勧めできる物語ではありません。
 それにしてもあのラスト、懲りないというか「バカは死んでも治らない」、いや「エロは死んでも治らない」というか。

●水を抱く

著者 石田衣良

【内容紹介】
 初対面で彼女は、ぼくの頬をなめた。29歳の営業マン・伊藤俊也は、ネットで知り合った「ナギ」と会う。5歳年上のナギは、奔放で謎めいた女性だった。雑居ビルの非常階段で、秘密のクラブで、デパートのトイレで、過激な行為を共にするが、決して俊也と寝ようとはしない。だがある日、ナギと別れろと差出人不明の手紙が届き…。石田衣良史上もっとも危険でもっとも淫らな純愛小説。

裏表紙寄り

【感想】
 石田さんの〝夜の桃〟と書影のコンセプトが同じなので、いわゆる官能小説かと思いきや、読み終えてみると確かに官能的なシーンはあるものの、ねじれてはいるけれどやっぱり純愛小説なのかなと。
 最後に主人公の俊也が惹かれたナギという女性の過去が明かされると、ナギの行動に共感はできないにしても、物語はそれまでの印象とはまったく違うものになりました。
 それにしても許せないのは俊也のクライアントである医師の島波、ああいう言動というか性癖は私の許容範囲を軽く超えていて、少し気分が悪くなりました。

●男の涙 女の涙 せつない小説アンソロジー

選者 石田衣良/編者 日本ペンクラブ

【内容紹介】
 生きることの重み、どうしようもない切なさを描く名作9編。

裏表紙寄り

【収録作品】
瘋癲の果て さくら昇天 団鬼六
話を読む 眉村卓
真珠のコップ 石田衣良
デューク 江國香織
スターダスト・レヴュー 浅田次郎
すべて世は事もなし 永沢光雄
麦を嚙む 伊集院静
凧になったお母さん 野坂昭如
有難う 川端康成

【感想】
 石田衣良さんが選ぶ「せつない小説」のアンソロジー。
 江國香織さんの「デューク」、そして浅田次郎さんの「スターダスト・レヴュー」、そして石田衣良さんの「真珠のコップ」はそれぞれの短編集で読んでいました。
 その他は皆、初読みです。どの物語もせつなさの方向性が違っているので、これがアンソロジーの醍醐味かと。
 野坂昭如さんの「凧になったお母さん」は同じ野坂さんの「火垂るの墓」に通じるものがあって、アニメ版の「火垂るの墓」しか観ていない私としては、近いうちに原作を読んでみようと思いたちました。
 こんなお母さんと子供が増えるから戦争はダメなんですよ!世界を動かすお偉いさんたち!!

●あなたと、どこかへ。

アンソロジー

【内容紹介】
 恋人と、妻と、兄弟と、家族と、あるいはひとりで…さあ、ドライブに出かけよう。かつてあった愛を探しに、いまここにある愛を確かめに。ここではない、どこかへ。あなたと、ふたりで。8人の短篇の名手が描く、8つの愛の情景。“クルマで出かける場面を用意すること”だけを約束事に8人8様の個性豊かな短篇アンソロジー。

裏表紙寄り

【収録作品】
乙女座の夫、蠍座の妻。 吉田修一
時速四十キロで未来へ向かう 角田光代
本を読む旅 石田衣良
慣れることと失うこと 甘糟りり子
この山道を…  林望
娘の誕生日 谷村志穂
遠い雷、赤い靴 片岡義男
夜のドライブ 川上弘美

【感想】
 2005年、日産TEANAのプロモーションのために書かれた短編小説を一冊にした、ドライブがテーマのアンソロジー。
 ドライブというと若いカップルがまず浮かびますが、この短編集では若い夫婦、姉と弟、結婚15年目の夫婦、再会した元恋人たち、結婚20年目の夫婦、母と娘、それに1人でドライブの話が2編。
 地方ではひとり一台が当たり前だけれど、都会では駐車場の確保や燃料代、自動車保険など維持費が馬鹿にならなくて、なかなか持てないのが現状。
 石田衣良さんの「本を読む旅」のように、好きな本だけ持っての気ままなドライブ旅なんて最高の贅沢。

●ケータイ小説は文学か

著者 石原千秋

【内容紹介】
 ケータイ小説を大胆にも文学として認め、その構造を徹底分析。小説の「読み」「書き」に起こる異変を解きあかしポスト=ポスト・モダンという新しい境地を見出す刺激的アプローチ。

裏表紙寄り

【感想】
 2000年代前半に流行したらしいケータイ小説。私は読んだことがなくて、今回この本を手に取ったのは、石田衣良さんの「6TEEN」の中にこの話が出てきたのがきっかけでした。
 この本の中で語られるリアルケータイ小説の特徴は6つ。
 ①実話テイストであること。
 ②少女の恋愛物語であること。
 ③定番悲劇イベントが組み込まれていること。
 ちなみに定番イベントとは、いじめ、裏切り、レイプ、輪姦、妊娠、流産、薬物、病気、恋人の死、自殺未遂、リストカットなど。
 ④ハイテンポであること。
 ⑤文章が短く改行が多用されること。
 ⑥乱れた日本語を使うこと。

…これって今で言う小説投稿サイトみたいな感じなのかな。
 なにはともあれ、だれもが自由に作品を発表し、それを簡単に手にすることができる時代。これ自体は喜ばしいことで、あとは造る側も受け取る側も感性を磨くことが大事。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
 これで石田衣良さんは47タイトル(48冊)読了です。だから何ということはありませんが、そろそろゴールが見えてきた感じで…。
 …となると気になるのが「次に誰の何を読むか」。
 今気になっているのが東野圭吾さん、貴志祐介さん、桐野夏生さん、道尾秀介さん、そして伊坂幸太郎さん。
 積読本もたくさんあるし、他人からすれば「好きなの読めよ!」って感じですが、この瞬間が私は大好きです。
 あぁ、なんて贅沢。

最期に
 読書っていいよね。


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